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ひとり劇場

おにいちゃんがお兄ちゃんである日まで③

ー自宅前ー
英飛
今日会えてよかった
月葉
うちも
英飛
明日からまた学校だね
月葉
がんばろ!
月葉
明後日テストだし
英飛
うん
英飛
ね、...だめ?
英飛は腕を広げた
月葉
ん?
英飛
ぎゅう...って
月葉
い、家の前だし...
月葉
さすがに
私が躊躇うと英飛は、塀の影に私を連れ込んだ
そして、私の体をそっと引き寄せる
英飛
ここなら、大丈夫
月葉
ぁ...
月葉
英飛...
抱きしめられながらふっと周りを見た
あ...、おにいちゃんの自転車
なんでここに...盗まれちゃう
さっき、蜘蛛の巣が無かったのはこのせいか...
英飛
月葉...
月葉
んっ...、
キスマーク...
英飛
首に...いいね
月葉
え?
月葉
もしかして...
英飛
大丈夫、
英飛
モデル仕事に支障はないよ
月葉
......
英飛
愛してる、月葉
英飛
月葉は?
月葉
わ、私も...
英飛
よかった
英飛
じゃあ、また明日
英飛は笑みを残してその場から去った
そして、
入れ違いでおにいちゃんが来た
誠一
月葉...
驚いていた
私はそれを見てただぼんやりと立ち尽くしていた
誠一
どうしたんだ
誠一
こんな所で
月葉
お、
月葉
おにいちゃんこそ
誠一
俺は、朝洗った自転車を家に入れようと...
そのためだったのか...
月葉
おにいちゃんの自転車
月葉
かっこいいね
誠一
月葉も乗る?
誠一
一緒に
月葉
でも、私...
誠一
安いクロスバイクなら2~5万くらいで買える
月葉
遅いよ...私
誠一
スピードは気にしない
誠一
月葉と出かけたいだけだ
月葉
行きたい、私も
誠一
じゃあ、俺が2万出すからあとは自分でどうにかして...
誠一
ん?
誠一
それ、どうした?
おにいちゃんが私の首に触れた
月葉
え...
誠一
赤い
誠一
刺された感じじゃないな...
月葉
............
恥ずかしい...
誠一
キスマーク...?
月葉
............
誠一
仲良いんだな
月葉
......
誠一
中入るぞ
月葉
うん
────────────────────
ーpm.8:59ー
月葉
おにいちゃ...
誠一
ん、どうした?
おにいちゃんは教科書に目を落としたまま返事をした
月葉
数学...教えて欲しい
誠一
数学のどこ?
おにいちゃんは椅子から立ち上がって私の方に寄ってきた
私は数学の教科書を見せた
月葉
三平方
誠一
1年生にはちょっと難しいよな
誠一
いいよ、入って
私はおにいちゃんの部屋に入り、ベッドの上に座った
誠一
ベッドの上じゃ勉強できないだろ笑
月葉
だって座るとこないもん
誠一
俺の椅子に座れ
月葉
はい
おにいちゃんは立ったまま、まるで家庭教師のように数学を丁寧に教え始めた
誠一
そうだ、その公式が使える
月葉
じゃあ、この計算で合ってる?
誠一
.........
私の解答をじっと見る
誠一
ここ...
誠一
惜しい
月葉
え?
誠一
ここは、1じゃなくて2
月葉
あ、ほんとだ
誠一
月葉はケアレスミスが多いからな...
月葉
そうかな?
誠一
彼氏ともありそうだな
月葉
そ、そんなこと...
誠一
隙だらけで...
月葉
.........
図星...
何も返せない
誠一
月葉
月葉
ぎゅっ...
誠一
ほら、隙だらけ
月葉
おにいちゃっ...
「離さないで」
私はおにいちゃんの体をそのまま腕を後ろに回し抱き締めてしまった
おにいちゃんの体...強くてあつい
誠一
............
おにいちゃんは私の頭をそっと撫でてくれた
月葉
やっぱり...、私......
話そうとすると、
おにいちゃんは身を離した
誠一
ちゃんと注意力つけとけ
月葉
...
月葉
うん...
誠一
他に分からないところあるか?
月葉
...ううん、もう大丈夫
月葉
ごめんね、受験生なのに
誠一
いや、気にするな
月葉
今度、一緒に自転車乗ったら...合格するまでもう乗らなくなる?
誠一
通学以外はそうなるだろうな
月葉
おにいちゃんのこと...
月葉
ずっと応援してるね
誠一
ああ、頑張れそうだよ

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投稿日時:2019-09-22 13:25
投稿者:ゆあ
閲覧数:14

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