あなたは誰か?(2)
喫茶店での会話(僕の視点から)
- 前回の続き
- 温かい飲み物を用意しますので
なにがよろしいですか?
正一
- うーん
玲子
- ここのオススメはなんですか?
玲子
- 紅茶と珈琲ですかね
正一
- 好みにもよりますが
正一
- ハーブティもありますし
正一
- 私は、珈琲が苦手で紅茶にします
玲子
- 紅茶の種類も多いんですね
玲子
- だいたい祖父の直伝なんですがね
正一
- おじいちゃんの直伝ですか
玲子
- はい
正一
- 良いですね
そういうの
玲子
- 今もおじいさまと一緒に?
玲子
- 祖父は
正一
- 去年亡くなったんです
正一
- そうですか・・・
玲子
- 悲しいことを
聞いてしまってすいません
玲子
- あ!いいえいいんですよ
正一
- では紅茶をお持ちしますので
正一
- お好きな席に座っててください
正一
- はい
玲子
- こつこつこつ
- 私は、喫茶の中を見回した
玲子
- アンティークな雰囲気の
純喫茶というべきね
玲子
- 昔ながらの風情を残す昭和レトロな
玲子
- 大切に使われていて、
特に窓ガラスがステキね
玲子
- だってステンドグラスだもの
玲子
- 赤、青、黄色、透明
日の光に照らされている
玲子
- ・・・
玲子
- 僕は、紅茶の準備をしつつ
おまけのケーキを準備していた
正一
- あのお客さん女性だったんだ
正一
- お客さんの方をチラッと見る
マジックミラーの厨房にて
正一
- ・・・
正一
- グレーカットソー、ジーンズ、スニーカー
髪型は、アップにしている
そして、花の飾りが印象的
- シンプルで地味だが
オシャレに見えるのは
その人の品性なのだろう
内側から滲み出る感じ
- 顔のどのパーツもバランスが
取れていてきれいな黄金比というべき
- その人は、年上にも年下にも見えた。
中性的な感じだな。
- ・・・
玲子
- ステンドグラスの窓を見ていた。
雨粒がポタポタとつたい、
外はいつもと違う静かで暗めな風景
- ここら辺の人でないのは確かだ
正一
- さて持っていくか
正一
- こつこつこつ
- どうぞ、ブレンドの紅茶です
正一
- ありがとうございます
玲子
- あのなぜお店の前にいたんですか?
正一
- 差し支えがなければですが・・・
正一
- 私ここの近くに
しばらく住むことになって
玲子
- 移住された方ですか?
正一
- いいえ
私大学生で今夏休みなんです
玲子
- 大学生の方ですか!
正一
- 帰省とかですか?
正一
- いいえ一人で
ログハウスを借りてるんです
玲子
- インスピレーションが欲しいな〜
と思って
玲子
- あーわかります
自然って癒されますよね
正一
- ええ
玲子
- 僕も絵を描いてたんですよ
正一
- そうなんですか
今も?
玲子
- まぁちょこちょこと
正一
- いいな〜
素敵な喫茶店しながら
描いてるなんて
玲子
- 赤字からやっと黒地に変わりましたけどね(苦笑)
正一
- 島の事、絵の事、大学生活とか
他愛の無い話をした
ただし本人のことは聞かなかった
- 私ここの島の雑誌を見てきたんです
玲子
- そうなんですね
でも田舎ですし、不便ですよ?
正一
- 私の住んでたとこも
こんな感じの田舎ですから
不便さには慣れてるんです
玲子
- どこから来たんですか?
正一
- 関西から来たんです
玲子
- 遠かったでしょう
正一
- 余裕がないと滅多に来れないんですよね遠出したくても
玲子
- 紅茶おいしいです
このケーキは?
玲子
- 僕からのサービースです
今度メニューに出そうかと
正一
- もくもく!
玲子
- ・・・
正一
- 美味しいですこのケーキ
玲子
- 近所の人に教えてもらったんです
正一
- ずっと一人で喫茶を?
玲子
- まぁそんなとこです
正一
- また来てもいいですか?
ここに
玲子
- いいですよ
正一
- 目を見開きキラキラとこちらを見て愛らしい笑顔をした
玲子
- ドキッ!
正一
- このお客さんは、美大生であり
年上かと思ったら、年下で
笑顔が可愛かった
- ・・・
玲子
- 次は彼女からの視点です
玲子