冬と言えば鍋①
不死団のみんなが繰り広げる生活記
- うぅっ…寒々っ!!
(買い物袋を抱えて自室に入る少年
部屋は八畳ぐらいの大きさ、和室であり部屋の真ん中には支給されたこたつが佇んでいる)
シオン
- さてさてさぁて…寒い日はやっぱり鍋だよなぁ、材料も買ったし、奮発して高い肉も買ったしな…たまには贅沢だ。いただきま───
シオン
- クンクン…この美味しそうな匂いはこの部屋だっ!
(シオンの部屋の扉を開ける)
やっぱりここだ、シオン何してるの?
輪廻
- え…うわ、輪廻か。
一人で鍋料理食うんだ、寒いし
シオン
- いいなぁ、ボクも鍋食べたいなぁ…
(何かを求める眼差しでシオンを見る)
輪廻
- な、なんだよその目は……
シオン
- ボクお腹空いちゃった、鍋食べたい
輪廻
- ストレートに頼んできたなおい
シオン
- 分かった分かった…特別だぞ。
扉開けっ放しだと寒いから閉めろ
ほら、こたつに入れ
(こたつの布団をめくる)
シオン
- わぁーい!シオン大好き!
(喜べばささっとこたつに入る)
この箸使っていい?
輪廻
- あぁ、最初は野菜から食えよ。
(鍋には豆腐やネギ、白菜、椎茸など様々な食材がぐつぐつと音を立てている)
シオン
- はーいっ!いただきまーす!
(輪廻は手を合わせれば、白菜と
豆腐を冷ましながら口へ運ぶ)
あふあふっ!美味しいーっ!
輪廻
- じゃあ我もいただき─────
シオン
- よぉ、美味そうな匂いがする
と思ったらここだったか〜
(扉をガラガラ開ける)
玄重郎
- え…玄重郎?
(びっくりして目を丸くする)
シオン
- あ、玄重ろ〜!
今シオンが鍋を食べさせて
くれてるんだ〜!
(※悪気はない)
輪廻
- おいいいぃっっーっ!?
シオン
- 鍋かぁ、いいねぇ…もう鍋の季節か
俺もご一緒するぜぇ〜ww
(シオンの返答は待たずにどすどすとこたつに入ってくる)
玄重郎
- おいっ!?狭くなるだろ!
シオン
- いいじゃねぇか、鍋は大人数で
囲んだ方が二倍上手くなんだからよ
(そう言って、器と箸を手に取る)
玄重郎
- 食べる気満々じゃねぇか…
(呆れながらも野菜から食えと付け足して玄重郎を含めた3人で鍋を囲む)
シオン
- うぉ美味いな!
シオン、ポン酢あるかポン酢?
(図々しく部屋の主に調味料を要求する)
玄重郎
- うるせぇよ!図々しくものを
頼むんじゃねぇよ、あるけどよ!
(部屋の小さな冷蔵庫からポン酢を取りだして、玄重郎に渡す)
シオン
- お、さんきゅ〜!
やっぱポン酢だろ、たまんねぇな
玄重郎
- 玄重ろ〜、ボクにもポン酢かけて〜
輪廻
- あいよ〜
玄重郎
- 完全に人の鍋ってこと忘れてるよな
(そう言いながら、シオンもぐつぐつとダシを吸った白菜を口に運ぶ)
シオン
- うまっ、いや美味いなおい
シオン
- うんうん、シオンって料理だけは
美味いよねぇ〜
(※悪気はない)
輪廻
- 軽く心抉りにきたね、いま
シオン
- 何か賑やかだと思ったらここね
(扉を開ける)
桃華
- なんだよ桃華、今食事中だ
書類の整理は後だ後
(寒いからとっとと出てけという視線)
シオン
- あ、桃華〜!桃華も一緒に鍋食べよ
輪廻
- そうそう、大人数で囲んだ方が
うめぇってやつだ
玄重郎
- だぁから!これは我の鍋でな
シオン
- って言いながら大人数に対応できるように材料多く買ってるよね
輪廻
- うぐっ…あぁ、分かった分かった
寒いから早く部屋入れ、桃華
(輪廻の隣にでも座っとけと付け足して)
シオン
- そう、じゃあお言葉に甘えて
(部屋に入れば、こたつに入る)
温まるわね、ふふっ
桃華
- いいか、鍋奉行は我だからな!
我の指示に従って鍋食えよな
お前らもだぞ!
(ガツガツと野菜や豆腐を食べる輪廻と玄重郎に声を上げる)
シオン
- 鍋奉行?なぁにそれ?
(食べる手を止めてシオンに聞く)
輪廻
- いい質問だ。
鍋奉行というのは、食材の入れ方や味の付け方、食べる順番など締めにうどんか雑炊にするか決まるまで鍋を支配する偉い人のことを言うんだ。
(鼻を鳴らして、ドヤ顔で解説)
シオン
- 何それうざい
桃華
- 人の鍋食べようとしてるのによく
そんな言葉が出てくるな、おい
シオン
- 差し入れに最高級飛騨和牛
持ってきた上げたけど…
(木箱に入った黒毛和牛の肉を見せる)
桃華
- おいお前ら!何ボサッとしてんだ!
桃華、いや肉の神様にとっとと鍋の具をよそりやがれっ!
(玄重郎と輪廻に声を荒げる)
シオン
- 完全に肉に目が眩んだな
玄重郎
- そうだね
輪廻
- はいよ桃華、暑いから気を付けろよ
(器に豆腐やネギなどをよそって
手渡す)
シオン
- ありがとう、いただくわ
桃華
- 結局お前がよそるんかい
玄重郎
- でもまぁみんなで食べると美味しいよね
輪廻
- たまにはいいかもしれないわね
この鍋、意外に美味しいわ
桃華
- 意外は余計だ、まぁ美味いならいい
シオン
- 肉はいつ入れるんだシオン?
玄重郎
- もうそろそろいいだろ、桃華の差し入れもあるから我が買ってきた肉を入れるぞ
まぁ…飛騨和牛よりは落ちるがな
(そういいながら、冷蔵庫から松坂牛の肉を取り出す)
シオン
- おぉ、奮発したんじゃねぇか
玄重郎
- すごーいっ!
輪廻
- あら、貴方にしては奮発したのね
桃華
- お前ら肉一枚につき、諭吉一枚払ってもらうからな
(肉を鍋に入れながら、冗談まじりで答える)
シオン
- お、もう食べていいか?
玄重郎
- まだだ、まだ入れたばかりだろ
シオン
- (またガラガラと扉が開く)
みんな、何してるの?
アルマ
- あらアルマじゃない、どうかしたの?
桃華
- いや、ちょうどご飯を食べに行こうとしてただけだよ
…それにしても、みんなが食べてるその食べ物って何?
(テーブルの上でぐつぐつと具を煮込む鍋を指差して)
アルマ
- これは鍋って言うんだよ!
すっごく美味しいんだぁ〜!
輪廻
- へぇ…鍋っていうのか
ボク食べたことないなぁ、うん
アルマ
- じゃあ、一緒に食うか?
シオン
- いいの?
アルマ
- みんな食ってるのに、アルマは駄目とは言えないだろ
ほら、そんな寒いとこ立ってないで
こたつに入れよ
シオン
- うん、ありがとう
アルマ
- ほらよアルマ、これが鍋だ
食ってみろ?
(器に具をよそり、アルマに手渡す)
玄重郎
- うん、いただきます
……………美味しい、美味しいよ!
(いつもはあまり感情を面に出さないアルマは目を輝かせいる)
アルマ
- よかったぁ〜やっぱり美味しいよね
輪廻
- もっと食べていいわよ
桃華
- 誰の鍋か忘れてないだろーな
シオン
- みんなの鍋だよ
輪廻
- そうだそうだ、お、肉も美味しい色に変わったしいただくぜ〜
玄重郎
- お、おい!?
シオン
- くぅ〜っ、美味い!
玄重郎
- ボクも、桃華もアルマも食べよ
輪廻
- そうね、では早速…
(肉を口に運ぶ桃華、ふと自然に
笑みがこぼれた)
桃華
- パクッ)
美味しい…肉ってこんなに美味しかったんだね、知らなかった
アルマ
- パクッ)
うぁわ美味しい!幸せ〜
輪廻
- おいテメェら!ちゃんと我の肉
残しとけよな!
シオン
- よぉお前ら、騒がしいぞ…って
鍋じゃねぇかソレ
(隣部屋にいた少年が押しかける)
雹次郎
- むっ…雹次郎、お前夕飯
もう食ったろ
シオン
- 食ったが、鍋を見てたらまだ腹が
空いてきたところだ
雹次郎
- だったら食堂行っとけ、もうこたつ
満員だし鍋の具も
もうそこまで残って───
シオン
- まだ沢山あるわ、足りなくなったら食堂に行けば補充できるわ
(椎茸を食べながらシオンの言葉を
遮るように話す)
桃華
- もう完全に我の鍋って忘れてるよね
シオン
- 雹次郎も…一緒に食べよう
アルマ
- アルマもいたのか、珍しい
雹次郎
- シオンたちを訪ねたら、鍋をご馳走してくれるって言ってた…
アルマ
- 雹次郎も一緒に食べよう!
(こたつは満員じゃないよと付け足して)
輪廻
- じゃあ…お言葉に甘えるとする
雹次郎
- おうおう甘えとけ、食いっぱぐれないように腹一杯食ってけ
玄重郎
- 野菜もちゃんと食えよな、雹次郎
シオン
- 当たり前だ、それに俺は締めの
うどんが楽しみなんだ。
肉は食わんからみんなで食ってくれ
(器に野菜をよそりながら話す)
雹次郎
- そうかよ
シオン
- 白菜美味いな…他の具もしっかりとダシが効いている
(キリッとした目つきで感想を話す)
雹次郎
- そ、そう褒めんなよ
シオン
- 煽てられやすいのね
桃華
- やかましいわっ!!
シオン
- 【冬と言えば鍋②に続く】
ナレーション