2人の剣豪
- しみゅれーたーとやらで久方ぶりに来たが…やはりここは良いところだ
小次郎
- あの時を思い出すな…
あの美しい獅子との闘いを…
小次郎
- 叶うのならば今一度切り結んで見たいものだ
小次郎
- ふむ、ではよろしければ私がお相手いたそう
- ほう?
貴殿も今夜は眠れぬのか但馬殿?
小次郎
- うむ、そうして歩いておったらここに入って行く姿が見えたものでな…
宗矩
- お主に下総国で奴が言っていた事…
「お前が出たら一瞬で片がつく」
果たして本当にそうであったのか
宗矩
- ついその剣に尋ねてみたくなってしまったのだ
どうだ? 手合わせ願えぬであろうか?
宗矩
- いくら何でもそれはなかろう
奴の買い被りというものだ
それでも良いのであればお付き合い致そう
小次郎
- それでは…ふっ!!
宗矩
- ギィンッ!! ガガッ! ギィンッ!ギィンッ!! ギギィンッ!!
宗矩
- さすがといったところか
剣術無双は伊達ではないと見える
小次郎
- ふっ お主こそさすがは本物の佐々木小次郎…!
隙が見えぬな
宗矩
- 私は偽者さ
だがその名でいる限りは名を汚す様なことは出来ぬな!
小次郎
- ところでそろそろ遊びは止めぬか?
本気の欠片も見えぬのだが?
宗矩
- さて? 何のことやら?
だが、確かにこのままだらだらと続けていても勿体ない
小次郎
- ならば受けてみるが良い…!!
小次郎
- そう来なくてはな!
いざ、剣は生タヒの狭間にて大活し、禅は静思黙考の内大悟へ至る。
我が剣にお前はいずれを見るものか…
宗矩
- 剣術無双・剣禅一如…!
宗矩
- 秘剣…燕返し!!
小次郎
- ブフォァァアッ!!
小次郎
- ………ふっ、何が奴の買い被りというものだか…
今ほどお主が敵で無くて良かったと思ったことは無いぞ?
宗矩
- いやいや、それはお互い様であろう
峰打ちとは言え、本気で斬られるかと思わされた
小次郎
- うむ、しかし峰では無く刃で切り結べば結果は大きく変わったはずだ
宗矩
- さて、どうであったろうな?
小次郎
- 今宵は良い機会を得られた
感謝致す
だがゆっくりとしていたところを邪魔をしてしまったようだ…相済まぬ
宗矩
- 良い機会を得られたのはこちらも同じ事よ
さて、それならば一献付き合わぬか但馬殿?
小次郎
- それでは、今宵は語り明かすことと致そうか
宗矩
- 満点の月の元、2人の剣豪は門の前で静かに酒を飲み語らいだ
宗矩
- (うむ、もし叶うのならば)
小次郎
- (叶うのならば)
宗矩
- (今一度セイバーと切り結んで見たいものだ)
小次郎
- (今度こそ奴…新免武蔵に勝利して見せよう)
宗矩
- 但馬殿?
小次郎
- む? なんだ?
宗矩
- 分かっているとは思うが、マスターにはくれぐれも内密でお願い致す
カルデア内での争い事は禁止しているのでな
小次郎
- 委細承知
機会があればまた共に語らうとしよう
宗矩
- ああ、また語り合おう
小次郎
- (願わくば…)
宗矩
- (もし許されるのであれば…)
小次郎
- また立ち合いをしたいものだ
小次郎