廃墟からのLINE8後編
微ホラー注意。考察回。LINE内容は別で上げるよ。評価あざます!
- 前回までのあらすじ
桐島
- LINE交換しよう!!!
アキ
- おっけー!
佐崎
- しょうがねぇな
尾崎
- あばば廃墟行かなきゃ
小池
- どうしてこうなった
直泰
直泰
- そういえばこの辺の家、なんか新しいよな
宏考
- …え、ああ、はい
桐島
- あ、LINEに集中してていい
なんか話してたいんだ。適当に相づちしていいからさ
宏考
- いや集中するほどの内容じゃないんで大丈夫です
一緒にちょっと状況整理しましょう
桐島
- ていうかこの人全然僕の話を信じてくれてないんですけど、先輩LINEしてたんじゃないんですか?
桐島
- してたしてた
でも直ぐに化け物に追いかけられるから、あんまり会話出来なかったんだよなー
宏考
- どの辺まで伝えられたんですか?
桐島
- 異世界に来たっぽいって…いや紙類全滅だなこれ。カビがひでぇや
宏考
- 異世界…まあ異世界…?
他には?
桐島
- それ言ったら二人とも「なんだお前」みたいな反応になっちゃってよ
宏考
- なかなか話マトモに聞いてくれなくってさー!ひどくね?
宏考
- いや、すげぇ状況だし、すぐ信じられないのはしょうがないけどさー!にしたって…桐島?どうした頭抱えて
宏考
- あ、それ以上は特になにも伝えられなかった
まあ化け物出たし、しょうがないよなー
宏考
- まあ、それもそうですね
桐島
- 正直そのへんは最初から大して期待してないので大丈夫です
桐島
- あー、どうしようかなこれ
信じてるか微妙な反応だし
桐島
- あ、何でしたっけ。家が新しい?
桐島
- そうそう。奥に行くほどなんつーか、古い感じの家になっていくよな。ばーちゃん家みたいな。
宏考
- 言われてみれば確かに…
この辺りは内装なんかも現代的ですね
桐島
- あと家の荒れ方もちょっと違うかも
桐島
- この辺、そんなに時間経ってなさそうだよな
さっき居た場所の部屋なんか、壁とかボロボロで酷いのに
宏考
- …確かに奥の方が古い感じするんですけど、家具の配置なんかはちゃんとしてるし、なんていうか…生活感があるのは奥の方ですよね
桐島
- この辺は、部屋の状態は綺麗だけど物の配置やら家具の置き方やらは乱雑ですよね
桐島
- うーん…?どういうことだ?
宏考
- あとさっき気がついたんだけど、電波が通った部屋は全部こんな風に、入口が一つしか無いんだよ
宏考
- 奥の方の部屋って、入口なのか出口なのか分からないほど部屋同士で繋がりまくってるじゃん
宏考
- 同じ部屋に戸が5,6ヶ所あるような場所ばかりでしたね。迷路みたいな
桐島
- そういえばよく戻る道が分かったな?
さっき通った道すら変わってたのに
宏考
- ここ、全体が緩やかな坂になってるんですよ。
奥に行くほど底へ向かうように
桐島
- …最深部にはボスがいるのか
宏考
- どうでしょう。ボスより先へは行けないので最深部かは分かりませんね
桐島
- 桐島はパタパタとスマホの画面を叩く
桐島
- ああ、やっぱり行方不明者が出てるんですね
桐島
- 俺?
宏考
- あなたもそうですけど。
桐島
- なんでも廃墟からLINEが来た人間は廃墟へ行ってしまうんだとか
桐島
- 俺だな!
宏考
- 行方不明の主張が激しいですねー
桐島
- あなたを呼んだのは僕なんですけど
桐島
- 僕は他にLINE送った覚えは無いので、この場所にいる誰かが送ってるんでしょうね
もしくはこの廃墟そのものが呼び寄せているとか?自我を持った家が人を呼んで食うなんて、まさにホラーのシチュエーションでありそうだ
桐島
- 確かに新しく人が増えたことは何度かあります
ここ最近は特に多い
桐島
- まじで?
廃墟の噂はあったけど、行方不明者が出てるなんて聞いたこと無かったけどなぁ
宏考
- え?っていうか他に人間いるの?!どっかに隠れてるとか?!
宏考
- 残念ながらそれはありません。
理由は分かりませんが、新しく来る人ってみんな、洗脳されたような状態になってるんですよね
桐島
- 自分から奥へ奥へ行ってしまうんです
最初はふん縛ったりして助けようとしたんですけど
桐島
- 動けなくなれば自分で叫んで場所を教えてしまうから
結局、誰一人助けられなかった
桐島
- …
宏考
- 来た人全員と会ったわけではないけれど、自力で助かるのは無理でしょうね
桐島
- 桐島のせいじゃない
宏考
- …どうでしょうね
桐島
- あと廃墟の入口、無くなってるそうですよ
呼ばれた人間だけ入れるようになってるみたいです
桐島
- そうなんだ
いやまてよ…?
宏考
- もしや入口が無くなってるなら出口も無くなってるのでは?
宏考
- あー、それはそうかもしれません
出入口が一ヵ所だと仮定すれば。
桐島
- 人が入ってくるタイミングでサッと出ればいいとか?
桐島
- いやそもそも入口も見付かってないし、それ入って来た人が犠牲になってね?
宏考
- そういや入口どこいったんでしょうね
どう戻っても行き止まりにたどり着くし
桐島
- …ていうか気付いたんだけど
宏考
- ? はい
桐島
- この廃墟、時々道変わってるんだよな?
宏考
- ここらへんは特に頻繁ですね
桐島
- これ新しく来た人の部屋なんじゃね?
宏考
- !
桐島
- 奥の方の部屋はそれこそ、ここが廃墟になる前に住んでた人たちの部屋なんだろうけど
宏考
- …廃墟に入る前のこと、覚えてますか?
桐島
- んんちょっと朧気だけど少しは
宏考
- 先輩が入った建物の他にも結構沢山、廃墟があったでしょう
桐島
- 多分、集落か、村みたいなものがあったんだと思うんですよね
似たような家が多いし
桐島
- なんか、色んな家が沢山繋がってる感じはするよな
宏考
- 新しく来た人の部屋だから、外との繋がりがある、と
桐島
- そう考えれば、外に繋がらないのも分かります
忘れ去られた場所に、外界とのつながりは無いでしょうから
桐島
- ついでに、家同士があんなに繋がってたこととも、なんとなくイメージが重なりますね
まさに田舎の村社会じゃないですか。家と家との隔たりが薄い。プライベートの概念が希薄の、あけすけな近所付き合いの具現化。
桐島
- グロいほど出入口にまみれた部屋はそれこそ、閉鎖的な村の人々の強固な繋がりと言っていいでしょう
桐島
- そんな村の住人からすれば、この辺の新参者、よそ者が入口ひとつしか繋がれないのも通りでしょうよ
桐島
- まあ、ここまでくるとただの想像ですけど。
桐島
- 桐島なんか田舎で嫌なことでもあったの…?
めっちゃこき下ろすじゃん…
宏考
- いや別に…
桐島
- そういえば実家帰ったって言ってた時に似たようなこと愚痴られたような
宏考
- それ今回のことには全く関係ないので。
はい。作業に戻ってくれていいですよ。ええ。
桐島
- ああいうのほんとくだらない…いやなんでもないですけど…
桐島
- …桐島の言う外との繋がりって、そういう意味だったのか
宏考
- てっきり通路とかの話かと
宏考
- え、ああ、言われてみれば…って何ですか。人のスマホ急に覗かないで下さいよ。
桐島
- いやどんな会話してんのかなって
宏考
- 危機感ゼロですが一応話は聞いてくれてますね
桐島
- ここには決して来ないように、外で情報集めてもらう感じで…いや近い近い。
わかりましたから。見たいならどうぞ、ほら
桐島
- ほーんふーん
なるほどなー
宏考
- 仲良くやってんじゃん!
宏考
- いやギッスギスなんですが
ていうかそんな感想いらないんで。内容読んで下さい。
桐島
- やー、アキ人見知りだけど、このLINEは大分打ち解けてる。俺には分かる
宏考
- 半ギレしてるだけかもしれないけど
宏考
- キレてるのかこれ
まあ仲良くしてくれてる方で考えておきましょうか
桐島
- ん?あれ?3日も経ってるのか?いやそんなわけ。
ナオからLINE来た時はまだ、昨日俺が居なくなったって言ってたような…
宏考
- ここ時間が経つのが遅いんですかね?
桐島
- 不思議だなー
宏考
- とりあえず大体今の状況は伝えました、とやり取りしていると、ヒロがふと廊下へと視線を移す
桐島
- …先輩、どうしました?
桐島
- いや今人の声がした
宏考
- え?しましたか?
ってちょっと先輩?!
桐島
- 桐島へスマホを返し、ヒロは部屋の外へと走る
桐島
- また勝手に飛び出す!
ちょっとは学んで下さいって!
桐島
- ゴドン、と床が動く
桐島
- は?このタイミングで…
いや、そうか。新しく来た人の部屋か
桐島
- 急いで追いかけ、部屋を出る
桐島
- やや離れた位置に、走って行くヒロを見つけ__
桐島
- しかし降りてくる天井によって、その姿は遮られた
桐島
- あ
桐島
- 通路が音をたてて大きく揺れ、桐島は床に伏せる
桐島
- しばらく這いつくばって耐え凌ぐと、やがて揺れが収まった。顔を上げ見回すと、通路は先程とは全く違う姿へと組変わっていた
桐島
- …嘘だろはぐれた?
桐島
- いや今追いかければ大丈夫なはず。
どうせまた悲鳴上げるんだから、すぐ見つかるだろ
桐島
- 怖がりの癖に何なんだろうあの行動力…おとなしく怖がって縮こまってくれればまだ守れるっていうのに
桐島
- …いや、僕があんな話、したからだな。うん。ヒロ先輩なら、助けに行くよな。
桐島
- …大丈夫。まだ大丈夫、
桐島
- リンゴン
桐島
- あ、と。一回電源落と
桐島
- …
桐島
- 元友人の馬鹿ども。何か余計なこと話したな?
桐島
- こいつに疑われると面倒臭いな
桐島
- 何か適当に誤魔化して…
桐島
- ピチャン、と水音が響き、桐島は思わず振り向く
桐島
- 。
桐島
- なんでお前がこんな浅い場所に
桐島
- 生乾きのような不快な匂いがする
- く、そ…!
桐島
- リンゴン
桐島
- うるさい呼ぶな
桐島
- 女と逆方向へ一気に駆け出す
桐島
- 先輩に近づくのはまずい。
こっちで引き付けて振り切るしか…!
桐島
- 背後で何か大きなものが這いずる音がしたが、振り返らずにただ逃げ出した。
桐島
- 既読8後編 分断
桐島