僕の長い道のり。
孤児だった少年。思いを綴った完結ショートストーリー
- 「もう、死にたい。」
- 「死んで楽になりたい」
- 彼はそう言った。
- その時、彼のたった16年という短いストーリーが幕を閉じようとしていた。
- 彼は、親がいない。いわゆる孤児だった。
- とても他人の言葉や感情に敏感で
- 争いを好まない、大人しい性格だった。
- 彼は孤独だった。生きる希望さえも失うほどに
- そんな彼を救ったのは、硬い殻を貫くような、とても単純で、心身に染み渡る一言だった。
- 「今まで頑張ったね」
- そう、それは御託をただ並べたようなものでもない。かと言って論理的な話でもない。
- 至ってシンプルな言葉。
- 彼に必要だったのは、自分を肯定し、存在価値を見出してくれる者の存在。
- ただ、それだけだった。
- 彼は続けてこう言った。
- 「君がこれからも生き続けるのであれば私は君の存在価値を見いだし続けよう。」
- 「君は君だ。それ以外の何者でもない。何者である必要もない。」
- 「君が存在意義を失った時、私が君を導き続けよう。」
- 彼の言葉は僕に存在価値を与え、僕の光になる。
- そして僕はまた、遠い道のりをゆっくりと。歩き出したのであった…