薬研と審神者の嫉妬の話。
刀さにっていいよね 創作審神者でます。本丸の設定はあくまでも私の本丸の設定であって、本家の設定とは異なります。
- 私と薬研は付き合っている。それはもう、周りが羨むほどラブラブで。
そんなラブラブな私と薬研、数日前にトラブルがあったばかりでした。
今日はそのことをお話しします。
。。。
- おつかれさ…ま…?
審神者
- 出陣帰りの薬研に伸ばした手を薬研が避け、呆気に取られる。
あれ、、怪我でもしてるのかな。
- 薬研、怪我でもしてるの?
審神者
- 怪我はしてない。…。風呂入ってくる
薬研藤四郎
- ああ、うん、行ってらっしゃい…
審神者
- たん、と閉じられた襖。
- 最近、薬研が冷たい。
- 喧嘩もしてないし、何かあったわけでもない。心当たりもなければ、気に触ることを言った覚えもない。
- だが、薬研が冷たいことは事実であり、深読みすれば原因は私にあるという事だ。
- 唸りながら私の言動を振り返っていると、とんとん、と襖が二回叩かれる。
- たいしょー
厚藤四郎
- 薬研かな?と一瞬思ったが、声の高さ的に、、厚くんかな。
- どうぞ、と言えば、予想通りの黒い髪の毛がひょっこりと出てきた。
- どうしたの?
審神者
- 何か用事があってきたのかと思えば、厚くんの口から出た言葉は予想外の言葉で。
- 薬研の奴が、俺に戦の報告変わってくれって言うんだよ。あいつ今日隊長だろ?
あんまり五月蝿いから了承したんだけどよ、大将、薬研と何かあったのか?
厚藤四郎
- え
審神者
- 確かに今回の出陣の部隊長は薬研だった。
本当は薬研が報告するはずの戦報告を、厚に頼んだ?
今まで何があっても報告を優先してた薬研だ。報告をしないなんて、余程のことが無ければ無いだろう。
- ううん…何もない…
審神者
- そうなのか?だけど珍しいよなぁ、薬研が報告しないなんてよ。
今日の戦績は結構よかったんだぜ?
厚藤四郎
- ならば尚更嬉しそうに報告に来てくれる筈だったのでは?と、嬉しそうな薬研の顔が目に浮かぶ。
- なにか…あったのかなぁ…
審神者
- 今までされたことなかったことをされて、余計に頭がこんがらがっている。
- その状態で厚くんが報告を始め、半分ほど聞き流してしまったが、変わってくれた厚くんはちゃんと褒めておいた。
- 。。。
- 薬研…
審神者
- 自分が原因なのではないか。
みんなが見えないところで苦しんではいないか。
もしかしたら不調なのか。
ぐるぐると頭に浮かぶ薬研がいつもと違う原因が、何を考えても悪い方向に向かう。
- いてもたってもいられなくて、審神者部屋から飛び出した。
- 廊下を小走りで駆け抜けて、薬研の部屋の襖を数回ノックした。
- 返事がない。
- 薬研、いるんでしょ…?…入るよ…
審神者
- と襖を開けると、やっぱり薬研はいた。
部屋の中央にある机とにらめっこしていて、何か書き物をしているのかこちらを向く気配がない。
- 薬研
審神者
- さらさら
- 話をしようよ
審神者
- さら
- 最近冷たいよね
審神者
- さらさら
- …私、なにかした?
審神者
- さらさら
- …私の事、嫌いになっちゃった?
審神者
- 無視し続けられている。なんだか悲しくて、涙が出そうだった。
ここまで言って、ようやく薬研の手が止まる。
- ああ、そうなんだ。やっぱりそうなんだ。
分かっていた様に溢れる涙が畳を濡らす。
- 嫌いなら嫌いっ、て、言ってくれないと、私わかんな、
審神者
- 喋ろうにもどうしても突っかかってしまって。
- ごめん、気がついて、あげられなくて
審神者
- 違う…っ、!
薬研藤四郎
- ぱし、と筆を置く音と共に薬研が立ち上がった。
- 肩を震わせながら泣く私に薬研が伸ばしかけた手が、引っ込むのが分かった。
- どうして?
なんで?
泣いてるのに、撫でてくれないの?
- いつもみたいに、しょうがねぇな、って、笑ってくれないの?
- そう思ったら何故か胸が痛んで
どうしようもないくらいに、薬研が。
- 薬研っ、やっぱりやだ、やだよ、私を好きでいて、薬研、
審神者
- ぐ、と何かを堪えているような薬研の表情なんて気にせず抱きついた。
どうしようもないくらいに悲しくなってしまって
どうしようもないくらいに泣きじゃくる。
それはもう、子供みたいに。
- たいしょう、
薬研藤四郎
- やだ、
審神者
- 大将
薬研藤四郎
- お願い、ねぇ、薬研。
審神者
- 大将っ!
薬研藤四郎
- 三度目だろうか。薬研の声にはっとする。
私を見つめるその目が鋭かった。
まるで、
私を突き放すような。
- ご、めん、
審神者
- 本当はもっとぐずって、薬研の気持ちを聞きたい。
でも、嫌がっている。
彼の纏う空気が、嫌なものになってきているのを感じた。
引っ込むように、薬研から離れる。
- 嫌がることをしてしまった。これだから。
これが、薬研が嫌う私の嫌な所なのか?
わからない。わかってあげられない。
主なのに。
薬研、と小さく呼べば、その度にこちらを見つめる細い目が、キッと睨んでくる気がした。
- どうしようもなく薬研が好きだから
- どうしようもなく焦ってしまう。
- 薬研、…こわい、
審神者
- 大将、ごめん、違うんだ。そんなつもりじゃなくて。
薬研藤四郎
- 焦ったような薬研の声が耳に届く。
- わたし、なにも、知れなくて、いつも、薬研に甘えてばっかりだから、
審神者
- ああ、また。
こんな事を言ったら。
薬研はもっと離れていくのに。
- 違う、本当は、ただの、嫉妬心からで、
薬研藤四郎
- 薬研の声がだんだんくぐもって小さくなって、普段胸を張っている彼の背中が丸まっていった。
- …泣かせようと、思ったわけじゃないんだ。
薬研藤四郎
- 申し訳なさそうに俯く薬研を見て、目を見開く私。
- しっ、と?
審神者
- 嫌われちゃった訳じゃない?
- 大将、最近…、演練で他の男に絡まれること、多いだろ。…俺がいるのに、簡単に誘いに乗ろうとするから。ちょっと、だけ、痛い目見ればいいと思って…、
薬研藤四郎
- 今度はちゃんと抱き締めてくれた。
薬研の香り。
洗剤のいい匂いと、薬の匂いが混じった香り。甘い香り。
- わたし、…、ごめん、薬研…
審神者
- うん、いい。もういいから…俺も、ごめんな。つらい思いさせたな。ごめん。
薬研藤四郎
- 優しく優しく、頭を撫でてくれる。
安心して、余計涙が出た。
- さっきまでの空気が嘘のように優しくなって、
何もかもが、いつもの彼に戻っていた。
- それから、
最近冷たくて寂しかった事、
勝手に勘違いしてしまった事、
薬研を心配してた事、
全部話した。
- 薬研は離すことなく私を抱き締めながら、うん、うん。と頷いてくれていた。
- 。。。
- 本当に安心して、話の途中で寝てしまったことは今でも後悔している。
- なんで後悔してるのかって?
- 後で聞いた話だけど
- 薬研も泣いてたんだって。
- 珍しいでしょ?私も見たかったけど、日が暮れるまで寝てたみたい。
- そんなこんなで、私達は前よりずっと深い仲になった。
- 今も隣にいるんだよ
- ねぇ薬研
- 私、貴方の事を好きになって良かった
- 。。。
- この数日後本丸自体のトラブルが起きる事を、私達はまだ知らなかった
- それは、また今度話すことにしようかな。