ソードアート・オンライン 黒紫の英雄譚 第29話
ついにキリトのギルドが...!
- 2022年2月22日 第11層ボス部屋にて
キリト
- この日は第11層ボス、《ザ・ストームグリフィン》のボス攻略を決起した日だった。
モブプレイヤー
- 広範囲攻撃来るわ!タンクはボスを引き付けて!
アスナ
- 了解だ!
エギル
- 行くぞぉぉぉ!
モブプレイヤー
- 幸い、前の層の《カガチ・ザ・サムライロード》よりもステータスは弱い方で、ボス開始15分で既にHPゲージは残り1本の内の半分だ。
モブプレイヤー
- しかしボスは鳥系なので、こちらのソードスキルの届かない場所まで余裕で飛ぶ。地上に降りてきた時に攻撃するしか無いのだが...
モブプレイヤー
- クソ!虫の息になった途端に降りてこなくなりやがったぞ、あのチキン‼︎
クライン=おっさん
- まぁ鳥だからな...
キリト
- そういう意味では無いと思うぞ。
ノーチラス
- さっきから上空で広範囲攻撃してくるだけだね。
ユナ
- ......ああもう!限界!
アスナ
- キリト君!私を思いっきりボスへ飛ばして!
アスナ
- は?正気か、アスナ!?
キリト
- いいから!私があの鳥を駆逐してくるわ!
アスナ
- えぇ...流石に届かないだろ。
キリト
- と言いつつも、アスナのボスフロア並みの眼光に負け、キリトはアスナを飛ばす態勢になる。主に踏み台的な。
キリト
- アスナ、いつでも来い!というより早く来て!この態勢結構辛い!
キリト
- 任せて!
アスナ
- キリトを踏みつけドシッ‼︎という音を発生させ、アスナは飛んだ。
アスナ
- ヘブっ!
キリト
- アスナ!平気なの!?
ユウキ
- 行くわよ!
アスナ
- アスナは意を決してソードスキル、《シューティング・スター》を放つ。突進技であるこの技は攻撃だけでなく距離を詰める際にも有効だ。
アスナ
- いくら何でも無理では..?
キリト
- はぁぁぁぁぉぁぁ‼︎
アスナ
- ボスの目の前に到達したアスナは、そのままボスの口に思いっきり突っ込んだ。
アスナ
- キェェェェェェアァァァァァァトドイタァァァァァァァ!!!
キリト
- 嘘だろ...アスナ、ボスの体内に突っ込みやがった...
エギル
- あ、出てくるっぽいよ。
ユウキ
- ユウキの言う通り、アスナはボスの肉体を貫いてそのままボスの尻尾から飛び出してきた。
キリト
- ボスはそのままHPが0になり、消滅した。
キリト
- おい...アスナさん着地考えてなくないか?
ノーチラス
- あっ...
キリト
- キリト君!着地任せた!
アスナ
- ええ!?
キリト
- 言われるがまま、キリトはアスナを受け止めた。あのまま放置してたらアスナは落下ダメージでHPが全損していただろう。
キリト
- 場所は変わり、アインクラッド第12層 主街区
ノーチラス
- しっかし味気ないボスだったな。何というか、前の層に比べて弱いっていうか...
エギル
- 全部これくらい弱かったらありがたいんですけどね。
ノーチラス
- 全く...最近アスナは無茶か多いな。
キリト
- そりゃ近くに無茶ばっかやる男がいるからな。
ノーチラス
- 俺の事かよ...最近は無謀は控えてるぞ。
キリト
- それより、お前ギルドはいつ作るんだ?前に作るって言ってから1週間以上経ったが...
エギル
- 実は、その件で悩んでててな。
キリト
- ギルドの名前が思いつかないんだ。
キリト
- 名前って...そんなの適当でいいだろ。
エギル
- ダメだ!ゲームにおいて、ギルドの名前は大きく公表されるんだ!つけて後悔しない名前にしないと!
キリト
- 要するに第3者の目線が気になるのか。
ノーチラス
- キーリート?何話してるの?
ユウキ
- このリーダー様はギルドの名前が思い付かずに悩んでるらしいですよ。
ノーチラス
- 何それ?名前なんて適当で良くない?
アスナ
- 何でみんな辛辣!?
キリト
- ....もし良ければよ、いつも色んな責任を負ってくれてるお前を助けるつもりで、俺達もギルドの名前を考えてやろうか?
エギル
- それいいね!ボクはキリトのギルド出来たら絶対入るし!
ユウキ
- (あ、そうだったの?)
キリト
- まぁ?いずれ入るギルドの名前考えるのは悪くないわね。
アスナ
- (ユウキ...アスナ...ありがとう。最悪ギルド作ってもぼっちになるの覚悟してた..)
キリト
- 第12層 居酒屋
????
- これより第一回、ギルド名考案会議を始める‼︎
キリト
- イェェェェェイ!
モブプレイヤー
- 待ってましたァァァ!
クライン=おっさん
- 何か人めっちゃ集まったな。
エギル
- そんなにキリト君のギルド楽しみなのかしら。
アスナ
- えーと、とりあえず何か名前思いついた人!
ユウキ
- ..........
クライン=おっさん
- と..とりあえず今から紙配るから、それに何でもいいから案を書いてくれ。
キリト
- うーん...悩むね。
ユウキ
- (何でもいいか。)
ノーチラス
- 広まっても恥ずかしくない名前にしよう。
アスナ
- それぞれのプレイヤーが紙に案を書き、キリトに集められた。
アスナ
- ねぇねぇ!どんなのあった!?
ユウキ
- えーとまずは...
キリト
- ・黒の組織
キリト
- いやアウトォォォォ‼︎これ攻略プレイヤーのギルドの名前じゃないだろ!明らかに犯罪者ギルドだろ!
キリト
- いや〜キリト黒いからぴったりかと。
クライン=おっさん
- お前が書いたのかよ!
キリト
- まぁいい..次は...
キリト
- ギニュー特◯隊
キリト
- 何これ?何かこの名前にしたら怒られそうな名前してるけど...
アスナ
- ギニュー特◯隊!?5人までしか入れないじゃないか!
モブプレイヤー
- 指摘するポイントそこかよ。
モブプレイヤー
- えーと...雲行きが怪しいけど次。
キリト
- 陰キャの集い
キリト
- 誰が陰キャだぁぁ‼︎
キリト
- ここにいる皆のネーミングセンスが絶望的ね...
アスナ
- 俺は陰キャじゃねぇ!断じて陰キャじゃねえ!
キリト
- もう少しまともな名前はないのか?
エギル
- なんか疲れてきた...次は...
キリト
- 黒紫の剣豪団
アスナ
- ......あれ?
キリト
- 随分まともなやつ来たな。
エギル
- 黒紫...?何それ。
アスナ
- 黒紫というのは、黒みがかかった紫色の事ですね。似たような色合いに紫黒という色がありますが、こちらは紫みのある黒色です。
ノーチラス
- エーくん詳しいね...
ユナ
- にしてもこの名前良いじゃねえか!剣の世界にぴったりだぜ!
クライン=おっさん
- 剣豪...剣豪...
キリト
- カッコいい!採用!
キリト
- キリト...
エギル
- お前のカッコいいの判断基準が小学6年生くらいだな。
ノーチラス
- 剣豪!俺達にピッタリの通り名じゃないか!
モブプレイヤー
- なんか急に自分に自信が持ててきたぞ!
モブプレイヤー
- ところで...この素晴らしい名前考えた人誰!?
キリト
- ..........
キリト
- あれ....?これ書いた人恥ずかしがってる?
キリト
- 別に誰でもいいんじゃない?これで採用なんでしょ?
アスナ
- まぁそうだけど....そういえば何で『黒紫』?
キリト
- ...........
ユウキ
- .....
ノーチラス
- (なるほどね..)
ノーチラス
- おい、名前決まったなら早く会議を終わらせてくれないか?これから12層の攻略の準備しなきゃいけないし。
ノーチラス
- あ、そうだな。みんな協力ありがとう!数日以内にギルドを設立するから、出来たらまた連絡する!
キリト
- おう!良いギルドを作れよ!
エギル
- そんじゃ、俺達も行くぜ。
クライン=おっさん
- またフィールドで会いましょう。
アスナ
- バイバーイ!
ユナ
- ギルド名が決まり、キリトとユウキとアスナ以外はそれぞれするべき事を為すためにその場を後にした。
ユナ
- ところでさ、キリトも言ってたけど何で『黒紫』なのかな?キリトは確かに真っ黒な姿してるけど、紫色混じってないよね?
ユナ
- ユナはノーチラスに己の疑問を投げかけていた。
ユナ
- 確かにな....誰が書いたかわからない以上考察のしようも無いが...
エギル
- なんだ、分からないのか?
ノーチラス
- ?
エギル
- あれを書いたのはユウキだろ、間違いない。
ノーチラス
- え!?ユウキが?何でそう思うの?
ユナ
- 簡単だ。「黒紫の剣豪団」という名前が呼ばれた時にずっと目が泳いでいたからな。
ノーチラス
- でもよ...黒紫の意味が分からないんだが?
エギル
- さっきも言ったでしょ?黒紫は黒みのかかった紫色。黒はキリトで紫はユウキ自身を喩えていてる。つまり黒と紫で黒紫になるように、キリトと一緒になりたいというユウキなりの心の表れでしょう。
ノーチラス
- わぁ...ロマンチックだね。
ユナ
- 深読みしすぎじゃね?
クライン=おっさん
- つまり...何だ?ユウキはキリトの事を...
エギル
- そこまでは知りませんよ。ただ...最近見たら分かりますが、ユウキがキリトに向ける視線が変わりつつある。
ノーチラス
- キリトへ向ける感情が、ただの憧れから...何かに変わりつつあるのかもしれません。
ノーチラス
- 本人も気付いてないってのか。
エギル
- だから分かりませんよ。
ノーチラス
- 今言ったこと全部、僕の考察でしかありませんし。
ノーチラス
- なるほどね...面白くなってきたじゃねえか!根暗根暗言ってるキリトにも春が来たってわけか!?
クライン=おっさん
- 言っとくが、今の言った事キリトに言うなよ?アイツに言ったら何しだすか分かったもんじゃない...
ノーチラス
- 分かってるって...そこまで野暮じゃねえよ。
クライン=おっさん
- ユウキ....
ユナ
- (何でかな...私には春が来たと言うよりも...もっと大変な何かが訪れるような...)
ユナ
- (そんな気がしてならないよ..)
ユナ
- 新たなるギルド、「黒紫の剣豪団」の誕生。しかしそれ以上に気になる事がユナにはあった。
キリト
- さて...ギルド作成完了っと。明日の朝に2人を誘うかな。
キリト
- To be continued...
キリト