MagicFestival【イチゴと晴也】
オリキャラのなんちゃってノベルその2です!
- MagicFestival
【いちごと晴也の巻】
緑川 慈音
- ゲホッ…ゲホッ…
栃木 苺
- 重い体をなんとか起こし、机に置いた水に手を伸ばす
頭がふらふらしているせいか
部屋がゆっくりと揺れているかのような錯覚に陥る
栃木 苺
- 気持ち悪い……
栃木 苺
- 私、栃木いちごは珍しく風邪を引いてしまい、家のベッドに横たわっている
お母さんは仕事に出ていったし、妹のすかいとべりぃは学校に行ってしまったので
家には私1人
栃木 苺
- なんで今日風邪ひいちゃったかなぁ…
栃木 苺
- 無音の部屋というのも寂しいもので、
誰も聞いていないことをいいことに
一人呟いてみる
今日は実は幼馴染の群馬ふれんずフジハレこと晴也の誕生日だったんだ…
今日だけは休めなかったのに……
フジハレは単に幼馴染というだけじゃなくって
片想いの相手でもあるの
ぶっきらぼうに見えるけれど、ほんとはすごくすごく優しくて、心があったかくなるような
そんな人。
茨城出身のルキナとフジハレ、そして私の3人は
周りからは「北関東トリオ」って呼ばれていて
3人でいることが多い
ルキナは私のフジハレに対する想いには気づいているようですごく暖かい目(?)で見てくれている
……のかな
そんなルキナに背中を押してもらいながらも
なかなか気持ちを伝えられずにいる
誕生日だからケーキくらい作りたかったな…
レシピも考えたのに。。。
栃木 苺
- あれ、水がない…
栃木 苺
- いつの間にか飲み干してしまったみたい
コップを手にフラフラとキッチンに歩こうとする
体が
重い
頭が
痛い
…………ドタッ……………‼️
多分、あまりのだるさにキッチンで倒れたんだと思う
起き上がる力もないまま
私の記憶はそこで途絶えた
栃木 苺
どのくらい時間が経ったのかな…
目が覚めると私はベッドに横たわっていた
栃木 苺
- あれ……寝てたんだっけ…
栃木 苺
いや違う
まともに頭が回らない
最後にあったことを思い出してみる
確か
キッチンで倒れて…
栃木 苺
- よっ!
藤本 晴也
- 視界の隅から見慣れた顔
赤っぽい茶髪に
透き通った緑色の瞳
友野 でいご
- キャーーーーーーーーーー‼️‼️‼️
栃木 苺
なんだ
私にも大声出せる力残ってるじゃん
いや、そうじゃない
栃木 苺
- お前なぁ…
藤本 晴也
- 呆れた顔のフジハレ
いやいやいや
藤本 晴也
- …なん……で…?
栃木 苺
- 心臓のバクバクが止まらない
苦しいくらい
栃木 苺
- お見舞い
先生に聞いたんさ
藤本 晴也
- あ…ありがとう…
栃木 苺
- 鍵開けっぱなしだったぜ?
気ぃつけろよ
藤本 晴也
- ごめん……
栃木 苺
- ルキナは?
栃木 苺
- るっきーはバレエ教室
藤本 晴也
- そか……
栃木 苺
そうだ…
せっかく本人がいるんだから…
栃木 苺
- あの…ごめんね…
栃木 苺
- んー?
藤本 晴也
- 今日…フジハレの誕生日なのに…休んじゃって……
栃木 苺
- ほんとだよーー
藤本 晴也
- う…
栃木 苺
- ちょっと怒った顔のフジハレ
から
ニコッと笑った
藤本 晴也
- っていうのはウソウソ!
仕方ねぇべ風邪なんだし
藤本 晴也
- ん…でも…
栃木 苺
- まだインフルとか流行ってるからなー
藤本 晴也
- インフルでは…なさそう
栃木 苺
- そっか。それなら安心
藤本 晴也
- あっ…だけど…
藤本 晴也
- 移しちゃうよ…?
栃木 苺
- 移らないから大丈夫!
体力だけには自信あるからな
前にもイチゴのこと看病したべ?
藤本 晴也
そういや
そんなこともあったっけ?
多分すごく前の話
フジハレはリュックからビニール袋を取り出した
藤本 晴也
- とりあえず、ポカリとゼリー買ってきたぜ
食欲は?
藤本 晴也
- あんま無いかも…
栃木 苺
- ゼリーだけでもいいからちゃんとなにか腹に入れとけよな?
藤本 晴也
- ありがとう…
栃木 苺
- あと…冷えピタ!
これ兄弟に使ったヤツのあまりなんだけどそこは申し訳ねぇ
藤本 晴也
- テキパキと
コップにポカリを注いでくれたり
冷えピタを貼ってくれたり
さすがは14人兄弟の長男だなぁって思っちゃう
私はその姿をぼーっと見つめる
藤本 晴也
- どした?
藤本 晴也
- んーん?
栃木 苺
- ……イチゴがぼーっとしてるとか珍しいな……
熱でもはかるか
藤本 晴也
- 体温計………リビングのどっかにある…
栃木 苺
- えーーーー
藤本 晴也
- フジハレが体温計を探しに行った
ほんとに優しいな…
なのに
私は…
なんでいつも
迷惑ばっかりかけちゃうんだろう
気がつくと
涙が溢れていた
こういう時涙もろくなっちゃうから
風邪ってやだな
藤本 晴也
- あ、こんな所に!
藤本 晴也
- フジハレが体温計を見つけたっぽい
近づく足音
涙が止まらない私は
慌てて布団を頭からかぶった
藤本 晴也
- おい、イチゴ!
なんで体温計がプランターにぶっ刺さってん……………………どったの!?
藤本 晴也
- 普通にバレた
藤本 晴也
- ううう…
急に泣いちゃって
今までたくさん迷惑かけて
今日もお見舞いまで来てくれちゃって
藤本 晴也
- ご…め………ん…
栃木 苺
- 結局
「ごめん」しか出てこなかったけれど
それだけでもフジハレには全部伝わったみたいで
栃木 苺
- 何をいまさら
藤本 晴也
- 優しく笑って私の涙を拭う
フジハレ手袋してるけど
じわぁっって
すごくあったかい
能力が怪力だなんて忘れちゃうくらい
優しくて安心する手の温もり
優しくなんてされたら余計に泣いちゃうよ
藤本 晴也
- でれすけぇ……
栃木 苺
- なんだとコラw
藤本 晴也
- 泣きじゃくりながらフジハレに抱きつく
もう風邪が移るとかそんなのどうでもよかった
これもいつもの事なのを知っているフジハレ
藤本 晴也
- よーしよし…
藤本 晴也
- って言いながら
背中をさすってくれる
こんな光景
ルキナがみたら絶対ニヤニヤされちゃう
そういえばだけど
フジハレに抱きつくと
あったかすぎて寝ちゃうの…
……………忘れてた……………
藤本 晴也
目が覚めるともう夕方になっていた
お母さん
- ただいまー
お母さん
- お母さんが帰ってきた
お母さん
- あら、晴くんお見舞いに来ていたのね!いちご、おかゆあるよ
お母さん
- おかゆ?
栃木 苺
- 起きたばかりなのと
フジハレに迷惑かけちゃったのと
ますます頭が回らない
栃木 苺
- フジハレは?
栃木 苺
- おかゆ作って帰ったみたいよー
お母さん
- 帰った…
栃木 苺
- 誕生日おめでとう
って
いいそびれちゃったな…
治ったら学校でちゃんと言わなきゃ
フジハレが作ってくれたおかゆを口に運ぶ
栃木 苺
- ……美味しい……
栃木 苺
- 塩味なのか
涙の味なのか
風邪の時の私は
ほんとに涙脆くてやだなぁ
栃木 苺