ひとり劇場

後味の悪さ

今日は幼馴染の中杉と遊ぶために駅前で中杉を待っていた。
中杉は一つ下の男で中学3年生。俺が映画の特典を二つ貰いたいが為に呼んだ。
そろそろ待ち合わせの9時を過ぎる頃だ。
「兄ちゃん。お待たせ。」
俺は声の主の方へ向く。中杉だ。
「そんなに待ってないよ。それにしても悪かったな。昨日の夜に連絡してさ。」
中杉は苦笑いしながら口を再度開く。
「兄ちゃんのお願いなら断れないからね。」
「なんか照れるな。それじゃ行くか。」
並行して歩き出した。
雑談をして、ふと思い出した。
「そういえば、今年は中杉も受験か。中杉なら受かるだろうな。手応えはどうだった?」
「受験なら今日の9時から始まったよ。」
「え…んえ!?今からでも受験会場に行くぞ!!!」
「今から行っても無理だよ。9時までに受付を終えて、受験番号が書かれた紙を受け取らないといけないから。親には嘘吐いたし、制服ならコンビニのトイレで着替えてきた。中学校にも昨日の夜に連絡したから大丈夫だよ。」
俺は何も言えなかった。後から襲ってくる寒気にひたすら震えた。

・・・
その日観た映画の内容は覚えていない。
今、覚えているのはコンビニの制服を着てアルバイトしている、中杉だった。

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投稿日時:2020-09-14 03:32
投稿者:水瓶
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