ソードアート・オンライン 黒紫の英雄譚 第24話
物語は2023年に突入する。これまでに無い過酷な戦いが始まろうとしていた...
- 2023年2月3日。この日、アインクラッド第9層のボス攻略が行われ、無事犠牲者0で突破した。
キリト
- 第9層ボス《Demonic the Fallen Elven》は、ダッシュ攻撃や竜巻攻撃、範囲攻撃など厄介な攻撃こそしてきたものの、落ち着いて対処すればどうと言うことはないボスだったため、ここ最近の攻略では簡単な方だったと言える。
ユウキ
- ふぅ....
キリト
- 勝ったね...今回も。
ユウキ
- 今回は些か弱かった気がするな。
ノーチラス
- でも、RPGだとそこはあまり安心できねえかな。
クライン=おっさん
- どうして?
アスナ
- こういう弱い消化戦みたいなボスの後には、決まって馬鹿みたいに強いボスが出てくるんだよ。
キリト
- うわぁ....知りたくなかった。
ユウキ
- しかも次はいよいよ第10層。10分の1だ。
キリト
- そりゃあ...これまでとは違うレベルのボスが来るかもしれないってことか?
エギル
- 今まで以上に安全を取っていかないとね。
ユナ
- いよいよだな...
キリト
- 何が?
アスナ
- 知っての通り、βテストが進んだのは第8層までだった。この層は大した難易度じゃなかったから助かったが...次の層はそう上手くはいかないだろう。
キリト
- 第10層は、今まで以上に苛烈な戦いになるぞ。
キリト
- みんな、気を引き締めて行け‼︎
キリト
- 了解だ!
モブプレイヤー
- キリトさんも気をつけて!
モブプレイヤー
- 本来なら第9層突破記念の祝勝会をやるところだが、10層の難易度が高そうなのを見越して、祝勝会は先送りとなった。
ユウキ
- よし、この扉の先には第10層の最初のフィールドがある。覚悟はいいか?
キリト
- おう。
エギル
- できてるさ。
ノーチラス
- いつも通りに、でしょ?
ユナ
- どんなフィールドかな...
ユウキ
- キリトが思い切って10層に続く扉を開けた、その先には...
ユウキ
- 第10層 フィールド
ユウキ
- こ、ここここれは!
クライン=おっさん
- 紅葉があちらこちらに咲いてるな。
エギル
- 和風の層ね。
アスナ
- なんていうか...京都みたいだね。浴衣着たい気分になるよ。
ユウキ
- ここの層は和風...つまり今までとは違った敵が出てくるのか?
キリト
- とりあえず進んでみるか。
キリト
- おい、モンスターがいるぞ!
ノーチラス
- 《Orochi・foot soldier》Lv 19
ノーチラス
- オロチ・フットソルジャー?
モブプレイヤー
- オロチ....あの見た目通り蛇か。
キリト
- え!蛇!?あんまり見た事ないから気になるー!
ユウキ
- 私はあまり得意じゃないかな...
アスナ
- 全体的に雑魚のレベルが高くないか?
エギル
- あぁ。安全マージンをかなり取ってれば大した事ないレベルだが...それにしたってこのレベルは高いな。
キリト
- 序盤でレベル19....迷宮区はレベル22くらいの雑魚が居るのか?
キリト
- とりあえず、この街の主街区を見つけないとな。
エギル
- あぁ。各自分散して探索してくれ!
キリト
- 了解だ。ユナ、気をつけていくぞ。
ノーチラス
- うん!了解!
ユナ
- ユウキ、アスナ、探索開始だ。いつも以上に気をつけて行くぞ。できれば雑魚を倒しながら。
キリト
- 了解!こんな蛇蹴散らしてくれるわ!
アスナ
- アスナ...テンションおかしくなっちゃってない?
ユウキ
- 探索開始から30分
ユウキ
- 何この層!蛇!蛇!蛇ばっか!
アスナ
- いや、他の敵だって居るだろ...
キリト
- ボクは虫系いけるから問題ないけど、虫苦手な人はこの層地獄だね。
ユウキ
- アスナって以外と苦手なもの多いよな。
キリト
- 乙女だからね。仕方ないね。
ユウキ
- もーーっ!私にだって苦手なものも、怖いものも、嫌いなものもあるの!それが立て続けに出てきてるだけだから!
アスナ
- どうだか...
キリト
- おーい!キリト!俺のパーティーが見つけたぞ!主街区!
クライン=おっさん
- 他のメンバーも主街区に向かったから、お前らも来い!
エギル
- エギルとクラインの声に応じてキリト達が向かった先には...
エギル
- 第10層 主街区 デケイド
エギル
- わ、和風な所ね!
アスナ
- (デケイド....10層の「10」を意味してるのか。)
キリト
- すごーい!本当に京都みたーい!舞子さん居ないかな?
ユウキ
- NPCの着てる服も和服だな...
ノーチラス
- ひょっとして和服を生成するクエストでもあるんじゃねえか?
クライン=おっさん
- へぇ...性能によっては欲しいかもな。
キリト
- 相変わらずね。
ユナ
- 性能厨だな。
ノーチラス
- キリトこそお洒落をするべきだと思うよ?
ユウキ
- まぁまぁ。とりあえずみんなここで解散か?
エギル
- そうだな...この後は各自攻略を進めよう。改めて言っておくが、無茶はするなよ?
キリト
- 了解ですキリトさん!
モブプレイヤー
- キリトさんもご武運を!
モブプレイヤー
- じゃあね〜キリト!また会おうね〜。
ユナ
- おう!
キリト
- じゃあな。
エギル
- ふぅ....侍として心の和む層だ...
クライン=おっさん
- クライン...刀スキル取っただけじゃなくて、侍スキルなんてあったのか?
キリト
- 違ぇよ!気持ちの問題だ!
クライン=おっさん
- まぁ、そろそろ俺も行くさ!
クライン=おっさん
- おう、死ぬなよ。
キリト
- お前もな。
クライン=おっさん
- キリト、まずどうする?
ユウキ
- まずは、ユウキがずっと装備したいって言ってたあの武器の装備が現時点で出来るか確かめよう。
キリト
- あ、楽しみにしてたのバレた?
ユウキ
- バレバレだよ...良いから装備してみろよ。
キリト
- 今度こそ行けるよユウキ!
アスナ
- うん...じゃあ装備してみるね。
ユウキ
- ユウキはメニューからステータス画面に移動し、《聖剣ラグナロク》を装備してみた。すると...
ユウキ
- 持てる....構えられる‼︎
ユウキ
- やったじゃないユウキ‼︎これで百人力ね‼︎
アスナ
- どうだ?振れそうか?
キリト
- うん!振れる......あれ?
ユウキ
- うーん...振れるんだけどさ。何か馴染まないんだよね...この剣がボクの動きについて来ないっていうか..
ユウキ
- ?
キリト
- ?
アスナ
- まだSTRが足りないのか...?それとも《聖剣ラグナロク》を武器として使用するには、何かの条件が必要なのか...?
キリト
- でも前よりは遥かに軽く感じるよ!後でフィールドで使ってみるね!
ユウキ
- 慣れれば怖くないわ、ユウキ!
アスナ
- さて...まずはこの層の宿屋を...
キリト
- おイ、キー坊。
アルゴ
- うわぁ!アルゴ!?
キリト
- 新層が解放されたっぽいから遊びにきたゾ。
アルゴ
- 毎回思うけど、お前情報知るの早すぎだろ!どんだけ情報網広いんだよ!
キリト
- それくらいないト、情報網は務まらないゾ?
アルゴ
- で、何の用なの?アルゴ。
ユウキ
- いやぁナ?キー坊は最近上の層ばかり行ってて下の層での出来事に疎いだロ?
アルゴ
- 攻略プレイヤーという責務を背負ってるその生き様に免じテ、格安で情報を売ってやろうかと思ってナ。
アルゴ
- 要するに...商売しにきたんですね。
アスナ
- 別に要らん(無慈悲)。
キリト
- 何でダ!?オレっちの情報はピカイチってお前も知ってるだロ!?
アルゴ
- そんなもん下の層で死ぬ気で調べれば出てくるだろ。お前に金払って聞くまでも無い。
キリト
- うっ...だガ、調べても出てこない情報ならオレっちが売ってやるゾ!?
アルゴ
- どんだけ売りたいのさ!?
ユウキ
- ....もしかしてアルゴさん、金欠?
アスナ
- ギクッ
アルゴ
- 何だそれ。金無いならフィールド出れば良いだろ。
キリト
- あのなァ!恨み買う情報屋がフィールドなんかに出てみロ!犯罪者プレイヤーに囲まれル!
アルゴ
- だからフィールドにはうかつに出られないんダ!
アルゴ
- ....なるほど。大変だな、頑張れ⭐︎
キリト
- 鬼!悪魔!チーター!
アルゴ
- チーターじゃないわ!
キリト
- キリト君...アルゴさんをこのまま放置してたら可哀想だよ。救ってあげよ?
アスナ
- そうだよ!困った時はお互い様でしょ?キリトだってアルゴに助けられた事あるでしょ!?
ユウキ
- うーん....じゃあ金貯まるまで俺らとパーティー組んで攻略でもするか?
キリト
- いいのカ!?ぜひ頼ム!
アルゴ
- アルゴさん...差し出がましいようですが、レベル足ります...?
アスナ
- 舐めるなヨ..?オレっちのレベルは20。この層でも戦っていけル!
アルゴ
- 良かった..安心しました。(レベル22)
アスナ
- いざとなったら逃げてね?(レベル22)
ユウキ
- よし、そうと決まればパーティー組むぞ!(レベル23)
キリト
- 恩に着るゾ、キー坊!
アルゴ
- こうしてキリト達のパーティーに、荒稼ぎのために一時的にアルゴが加入した。
アルゴ
- 現在時刻は15:00か。別に遅くはないが、あまり長い間の狩りはできないな。
キリト
- 宿屋の確保もしたいし、2時間くらいで切り上げる?
ユウキ
- それがいいな。
キリト
- そうと決まれば出発よ!
アスナ
- パーティー組んで攻略なんて初めてダ。
アルゴ
- ついて来いよ、アルゴ?
キリト
- 腐ってもβテスターだゾ?
アルゴ
- 分かってるさ。
キリト
- 第5層 フィールド
ユウキ
- クソ!アスナの言葉を借りるが、蛇ばっかだな!流石に飽きてくる!
キリト
- ところでユウキ、どうなの?剣の調子は。
アスナ
- なんか思ってたのと違う...ソードスキル使った後にラグが発生するっていうか...小回りが効かないっていうか...
ユウキ
- それが噂の剣...確かに見た目からして強そうだガ、お気に召さないのカ?
アルゴ
- まぁ、使ったばっかだしね。これから慣れていくと思うよ。
ユウキ
- おい、話の途中だが蛇を殲滅したぞ!褒めてくれ!
キリト
- あら早い。凄いわねキリト君...
アスナ
- ...ん?
アスナ
- キリト君!あそこに誰かいる!モンスターに囲まれてるよ!?
アスナ
- 何!?人数は!?
キリト
- 人の数は...5人!モンスターは倍以上居るわ!
アスナ
- 助けなきゃ!ボク先に行くよ!
ユウキ
- 行くのカ?
アルゴ
- 当たり前だ!この層のモンスターは今までとは違う!
キリト
- アルゴさんも!
アスナ
- 分かっタ。
アルゴ
- そこの人達!今助けるからね!
ユウキ
- ‼︎
サチ
- てやぁぁぁぁ!!!
ユウキ
- アスナ!アルゴ!半分頼んだぞ!
キリト
- 了解!
アスナ
- ほいサ!
アルゴ
- 囲まれるほどの数は居たものの、レベル差があったキリト達はあっという間にモンスターを殲滅した。
アルゴ
- ふぅ...大丈夫か?
キリト
- 全然平気よ。それより...
アスナ
- 大丈夫ですか?
ユウキ
- あの..ありがとうございました。
サチ
- 私、サチって言います。
サチ
- この人達は...
サチ
- サチが紹介したメンバーは、「テツオ」、「ササマル」、「ダッカー」、「ケイタ」というらしい。強くなるために最前線であるこの10層にさっき来たらしいが...
サチ
- 君達、きつい事を言うようで悪いけどレベルは?
キリト
- 1番上のわたしが17です。
サチ
- それは...少し無理があるわよ。
アスナ
- この層に来るなら最低でも19はないと。
ユウキ
- 分かってるんです...!でも下の層に居たら、私達みたいな気弱な性格の人は犯罪者プレイヤーに狙われる...!狙われないように強くなるためには、上の層に行くしかないんです!
サチ
- (犯罪者プレイヤー...)
キリト
- (そういえばアルゴ言ってたな。下層の出来事がどうのこうの。)
キリト
- うん。ごめんね、きつい事言って。この人空気読まない事あるから。
アスナ
- はい?
キリト
- とりあえず...君達は街に戻った方がいいよ。ボクらも着いていくから。
ユウキ
- エ。
アルゴ
- おいおい、狩りはどうするんダ!?
アルゴ
- 予定より1時間早いけど今日は撤収しようよ。この人達を放っては置けないし、それにこのフィールドは陽が落ちるのが早いからあっという間に暗くなっちゃうよ?
ユウキ
- ...分かった。今日は撤収だ。
キリト
- .......御意。
アルゴ
- サチさん、皆さんも歩ける?
アスナ
- キリト達はサチ含む5人のパーティーを連れてデケイドまで戻った。
アスナ
- ありがとうございます...護衛まで。
サチ
- 他のみんなはショップに行っちゃったけど。
サチ
- 気にするなよ。このデスゲームじゃ困った時はお互い様だぞ?
キリト
- オレっちには冷たかったくせニ。
アルゴ
- お前は接触の仕方ががめついからな。
キリト
- おイ!
アルゴ
- あの...迷惑かけてごめんなさい。攻略の邪魔しちゃいましたよね?
サチ
- 邪魔なんかじゃないわ。私達の目的はプレイヤー全員をこの世界から助け出す事なんだから、サチさん達を助けるのは当然の事よ?
アスナ
- そうだよ!そんな内気にならなくてもいいからね?
ユウキ
- .....まぁ、理由はどうあれ最前線に来る勇気は誰にでもあるものじゃない。もし、君たちが本気で強くなりたいなら、その時は攻略メンバーとして迎えるよ。
キリト
- ....ありがとう、ございます!
サチ
- 俺とフレンド登録しておかないか?そうすればメール飛ばしてくれれば対応できるぞ。
キリト
- 良いの?
サチ
- もちろん!頼ってくれよ。
キリト
- キリトの提案に乗じてサチはフレンド申請をした。
キリト
- 了承...と。じゃあ..サチ?色々大変な事もあるかもだけど、頑張れよ。
キリト
- ありがとう...キリトさん?
サチ
- 次会うときはキリトでいいぞ。
キリト
- その言葉を受け入れた後、サチは仲間の元へ向かった。
キリト
- 情報がまた一つ知れたナ。
《悲報》キリトさん、また女をたらし込んでしまうwww ってナ。
アルゴ
- 何だそのまとめサイト風!?
キリト
- はぁ!キリトは何でそんなに女の子が好きなのかな!?自重って調べてくれば!?
ユウキ
- キリト君のフレンドリストさ、女の子多くない?
アスナ
- それは.....
キリト
- こうしてキリトは新たなフレンドができた。それと引き換えに女性の反感も増えてきた。
ユウキ
- ボクとアスナ少しこの街を見てくるねー!
ユウキ
- もうはしゃがないの、ユウキ!
アスナ
- .......
キリト
- ......
アルゴ
- おいアルゴ。話がある。
キリト
- 下層で起きた出来事、金払うから聞かせてくれ。
キリト
- いいゾ。ただしパーティーに入れてくれた恩で料金はタダだ。
アルゴ
- ....良いカ?今アインクラッド1層から5層ではナ、犯罪者プレイヤーによる大暴動が起きていテ、地獄絵図になってるんダ。
アルゴ
- To be continued...
アルゴ