ソードアート・オンライン 黒紫の英雄譚 第5話
ここから物語の始まりです。次回からキャラも増やして盛り上げていきます。
- 100層を目指す...って事は安全地帯から出てモンスターと戦い続けるって事だよね...そして、ゲームクリアを背負うって事だよね。
ユウキ
- それってさ....ボクに出来る事なの?
ユウキ
- ...無理強いはしないよ。このデスゲームと化した状況下でフィールドに出て、戦って、クリアを目指そうとするプレイヤーは恐らく多くない。
キリト
- 誰にでも出来る事じゃない。舐めてたらもちろん死ぬし、簡単な道じゃない。
キリト
- でも俺は....君には才能があると思う。
キリト
- 君がこの村に辿り着けたのは単なる運じゃない。君自身ですら気づいていないフルダイブの適正があるんだ。
キリト
- フルダイブ適正が高いと、通常のプレイヤーより遥かに俊敏に動けるし、戦闘面では大きく有利に立てる。
キリト
- ....ボクに、適正が?
ユウキ
- もちろん君が嫌と言うなら俺は止めない。むしろ生きるためには正しい判断だ。間違ってるとも言わないし軽蔑もしない。.....ただ、覚えておいてくれ。きっといつか誰かやってくれる、そう思って自分から戦いに行かなくなるプレイヤーがきっとこれから大半を占めるだろう。そんな時に戦えるプレイヤーがいるのは、冗談抜きで希望になるんだ。
キリト
- その希望に、キミはなってみたいと思うかな?
キリト
- ボクは......ボクは.....
ユウキ
- (悩んでる....いや、怖いんだ。死ぬのが。せっかく家族で唯一、健康体に戻れたのにまた死の道を歩こうとするのが。
ユウキ
- (でも、他のプレイヤーだって怖いはず。キリトも....。怖いはずなんだよね。なのに、キミは弱いところを見せないで....強いんだね。ボクと違って....。)
ユウキ
- ごめん.....今すぐには答えられないや。
ユウキ
- .....ごめんな。辛い事考えさせて。
キリト
- 3日間....
ユウキ
- え?
キリト
- 3日間だけ、猶予をくれない?その間に答えを出すから。必ず。
ユウキ
- ボクもね、本当は今すぐ「はい」って答えたい。けど、まだボクには覚悟が足りないみたいなんだ。その覚悟を3日で付けられたら、キリトと一緒にこの世界で戦う道を選ぶよ。
ユウキ
- (....本当は泣きたいほど苦しい思いをしてる筈だ。耐えてるんだな。強い子だ。..俺と違って。)
キリト
- 分かった。俺は明日から攻略を進めるけど、ユウキの答えが出たらこの村に戻ってくるよ。
キリト
- うん。ありがとう、キリト。
ユウキ
- さ、疲れただろ?もう寝ようぜ。時刻はすっかり夜だ。
キリト
- おやすみって...キリトはどこで寝るつもりなの?
ユウキ
- え?ユウキがベッドを使うんだから当然俺は床で寝るよ。リアルでもしょっちゅうした事あるし気にならないさ。
キリト
- え!?ダメだよ、風邪引くよ?
ユウキ
- 仮想世界なのに風邪はひかないさ。
キリト
- それだけじゃないよ!ここまで優しくしてくれた人に床で寝させるなんてボクのポリシーが許せないよ!
ユウキ
- いや、でもベッド1つしか無いし....
キリト
- .....じゃあさ、キリトがボクの隣で寝れば?
ユウキ
- ..........ん!?
キリト
- ギリギリ入るでしょ。そうすればよく寝れるよ。
ユウキ
- いやでも、それは色々と倫理的問題が...
キリト
- じゃあボクが床で寝るよ。
ユウキ
- おい...女の子を床で寝させるなんて俺のポリシーが許せないぞ。
キリト
- じゃあ2人のポリシーを尊重するためにベッドで2人で寝ればいいでしょ?
ユウキ
- まぁ....そうだが、本当にいいのか?
キリト
- うん。今日が始めて会った日だけど、キリトのこと、信じてるからね。
ユウキ
- ......じゃあ、お言葉に甘えて。
キリト
- こうしてキリトはユウキが入ってるベッドに入った。
キリト
- おやすみ....ユウキ。
キリト
- うん。おやすみ、キリト。
ユウキ
- 数分後......
ユウキ
- .....
キリト
- ......
キリト
- (いや、寝れるかァァァ!!!!!)
キリト
- (やべえよ!この部屋に来た時にベッドインしなかったから完全に油断してたよ!本当にベッドインしちゃったよ!致してはいないけども!)
キリト
- (どうすんだこれ?ドキドキして眠れそうにないぞ。こんな状態じゃ明日は寝不足だ。そんな状態でフィールドに出ればそれこそクラインの如くボアに殺されかける....死んでも死に切れねぇ!)
キリト
- (クソ....ユウキは俺を心配してベッドに入れてくれたのに俺はなにくだらない劣情を抱いてるんだ...!)
キリト
- (煩悩を断て!桐ヶ谷和人!お前はこの程度ではない!そうだろ!?)
キリト
- (煩悩失せよ煩悩失せよ煩悩失せよ.....!)
キリト
- .....
ユウキ
- .....
ユウキ
- (ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい!流石にこれは恥ずかしすぎて死んじゃう!)
ユウキ
- (いくらこの人が優しいからって、会って初日で一緒のベッドに入るなんて....姉ちゃんに知られたら怒られるよぉ....。いや、一生冷やかされるかな?)
ユウキ
- (これ...ボクどうなっちゃうの!?キリトは優しくしてくれたし、何の心配も無いと思うけど...もしかして襲わr...)
ユウキ
- (うわぁぁぁぁ!!ボクの馬鹿ァァァ!アホぉ!)
ユウキ
- (何もありませんように..!何もありませんように..!)
ユウキ
- 翌朝...
ユウキ
- ....おはよう。ユウキ。よく眠れたか?
キリト
- おはよーキリト。うん、ぐっすりだよー!そっちは?
ユウキ
- 快眠そのものだ。お陰で集中して攻略に励めるよ。
キリト
- (...嘘だ。あの後ドキドキしすぎて結局全然寝付けなかった。今も超眠い。てか、まだドキドキしてる。)
キリト
- (てか、ユウキはあの状況で快眠できてたのか!?本当に俺のことを信じてくれてたんだな...余計に申し訳ない。)
キリト
- (うぅ...眠い。いつか襲われるんじゃないかって警戒心と恥ずかしさで全然寝れなかったよぉ。)
ユウキ
- (結局キリト何もしてこなかったし...変な疑惑かけてごめんね...キリト。)
ユウキ
- さて..朝早くバタバタしてすまないけど、俺はもう行くよ。
キリト
- もう行くの?
ユウキ
- あぁ。恐らく他のプレイヤーも今日から攻略を始めるだろう。俺も急がないと折角のリードを無駄にしてしまうからな。
キリト
- うん。分かったよ。行ってらっしゃい、キリト。
ユウキ
- 少しの間、バイバイ。
ユウキ
- あぁ。またすぐに会おうな、ユウキ!
キリト
- うん!
ユウキ
- ....βテストの時の知識を生かして、効率重視で攻略する。見たところまだプレイヤーは来てない。たくさんのプレイヤーが押し寄せて効率がガタ落ちする前にレベル上げするんだ...!
キリト
- こんな世界に俺は負けない。
キリト
- 2022年11月7日。デスゲーム開始から丁度1日。この日からキリトはこの世界の攻略を始めた。
ユウキ
- 今この時までに死んだプレイヤーは、313人。
ユウキ
- 彼らの行く道に待つのは希望か、絶望か、それを知る者は居ない...。
ユウキ
- To be continued ...
ユウキ