ソードアート・オンライン 黒紫の英雄譚 第35話
今回はちょっと悲劇が起きます。ある程度予想してた人もいるかもしれませんが.....
- うわぁぁぁぁぁ‼︎
モブプレイヤー
- 25層ボス攻略戦が始まって既に20分。ボスの残り体力はゲージ1本 ゲージ半分ほど。既に8名の犠牲が出ていた。
モブプレイヤー
- おい!大丈夫か!?
クライン=おっさん
- ......まずいな。
ヒースクリフ
- 独り言のつもりだったが隣にいたキリトには聞こえていたらしい。
ヒースクリフ
- 何がだ?
キリト
- 欠けてしまったメンバーが想像以上に多く、陣形が乱れている。このままではボスを倒しきる前にこちらが全滅するぞ。
ヒースクリフ
- 今残ってるメンバーにもHPがもう少しでレッドゾーンに突入する奴も何人か居る....
キリト
- どうするキリト君?攻略組最強剣士の君にも意見を伺いたいのだが。
ヒースクリフ
- アンタだって化け物だろ。.....どちらにしろもうここまで来たら撤退は有り得ない。8人の犠牲が出たんだぞ。
キリト
- だから...ボスのダウン状態を狙う。
キリト
- ダウン?あのボスにそんなのが通用すると思うのかね?
ヒースクリフ
- この世界のモンスターは基本的にRPGの常識に沿って構築されているため、当然ダウンという状態もある。相手の攻撃の終了と同時にソードスキルを当てたりパリィしたりが基本だが、キリトの言っているダウンとは長時間持続の場合のダウンだ。
ヒースクリフ
- 基本的にそれを行うにはHPをある程度減らすか、ボスの弱点に特大級ダメージを与えるのが基本となる。
ヒースクリフ
- が、HPを減らすのはこの状況ではそこまで持っていける保証はない。よってボスの弱点を狙うしかないのだが...圧倒的破壊力を誇り、素早く武器を振りかざすモンスターにそれを行うのは至難の業となる。
ヒースクリフ
- つまりキリト君はボスの弱点を今から見つけ出し、そこに誰かが大ダメージを与え、ダウンした隙に集中砲火を浴びさせて倒そうというのかね?
ヒースクリフ
- それしかない!
キリト
- 現状ではそれが1番の策か。.....全員聞けぇぇ!
ヒースクリフ
- これよりあのボスをダウンさせる‼︎まず手始めに戦いながらあのボスの弱点を探す!勘違いでも構わないので何か気づいた者は大声で周りに知らせるんだ!
ヒースクリフ
- 弱点!?
ユウキ
- くそっ!あんなに豪快に動いてるのに弱点を探れだと!?
ノーチラス
- やるしかないよエーくん!
ユナ
- くそッ!もうどうとでもなれ!
モブプレイヤー
- ......皆さん!
サチ
- サチがいつもと違く大きな声で全員を呼びかけた。
サチ
- 皆さんはボスの対応を急いでください。弱点は....私が見つけます!
サチ
- サチ!1人じゃ無理だ!
キリト
- キリト!私の視力を信じて!それより今動けない人をキリト達動ける人で助けてあげて‼︎
サチ
- .....分かった‼︎
キリト
- サチを信用してキリトは現在HPが少ないものから優先して救助に向かった。
キリト
- (この戦い....負けられない。)
サチ
- (相手の動きをよく見て....ボスが不自然にガードしている所があれば...それが高確率で弱点のはず。)
サチ
- サチは相手の動きを見ながら脳内で考えていた。そもそも何故あのボスは鎖を振り回すのか。近寄られたくない理由でもあるのではないかと。しかしボスの肉体は硬度が高そうな鎧を装着しておりとても弱点には思えない。よって心臓が弱点ではないだろう。他に考えられるのは......鎧で守られていない部位。
サチ
- (守られていない部位...顔、手首、足元...後は....首!)
サチ
- サチが丁度首元を見ているとボスの鎖の振り回しが再び始まった。ボスの首元に注意して見てみると、なんとボスの首元の周りを上手く近寄らせない具合に鎖が妨害しているのだ。首元をボス街守る理由は一つしかない。
サチ
- 見えた‼︎皆さん!ボスの弱点は首元です!首を狙って!
サチ
- おりゃぁぁぁ‼︎
エギル
- サチが発言したとほぼ同時にエギルの斧ソードスキルがヒットし、ボスのHPが残り1本となる。
エギル
- サチ君!何故そう思う!?
ヒースクリフ
- あのボスの鎖、不自然に首元を守るように振り回してるんです!
サチ
- なるほど.....敵の鎖の動きには注目してなかったな。
ノーチラス
- 了解した。これより全プレイヤーに告ぐ!動ける者で弱点の首を狙うためにボスの動きを止めてくれないか!
ヒースクリフ
- 首か.....なかなか上だな。
キリト
- キリトはボス全体を改めて見上げる。ボスは巨大のため、突進系のソードスキル《ソニック・リープ》を放ったとしてもギリギリ届くか届かないかの距離だ。
キリト
- おい!誰かボスの首元まで跳べる奴いないか!?
キリト
- んなの居るのか!?
クライン=おっさん
- .....1人いるじゃねえか。鳥系のボスの体内まで突っ込んで行くような奴が。
エギル
- そうか、アスナ!
ユウキ
- なるほど....あの時の感覚をもう一度やれば確かにボスの首元まで届くかもしれないわ。
アスナ
- でも....やっぱり些か首が高すぎるわ。何か踏み台が無いと....
アスナ
- 一瞬アスナは前のようにキリトを踏み台にして行こうかと思ったが、あの時と違ってキリトにもそこまでの余裕はない。踏み台にするにはもっと別の物が必要だ。
アスナ
- アスナさん!あれとかどう!?
サチ
- サチがアスナの元に駆け寄り、一体のモンスターを指差した。
サチ
- 〜♩〜♩
ニコニコテレビちゃん
- ......そうか!何のために居るのか意味わからなかったあのニ◯ニ◯テレビちゃん!アレを踏み台にして突進系のソードスキルを首に向けて放てば!届くはずだ!
キリト
- まさかアレ、この為の救済措置だったのか!?
エギル
- どうりで何の攻撃もしてこないわけだね....
ユウキ
- 逆にあのモンスターを先に処理していたらこのボス攻略は詰みに入っていたのかもしれない。ボス戦では雑魚は倒すのが基本なので倒してはならない雑魚というのはあまりにも初見殺し過ぎるが。
ユウキ
- よし!アスナ君、ボスのダウン任せていいかな?
ヒースクリフ
- ええ。そのためには道を切り開いてもらわなければですが。
アスナ
- よし!動ける者はアスナ君の道を切り開くくんだ!
ヒースクリフ
- よし、行くぞ‼︎
キリト
- まずはボスの動きを止めなきゃな。タンクはボスを足止めするぞ‼︎
エギル
- ふっ、面白い‼︎
ヒースクリフ
- ヒースクリフとエギルが率先してボスの目の前に出る。ボスの動きを止めるためだ。
ヒースクリフ
- 今だ‼︎誰かパリィを決めてボスの態勢を崩せ‼︎
エギル
- よーし!行くよキリト‼︎
ユウキ
- あぁ、遅れるなよユウキ!
キリト
- 今ボスはタンクによる足止めでまともに動けない状態だ。反撃のソードスキルでパリィを決めるには今しかないだろう。
キリト
- しかし、この戦いはそう上手くはいかなかった。
キリト
- うわぁぁぁぁぁ‼︎助けてくれぇぇぇ!
モブプレイヤー
- ‼︎
キリト
- ボスの近くに居たHPがギリギリのプレイヤーが悲鳴を上げた。居る場所はボスの衝撃波攻撃の範囲内だ。よくみると麻痺アイコンがある。回避したくてもできないのだ。
キリト
- キリト!このままじゃあの人が!
ユウキ
- 分かってる‼︎分かってるが...!!
キリト
- 今この瞬間を逃せば次の好機はいつになるのか分かったものではない。下手したら次が訪れる前にプレイヤーの7割は消えてしまうかもしれないのだ。
キリト
- ユウキ1人にパリィを任せる手もあるが、もしユウキがしくじれば結局同じ結果だ。そんな大役をユウキ1人に背負わせるのは気が引ける。
キリト
- クソ...!!
キリト
- キリト...!!
ユウキ
- ユウキもキリトと同じことを考えていたのか選択を悩んでいる顔をしていた。
ユウキ
- エーくん!あの人死んじゃうよ!何とかならないの!?
ユナ
- 無茶言うな...!今からあっちに行っても間に合わない...!
ノーチラス
- (もっとボス部屋全体をよく見ていれば...!)
ノーチラス
- ノーチラスが、或いはここにいるプレイヤー全員が諦めていたその瞬間、ノーチラスはある事に気づく。
ノーチラス
- さっきボスの弱点を見つけたプレイヤーが、近くに居ない事に。
ノーチラス
- ハァ..!ハァ..!
サチ
- そう。サチはこの場でただ1人、彼が危ないことを早めに気づいていたのだ。VR空間でのみ彼女は奇跡のような視力の良さ、視界の広さを得ていた。それによりボス部屋全体の状況が大まかに把握できるのだ。全プレイヤーを助けるという思いで戦う攻略組プレイヤーの1人である彼女が、その視力を通して死際のプレイヤーを見つければ、助けに行くのは当然だったのだ。
サチ
- キリト!ユウキ!あの人は私が助けるから、2人はボスの攻撃を優先して‼︎
サチ
- サチ‼︎よせ、君も巻き込まれるぞ‼︎
キリト
- サチ‼︎‼︎
ユウキ
- 間に合うか、間に合わないかなどもはや彼女の中で考えにはなかった。この戦いが始まってからというものの自分は見てばかり。攻略の役には立っているのかもしれないが、一歩も動かないというのは自分のプライドが許されなかった。
サチ
- 馬鹿野郎‼︎
キリト
- キリトは無意識にサチの方向へ全速力で走っていった。
キリト
- しかしユウキは敢えて何も言わなかった。理解できるからだ。キリトの気持ちも、その行動も。自分も今すぐキリトと同じことをしてしまいそうだから。
ユウキ
- サチ!戻れ‼︎サチ‼︎
キリト
- キリトは全速力でサチに追いつこうとする。その頃には既にサチは死にかけのプレイヤーを背負っていた。しかしもうボスの衝撃波が発生する数秒前だ。確実に巻き込まれる。
サチ
- ................
サチ
- ここまで、なのかな。
サチ
- サチは誰にも聞こえない程の小声で言い、背負っていたプレイヤーを自分のSTRが出せる最大のパワーで自分の元に全速力で迫るキリトへ受け渡した。
サチ
- サチ‼︎
キリト
- キリトがサチの名前を呼ぶその頃には、もうサチのアバターは衝撃波で遠くまで吹っ飛ばされていた。
サチ
- .........嘘だ。
キリト
- キリト‼︎プレイヤーは俺らが引き受ける!早くサチの所へ行け!
クライン=おっさん
- .....!!
キリト
- キリトは無言で頷き、大ダメージを受けているサチの元へ向かった。
キリト
- サチは横たわり、武器も手放していた。そのHPゲージはみるみるうちに減っていき、キリトの目の前で......0になった。
キリト
- ...........
キリト
- サチ!しっかりしろサチ‼︎
キリト
- ごめんね キリト....私はここまでみたい。折角助けてもらったのに....恩を返しきれなかったね。
サチ
- 恩なんて気にしてない!待ってろ、今回復を‼︎
キリト
- 回復しようとしたが、既にサチのアバターは光り輝いていた。この状態になったらもうポーションを与えることすらできない。
キリト
- もういいんだ....キリト。私ね....幸せだったよ?キリトと一緒に居られて、戦えて、笑い合えて。
サチ
- 君は死なせない....俺はそう言った。なのに.....俺は‼︎
キリト
- ...... そんな顔しないで。
サチ
- 私が勝手に飛び出したんだよ?キリトが気にする必要ない。......でも、キリトは優しいからきっと気にしちゃうよね。
サチ
- じゃあ.....私の分まで、誰かを生かしてあげて。
サチ
- ‼︎
キリト
- 私みたいな.....弱虫を........救ってあげて......
サチ
- キリト.......ありがとう.....さよなら。
サチ
- その言葉と共にサチはポリゴンの欠片となりこの世界から消滅した。
サチ
キリト
- 声が出なかった。言葉が出なかった。
キリト
- サ....チ.....
キリト
- キリトは《絶望》というものを味わっていた。全身の力が抜け、視界が黒に染まってゆく。剣を握る力も消え失せ....目の前でみんなが戦っている光景るに対しても何も感じられなくなっていた。
キリト
- (死ぬ........か。)
キリト
- (ここで死ねば......もうこの感覚を味わなくて済むのかな。)
キリト
- そんな柄にもない事を思いながらキリトは.....動きを止めた。
キリト
- ..........
キリト
- ..........
キリト
- ..........
キリト
- ..リト‼︎
キリト
- (やめろ。もういいんだ。ここで終わらせてくれよ。)
キリト
- キリト!!
キリト
- (俺には....約束1つすら守れないんだ。)
キリト
- キリト‼︎
ユウキ
- その声は、幾度となく聞いた声。いつも自分の隣にいて、共に多くの死線をくぐってきた最高の相棒の声。
ヒースクリフ
- ユウ.....キ
キリト
- ユウキはとても辛そうな顔をしながらもボスに攻撃を仕掛けようとしている。己の使命を全うするために感情を押し殺しているのだろう。
キリト
- そしてユウキの剣がボスの攻撃を弾き、ボスは見事に体勢を崩した。
ユウキ
- アスナ!後はよろしく!
ユウキ
- 了解‼︎
アスナ
- するとユウキはキリトの元へ全速力で駆け寄ってきた。
アスナ
- ........
キリト
- するとユウキは膝をついているキリトの両方を掴んできた。
ユウキ
- しっかりしてよキリト‼︎まだ戦いは終わってないんだよ⁉︎
ユウキ
- きっとアスナがボスをダウンさせてくれるから、キリトも早く準備を‼︎
ユウキ
- .......
キリト
- キリトは心で葛藤していた。ユウキが自分にここまで語りかてくれているのに未だに声が出ない。本当は今すぐにでも剣を握らなければいけないのに。
キリト
- .......
ユウキ
- ボクの知ってるキリトは.....
ユウキ
- あの日....宿屋でこの世界と戦う覚悟はあるかってボクに聞いてきたあのキリトは!こんな所で折れたりしないよね!
ユウキ
- あの時のキリトに......ボクを救ってくれたヒーローのキリトに、戻ってよ‼︎
ユウキ
- ....!!
キリト
- そうだ。忘れていた。辛いのは自分だけではない。今ここにいるユウキも、アスナも、ノーチラスも、ユナも、エギルも.....今戦ってる人だって失った仲間は居るはずだ。それでも戦い続けてるんだ。どんなに苦しくても、辛くても、逃げ出したくても。
キリト
- 自分は仮にも攻略組トップなどと呼ばれているのだ。.....自分1人だけ逃げる事など、許されない。
キリト
- .....
キリト
- 全く....俺はこの世界で1番の愚か者だな。
キリト
- その刹那、キリトの腕が剣を握りしめ、ゆっくり立ち上がる。
ユウキ
- その瞳は闇を見据えるのではなく、この先にある勝利を見つめていた。
ユウキ
- キリト....!!
ユウキ
- そして同時に幸せ者だ。こんなに俺の事を思ってくれる.....最高の仲間が居るんだからな‼︎
キリト
- 良かった.....
ユウキ
- 待たせたな、ユウキ。こっからはいつもの俺だ。.....あのボスを倒すぞ‼︎
キリト
- うん!どこまでも付いて行くからね!
ユウキ
- キリトが再び戦意に目覚めた時、丁度アスナはボスに特攻を仕掛けようとしていた。
アスナ
- (遠目だけど....キリトくんは立ち上がった。どうやらいつもの君に戻ったみたいね。)
アスナ
- (後は....!私がここで決める‼︎)
アスナ
- アスナは作戦通り、パリィで軽く動きを止めているボスの首にソードスキルを当てるため、突然リポップした意味不明なニ◯ニ◯テレビちゃんを踏み台にし、思いっきり上へ跳んだ。
アスナ
- グシャッ
ニコニコテレビちゃん
- 踏み台にしたモンスターはそれだけでHPが0になり、この世界から消滅した。もう後はない。この一発で決めなければみんなの努力も....サチの死も無駄となる。
ニコニコテレビちゃん
- せやぁぁぁぁ!!!!!
アスナ
- アスナは思いを込めた突進系ソードスキル、《シューティング・スター》を放った。狙いは当然ボスの首元だ。
アスナ
- 狙い通り首元にアスナの細剣が貫通。しかしボスは中々ダウン状態にならない。アスナはさらに剣を押し込んでいく。
アスナ
- 早くしないとボスが体勢を立て直してしまう。そうなると1番危ないの1番ボスに近い自分だろう。だか、そんな危険覚悟の上だ。
アスナ
- はぁぁぁぁぉぁぁ‼︎‼︎
アスナ
- その時、アスナの願いが届いたかのようにボスの様子が豹変し、後ろに倒れ込む。無事ダウンが成功した証だ。
アスナ
- 今よ、みんな‼︎
アスナ
- よくやったアスナ!大したもんだ!
エギル
- 全員突撃!ここで決めるんだ‼︎
ヒースクリフ
- 行くぞユナ!
ノーチラス
- うん!
ユナ
- ここで終止符を打ってやるわ‼︎
モブプレイヤー
- お呼びみたいだよ、キリト?
ユウキ
- さぁて、俺達も行くぞ‼︎
キリト
- ボスのHPゲージは残り1本。今動けるメンバーはおよそ十数名。削り切れるかは五分五分だろう。だか、ここに居る全てのプレイヤーがリスクよりも勝利を優先していた。
キリト
- オラァァァァ!
エギル
- ふん!はぁん!
ヒースクリフ
- やぁっ!
ユナ
- 絶対にここで倒す‼︎
クライン=おっさん
- 大人しく倒れてろ‼︎
ノーチラス
- 横たわったボスに近寄り、自分の使える1番強いソードスキルをそれぞれが放つ。
ユナ
- ボスのHPはみるみるうちに減ってゆき......
クライン=おっさん
- しかし、最後のゲージのHPが半分削られた所でボスは再び再始動してしまう。
クライン=おっさん
- ぐおぉおっ!
クライン=おっさん
- 全員退避...
ヒースクリフ
- ヒースクリフの警告虚しく、キリト達含め周りにいたプレイヤーはボスの鎖の全方位なぎ払いで吹き飛ばされてしまった。
ヒースクリフ
- まずい.....タンク以外全員HPがレッドゾーンだぞ!
ノーチラス
- くそっ!後少しなのによ!
クライン=おっさん
- ....!!
アスナ
- ボスは先程ダウンさせた恨みを晴らすかの如く暴れまわっている。
アスナ
- どうしようキリト...!
ユウキ
- こんな所で終わってやるもんか。
キリト
- この勢いのまま倒す‼︎
キリト
- 周りがボスの攻撃に圧倒され動けない中、キリトは1人ボスへ突っ込んでいった。
キリト
- ちょっ!キリト!
ユウキ
- よしたまえキリト君!無謀だ!
ヒースクリフ
- (無謀?そんな事分かってんだよ。ここまで来たら後には絶対引けない!例え刺し違えてもコイツを.....ボスを倒す‼︎)
キリト
- (あのボスのHPの残り量からして俺の使える最大威力のソードスキルを使えば....!)
キリト
- 繰り出すのはキリトが今まで誰にも見せずにいたソードスキル。片手直剣で最も威力が高く、連撃数が多い。その分スキル硬直が多いため止めの一撃として使うものだ。
キリト
- ソードスキル....!《ノヴァ・アセンション》‼︎
キリト
- 片手直剣10連撃奥義ノヴァ・アセンション。取得自体が最近のため精度もまだ低いがこれで決めるしかない。一度モーションを起こしたらソードスキルが終わるまで止まれないのだ。
キリト
- しかしボスはまだ少し先にいる。もう首を狙うことはできないため、出来るだけ装甲の薄い部分を狙う。最もそこまで辿り着けるかは定かではないが。
キリト
- ボスの攻撃がキリトに襲いかかる。キリトのHPは既にレッドゾーンだ。あと一発喰らえば問答無用であの世行きだろう。誰から見ても無謀に思えたキリトの特攻。しかしキリトは皆の予想を超え、ボスの鎖を、斧を、ハンマーをソードスキル発動中にも関わらず避けて行く。
キリト
- うぉぉぉぉ!!!
キリト
- キリトはあっという間にボスの間合いに入る。
キリト
- 何という反応速度だ...
ヒースクリフ
- キリト....凄い。
ユウキ
- 喰らえぇぇぇぇぇぇぇぇ‼︎‼︎‼︎
キリト
- ボスの目の前まで一気に詰め寄るキリト。しかしボスはわざと体勢を低くして装甲の硬い体をわざとソードスキルの射程圏内に合わせてくる。
キリト
- ちくしょう...!!
キリト
- 今更ソードスキルの照準は変えられない。しかし装甲の硬い部分にソードスキルを当てても倒せる保証はない。
キリト
- (ここまで....なのか⁉︎)
キリト
- キリトが折れかけたその時....後方から2本の剣が飛来し、ボスの両足に突き刺さった。予期していなかった足への攻撃によりボスは前に倒れる。
キリト
- その剣は...《聖剣ラグナロク》と《キング・フルーレ》。キリトが見覚えのある2本だった。
キリト
- キリト‼︎今だぁぁ‼︎
ユウキ
- ちゃんと決めてよね‼︎
アスナ
- .....サンキューな!ユウキ!アスナ!
キリト
- 振り返ることはできないが大きな声で2人に感謝を伝えた。前にボスが倒れてきたことにより、ソードスキルの射程圏内に運良く首元が入る。
キリト
- これで.....終わりだぁぁぁ‼︎
キリト
- キリトは最後の決め手となる10連撃をボスの首に叩き込んだ。
キリト
- ボスはこれまでにない呻き声を上げながら......その姿をポリゴンの欠片に変え、この世界に散った。
キリト
- ........
キリト
- アインクラッド第25層フロアボス《ザ・ティターン・ディアボロス》は、9人の犠牲と共に攻略されたのだった。
キリト
- To be continued...
キリト