ロクでなシータ!
自創作っ子たちの会話諸々。
- (じ〜〜〜)
椎太
- (み、見られてる。むちゃくちゃこっちを見られてる。)
六花
- そう。わたしは対峙しているのだ。ひとつ挟んでC組の、色素の薄いイケメンに。
- (名前呼ばれてのこのこついて来ちゃったけど何の用事なのかな...?階段の下に連れ込んまれて、その、こんな体制になるなんて)
六花
- ………
椎太
- (数分ずっとこのまんまだし...お昼ご飯途中だったのになぁ…)
六花
- ………ぃ
椎太
- (そういえば今日の晩ごはんはオムライスとか言ってたっけ...)
六花
- ……ない
椎太
- え?
六花
- ありえない!!!ないだろ!!!これはない!!!!
椎太
- ひっ
六花
- 一瞬顔を伏せて私を見つめ返したかと思えば、ものさし一つ分の距離で喚いてる。
- (な、なんなんだ本当この人は…)
六花
- ぜんっっっぜんない!!清々しい程ない!!!!
椎太
- な、なななななにが私に"ない"んですか...?確かにお胸はご期待には添えないとは思いますが…
六花
- 全部だ全部!!!女としての魅力全部!!!
椎太
- えええ~…
六花
- 本人目の前にして存在を全否定してくるあたり、相当失礼な人だ。ただ駄々を捏ねる子供のような姿に、呆れてため息も出なかった。
- (とりあえずは、無言で教室から連れ出された理由でも聞きたいんだけど…)
六花
- くそ…なんでこんな奴に……
椎太
- (完全に自分の世界に入っちゃってるよなぁ…どうしようかな...)
六花
- あれ?椎太?
牧純之介
- その時、階段下の真横の明るいスペースからひょっこりと、顔を出した人物がいた。
- ってあれ?むっちゃんまで
牧純之介
- ! 牧くん!
六花
- 現れたのは、黄緑ーーーー彼曰く"萌葱色"というらしいーーのパーカーを羽織った牧 純之介くんだった。救世主。
- 2人してこんな狭い場所でどうしたんです?
牧純之介
- そ、それが...
六花
- あっ!もしかしてそういうプレイの途中でした?いっけね!お邪魔しました...
牧純之介
- ちょっと待って!?牧くん違うよ!この人と初対面だし!!!そもそもそんな雰囲気じゃないでしょこれ!!
六花
- あっ、そうなの?
牧純之介
- 知ってる。わかってやっているのだ。この、牧純之介という男は。
- いたずらっぽく笑みを零したかと思えば、わざとらしくごめんねぇと付け足した。
- で、椎太。むっちゃんとこんな所で何してるんです?
牧純之介
- ねえよ!!!これはない!!!まじでない!!!!
椎太
- 落ち着いて下さいよ。椎太が何も言わないから、むっちゃん困ってるじゃないですか
牧純之介
- 俺は…俺はこんなのに…
椎太
- ...?
六花
- ...?
牧純之介
- 俺はこんなのに負けたのか!!!!!
椎太
- ...はぁ?
六花
- 負けたって何をだ?彼とは私の所属している剣道部で手合わせした記憶もない。けど、昔だったらありえるかもしれない...?
- いやいや椎太、何を言っているかわからないので、もっと噛み砕いてお話して下さいませんか?
牧純之介
- ........れたんだよ
椎太
- ん?
牧純之介
- ...ん?
六花
- 振られたんだよ!!!この女の所為で!!!!廣田さんに!!!
椎太
- 廣田...?
六花
- ああ!廣田ちゃんか!
六花
- .........
牧純之介
- ......なんだよ牧。笑いたいなら笑えよ。
椎太
- .........
牧純之介
- イヤ何なんだよその目は!!!笑えっつってんだろ!!!
椎太
- ...はっはっは
牧純之介
- 笑えよ!!!!!
椎太
- 河原くんのその一言を皮切りに、牧くんは盛大に笑い出した。
- *:。 ゚*:。 ゚
- っはー!!笑った笑った。
牧純之介
- 笑いすぎだよなんなんだよ!
椎太
- いやいや、椎太が笑えって言ったんじゃないですか。
牧純之介
- だからって数分間ぶっ続けで笑う奴があるかよ
椎太
- まあまあ、そう怒らないで下さいよ。とりあえずまあ、今の状況を整理すると...
牧純之介
- そう言って私に視線を寄越したので、河原くんの眼力に負けじと声を張った。
- うん。その廣田さんって、私の後輩の廣田ちゃんだよねきっと。
六花
- …1個下の。黒髪の。
椎太
- そうそう!廣田那津ちゃん!......で、それがどうして私の所為でその...振られたと...
六花
- (キッ!)
椎太
- ひっ!
六花
- こらこら~、椎太。駄目ですよ。女の子にそんな目で睨みつけちゃ。
牧純之介
- むっちゃんも怯えすぎです。そんな、人を喰うわけじゃないんですから。
牧純之介
- 充分噛み付いてきそうな顔はしているけどね、とは言わないでおいた。河原くんの視線にどんどんさがっていく頭。情けない。
- ...どんなに頑張っても、部活の先輩以上にはなれないと。
椎太
- ...まあ、それは。体のいい断り文句じゃないですか。実際、むっちゃんは強いですしね。女子生徒の憧れの的なんですよ。知ってました?
牧純之介
- っ!牧くん!話盛りすぎだってば…
六花
- いやいや、別に盛ってませんよ。会田六花ーーこの学校では知らない人がいないくらいの有名人ですよ。弱小剣道部を全国大会に導いた英雄ですから。むっちゃんは。
牧純之介
- そんなの興味ねえよ。俺は知らない。
椎太
- 椎太!
牧純之介
- だって本当、そうだろう?いざ話しかけたらオドオドビクビク…なんだよ、人を化け物扱いしやがって
椎太
- !
六花
- こんな弱虫、俺は認めない!!
椎太
- 椎太、いい加減に
牧純之介
- いいよ、牧くん。私、びっくりしちゃったのは本当だし。
六花
- ...むっちゃん...
牧純之介