ソードアート・オンライン 黒紫の英雄譚 第9話
お待たせしました。いよいよ第1層も佳境です。次回はあのキャラが登場。
- (ユウキがパーティに加わって今日で3日。ユウキには申し訳ないが俺と同じ強さに達したいと言われたのでお望み通りレベリングを一緒に行なっている。)
キリト
- (.....が、)
キリト
- キリトぉぉぉ!?後何体倒せばいいの!?今日は!
ユウキ
- そうだな...レベル10になったのが48分前だから...後30体くらいか?
キリト
- (ひとまず対人戦を教える前に基礎的なモンスターとの戦闘方法を体に叩き込む。そのついでにレベルも上げられるこのレベリング上げは最適だ。)
キリト
- うぅぅ!多すぎだよぉ〜!
ユウキ
- いや、これくらいしないとあっという間に遅れをとられるぞ。MMORPGは甘くないって事だ。
キリト
- (俺もβテスト時代はこの周辺でレベル上げをしたもんだぜ。)
キリト
- (まぁ...あの時は死んでも平気だったから多少レベルの高いエネミーとも戦ってよく死んだもんだが。)
キリト
- でも、やっぱり筋が良いな。ユウキは。
キリト
- もう回避の基礎は身についている。後教えるのは....パリィのやり方くらいか?
キリト
- 後はそうだな....《スイッチ》か。
キリト
- え?Switch?ボク持ってないよ。それ。
ユウキ
- いや、任◯堂じゃないぞ。
キリト
- スイッチってのはまあ、戦闘中に仲間と交代することだ。これを行う事で戦闘中に交代で回復したり出来るんだ。これからボス戦をやる時にはスイッチは必須になるぞ。パリィも組み込めるから加えて練習しなきゃな。
キリト
- はぁ...覚悟はしてたけどこのゲーム覚える事多すぎるよー。
ユウキ
- 最近のゲームなんて覚える事多いの当たり前だぞ。
キリト
- それにこれ以外にも覚える事はたくさんあるからな。
キリト
- はーい。よろしくーキリトせんせー。
ユウキ
- 言葉に魂がこもって無いぞぉ!
キリト
- 1時間後....
キリト
- よし。今日はこのくらいだな。よく今日の目標のレベル11まで上げた。偉いぞ。
キリト
- ....キリトはレベルいくつなの?
ユウキ
- 俺はもう経験値が全然入らないからな。14レベルから上がらなくなったよ。
キリト
- んー!!絶対追いつくからね!覚悟しといてよ!
ユウキ
- 楽しみにしてるぞ、ユウキ。
キリト
- (この世界に来て今日で1週間。相変わらずフィールドに出てクリアを目指そうとするプレイヤーの数は少ない。)
キリト
- (その理由のひとつとしては、やっぱり死者が出てるのが大きいよな。)
キリト
- そう。何も、ここ1週間でプレイヤーのほとんどがフィールドに出なかったわけでは無い。出た者もそこそこ居た。が、その殆どがフィールドで死に、街へ帰ってくる事はなかったのだ。
キリト
- 現在の死者は合計で....確か621人だったよな。
キリト
- (恐ろしい数だと思う。16人に1人はこの世界を去ったことになるのだから。)
キリト
- (クラインは...フレンドリストに反応があるから生きてるよな。けど、アイツの仲間は無事だろうか。)
キリト
- (クラインは俺が直々に教えたプレイスキルで着実にレベルを上げていると言っていた。本人は大丈夫という雰囲気を醸し出していたが、やはり心配だ。)
キリト
- キリトー?恐い顔してどうしたの?お腹減った?
ユウキ
- あのな...俺は食いしん坊じゃないz...
キリト
- ギュルーーーーーー
キリト
- あ
キリト
- ほら、やっぱお腹減ってたんだね。
ユウキ
- いや、違うぞ!確かに一日中戦闘してたから腹は減る!でも考えてた事は違うから!勘違いしないでよね!
キリト
- キリト...ツンデレ?
ユウキ
- 違いますぅぅぅ!
キリト
- 夜19時 トールバーナー
キリト
- はぁー今日もこのパンかぁ。
キリト
- 仕方ないでしょ。この層じゃこれくらいの食べ物しかないんだから。
ユウキ
- 俺たちは基本店に行かないから実質パンしか食べるものがないとはいえ、味は無いし硬いし、空腹を満たす事しかできないぜ。
キリト
- 出来るだけ十分でしょ。って言いたいけど、さすがにずっとこれじゃあね。
ユウキ
- (他の食事もあるにはある。が、それは現時点では手を付けるには少々厳しい値段の食べ物だ。特に俺たちは日頃武器の強化やらポーションの購入やらで財政難だ。とても食事に費やす金など無い。)
キリト
- (金を稼ぐためのクエストもあるが意地の悪いことに、経験値効率が控えめに言ってゴミだ。しかもそこまで金も入らないしはっきり言って狩りをしたほうが早い。レベル3くらいが適正のクエストとなっている。)
キリト
- せめて何か味をつけるものがあればな。
キリト
- だよねー。
ユウキ
- キリトはβテスト中に第1層で他の食べ物は知らなかったの?
ユウキ
- あのな...食事は上の層でしか食わなかったよ。そもそもβテストではこの第1層は、約4日で終わったんだぞ。
キリト
- 食事なんて一々気にしてられないよ。
キリト
- まぁ、食事は二の次だ。悲しいけどな。
キリト
- 今は早くこの第1層をクリアして、攻略の第一歩を歩むことが先決だ。
キリト
- ねぇ、そういえば聞いてなかったけどさ、第1層のボスって何処にいるの?
ユウキ
- そういえば説明忘れてたな。いいか、この世界のボスは全て迷宮区とよばれるダンジョンの1番奥にいるんだ。
キリト
- へー。それって何処らへんにあるの?
ユウキ
- 大体フィールドの最果てだ。俺の記憶が正しければ、あと2日も攻略してれば迷宮区には着く。だが、迷宮区内部もなかなか広い。最終的にボスのいる部屋に辿り着くのはおそらく..今から5日くらいだろう。
キリト
- じゃあ5日後にはこの層をクリアできるの?
ユウキ
- いや...到達できたとしてもクリアはできない。
キリト
- 何で?ボスがいるなら倒せばいいじゃん。
ユウキ
- この世界のボスはレイド形式なんだ。1人や2人なら倒す事は愚かHPの半分も削る事は出来ないよ。
キリト
- 何人くらい必要なの?
ユウキ
- そうだなー...安全性を考慮するなら24人は欲しいところだ。
キリト
- 24人!?そんなに必要なの?
ユウキ
- 今攻略をしているプレイヤーで、ボス戦に参加する意志のあるプレイヤーでさらにレベルもプレイヤースキルも求められる。それを満たす人が果たしてどれだけいるか分からないが、その人数が集まらなきゃこの層は突破できない。
キリト
- はぁ...色々大変だね。
ユウキ
- まぁ、俺たちの目標はボス部屋の発見だな。その後は人数集め。
キリト
- まぁボクには地獄のような訓練があるけどね。
ユウキ
- それも追々。今日も早く寝るぞ。明日は早い。
キリト
- はーい。
ユウキ
- そう言うと、キリトとユウキは別々の部屋に入り、寝る支度をした。
キリト
- しかし....ユウキの成長は早いな。俺の時よりずっと飲み込みが早い。
キリト
- 俺もあっという間に抜かされちゃうかも...なんてな。
キリト
- (そういえば、正式サービス開始してからアイツに会ってないな。噂では情報屋が街に居るって聞いたし、多分それだよな。)
キリト
- (フレンド登録してないから場所も分かりようがないけど、見かけたら声くらいかけるか。)
キリト
- 次の日...
ユウキ
- キリトーおはよう!
ユウキ
- おはようユウキ。今日はずいぶん機嫌がいいな。
キリト
- うん!寝てたらスッキリしたからね!さ、早くレベル上げに行こう!
ユウキ
- そうだな。今日はスイッチの練習もしよう。俺も久しぶりにやるから一緒にな。
キリト
- オッケー!
ユウキ
- そう言うと2人はフィールドに旅立った。
アルゴ
- ふーン....キー坊のやつ、パーティ組んでるのカ。
アルゴ
- これは意外だナ。てっきりソロでやってるもんだと思ってたガ。
アルゴ
- キー坊と組んでるプレイヤー...確か名前はユウキだったカ?
アルゴ
- たまたま聞こえたキー坊の声に聞き耳たてて正解だったナ。
アルゴ
- ユウキ...βテスト時代にソロを貫いたキー坊とパーティーを組むとはナ。キー坊のβテスト時代の知り合いとしては、どんな奴か気になるところだガ...
アルゴ
- まぁ後回しだナ。今は出来るだけ多くのプレイヤーに攻略ガイドを配布しないト。
アルゴ
- 情報屋の....βテスターの仕事としてナ。
アルゴ
- 第1層 とあるフィールド 12時
ユウキ
- うぉぉぉぉ!!!りゃぁ!
ユウキ
- ....ついにか。
キリト
- うん!やっとだよぉ!
ユウキ
- (ついにユウキがパリィを決めた!相変わらず飲み込みが早い!)
キリト
- おめでとう、ユウキ。次からは精度を上げていこうな。
キリト
- もちろん!ガンガン行こう!...の前にさ、ボクは一体レベルをいくつまで上げればいいの?
ユウキ
- 13だ。それくらいしなきゃ本気で危ない。
キリト
- 分かったよ。今日と明日で攻略しながら上げていくね。
ユウキ
- そうだな...今日は思ったより調子良いし、ひょっとしたら迷宮区が拝めるかもな。
キリト
- よーし!この勢いを継続していくぞぉ!
ユウキ
- (...ユウキ。初めて会った時は戦いに迷いを感じていたのに、今ではまるで見違えた。君なら本当にこの世界をクリアできる。)
キリト
- (人は短期間でここまで変われるんだな。)
キリト
- ねぇねぇキリト。なんか塔が見えるよ!大きな塔!何あれ?
ユウキ
- 塔!?この周辺で塔って事は!
キリト
- 見覚えのある形。そこは攻略メンバーが目指さなければならない場所。即ち、
キリト
- ユウキ。着いたぞ。あれが、この層の迷宮区だ。
キリト
- つまり...あそこにボスが?
ユウキ
- ....一足先に入りたい所だが、一旦トールバーナーに帰ろう。
キリト
- この事を他のプレイヤーに報告したい。
キリト
- うん...。分かったよ。
ユウキ
- (そうして俺達はトールバーナーに戻った。迷宮区が発見されたとなれば第1層クリアの希望も見えてくる。そうなれば戦うプレイヤーも増えてくるだろう。)
キリト
- トールバーナー
キリト
- みんな!聞いて欲しいことがある!
キリト
- なんだなんだ!?
モブプレイヤー
- 告白か?告白だよな!
モブプレイヤー
- 実は...第1層のボスがいるダンジョン、迷宮区を発見した!
キリト
- ナニィ!?
モブプレイヤー
- は?
モブプレイヤー
- マジかよ....
モブプレイヤー
- もしここに居るプレイヤーの中で、クリアを目指そうと戦うものがいるなら、迷宮区に来てくれ!俺達も近い内に攻略を開始する!
キリト
- 俺は怖いので嫌です。
モブプレイヤー
- は?チキン乙。
モブプレイヤー
- は?
モブプレイヤー
- は?
モブプレイヤー
- 言いたい事は以上だ。
キリト
- 聞いてくれた人、ありがとう。
キリト
- (....はじまりの街のさらに先にあるこのトールバーナーなら戦うプレイヤーも多いと踏んでたんだが...やはり人の多いはじまりの街にも行かなきゃな。)
キリト
- はじまりの街
キリト
- ....どういう事だこれは?
キリト
- なんかボスがいるダンジョン見つかったらしいよ。
モブプレイヤー
- マジ?ようやくか。早くクリアしてほしいんもんだな。
モブプレイヤー
- デスゲームでそんな都合よくいくわけないでしょ。
モブプレイヤー
- 早く出たいのはみんな同じだろ?
モブプレイヤー
- もう、広まってるね。
ユウキ
- (なぜだ?トールバーナーにいた人たちが広めたのか?にしても早すぎるぞ。)
キリト
- よし、テメェら!!俺らもレベル上げして乗り込むぞ!
モブプレイヤー
- サーイエッサー!!
モブプレイヤー
- 逃げるんだぁ...
モブプレイヤー
- は?
モブプレイヤー
- やっぱり、簡単にみんな戦おうとはしないね。
ユウキ
- それが普通なのかもな。
キリト
(でも、きっと効果はあったはずだ。)
キリト
- 俺達は早めに迷宮区の攻略に取り掛かろう。
キリト
- うん。そのためにもお互いに準備をしないとね!
ユウキ
- あの2人...一生懸命戦ってるんだな。
モブプレイヤー
- しかも女の子の方可愛すぎィ!
モブプレイヤー
- あんなプレイヤーも居るんだね。
モブプレイヤー
- でも...死にたくはねぇよな。
モブプレイヤー
- まぁね。
モブプレイヤー
- エーくん。さっき聞いたんだけどね。
ユナ
- ん?どうしたんだユナ。
ノーチラス
- なんかね?迷宮区っていうボスのいるダンジョンが発見されて、第1層のクリアに道筋が示されたーって大騒ぎなんだよ。
ユナ
- 第1層のボス....迷宮区か。
ノーチラス
- エーくんは、どうするの?
ユナ
- 君を置いてはいけない。迷宮区の攻略をしたい気持ちもあるが、僕にとっては君が第一優先だ。
ノーチラス
- もう...またそれ?もう気にしなくていいよ。なんなら私も行こうか?迷宮区。
ユナ
- なっ、何言ってるんだユナ!君のレベルじゃ危なすぎる!
ノーチラス
- 言ったでしょ。エーくんを守るって。だから、私を気にしてエーくんが本当にしたい事ができないのは嫌なの。
ユナ
- だからって...まだレベル7だぞ君は。迷宮区に行くなら最低でもレベル10は必要だ。
ノーチラス
- じゃあ今からレベル上げしよ?
ユナ
- ....君には勝てないな。
ノーチラス
- えへへ!エーくん、行こう!
ユナ
- 何かあったら必ず逃げるんだぞ。
ノーチラス
- 分かってるよ。
ユナ
- それが守れるなら行こう。僕も、君を信じるさ。
ノーチラス
- (....とりあえず迷宮区発見の情報をばら撒いたガ、悪い方面に出た感じではないナ。少なくとも戦おうとするプレイヤーもいたようで安心しタ。)
アルゴ
- (後は...ボスの情報でもまとめ直すカ。)
アルゴ
- (最も、βテストの時の記憶を辿るだけだかラ、曖昧になりそうだがナ。)
アルゴ
- (.......)
アスナ
- 迷宮区が発見された事により見えてきた希望。その希望はゲームクリアに欠かせないものだった。
アルゴ
- キリト達はボス部屋に到達し、ボスを打ち破れるのか?
アルゴ
- To be continued...
アルゴ