あなたは誰か?
ミステリー系
- どこかの田舎の島
正一
- 瀬戸内海に浮かぶ島を舞台に
正一
- 海が綺麗で、島がぽつぽつと浮かぶ
- ここからは、彼の視点での物語です
- 大学を卒業し、地元の活性化のためUターンをすると色々援助してくれるということもあり
瀬戸内海に浮かぶ生まれ育った島に帰ってきた
正一
- 僕は今年で2年目のしがない喫茶のマスターをしている
ほんとのところ言うと祖父の喫茶店を受け継いでいる
正一
- 芸術の大学を出て絵を描きつつ何かできる仕事はないかと思い、喫茶しつつ農業してる
正一
- 喫茶だけでは食べてけないからね
正一
- 橋が開通してから、観光客が増えて来たのを感じる
正一
- 今の季節は夏
いつもなら入道雲が見えるけど、
今日は久しぶりの雨
正一
- 近所のおじさんおばさんに
よく捕まって
井戸端会議が始まる
正一
- そのあと農業をしてるから
正一
- 畑の様子を見に行って
喫茶店へ向かうのが
通勤パターン
正一
- 今日は、いつもより長く捕まっていたため喫茶の開店時間が10時から
今10時30分...
正一
- さすがに雨だ
こんな天気の日は滅多に客が来ない
正一
- 昭和が残る商店街
- 昔よくじいちゃんと
歩いてたな
正一
- こつ こつ こつ
- 昔はもっと店があったのに
時代の波には勝てないか
正一
- 昔より活気はないけど
若者の手で地域活性化する為に
ちらほらとはお店は出来てはいる
正一
- コンクリートと靴の音が木霊する
- 寂れてしまった商店街を通り抜けると祖父の喫茶店はある
正一
- 祖父の喫茶店は、昭和の時からあって
島の憩いの場となっている
- 自慢のメニューは、
畑で採れた野菜のランチと
祖父直伝の珈琲と紅茶
正一
- 喫茶店があともう少しというところで僕は足を止めた
正一
- ?
正一
- 喫茶店の前に人がいる
- ・・・
玲子
- 傘で顔が見えづらいな
お客さんだったら困るし、
行くしかないか
正一
- こちらを向いた
傘で顔はあまり見えない
玲子
- あっ
こっち向いた
そしてなんか近寄って来た
正一
- すみません
このあたりのかたですか?
玲子
- えぇはい
正一
- ガラスを響かせるように
落ち着いて綺麗な声だった
- ここの喫茶店は、お休みですか?
玲子
- すみません
正一
- ?
玲子
- 僕はここの喫茶店の者ですけど
正一
- もしかして、ずっと待ってました?
正一
- いいえ
ついさっき来たとこなんです
玲子
- いつもなら10時くらいに開けるんですけど用事がありまして遅くなってしまったんです
(嘘ではないけど)
正一
- そうですか
閉店の看板があったので
定休日かと思って
玲子
- 今から開けますんで
あったかい飲み物をお出しします
正一
- えぇありがとうございます
玲子
- ガチャガチャ
- どうぞ
正一
- カランカランと扉の鐘が鳴る
- ・・・
玲子
- 続く