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ひとり劇場

薬研と審神者の嫉妬の話。

刀さにっていいよね 創作審神者でます。本丸の設定はあくまでも私の本丸の設定であって、本家の設定とは異なります。

私と薬研は付き合っている。それはもう、周りが羨むほどラブラブで。

そんなラブラブな私と薬研、数日前にトラブルがあったばかりでした。

今日はそのことをお話しします。


。。。
審神者
おつかれさ…ま…?
出陣帰りの薬研に伸ばした手を薬研が避け、呆気に取られる。
あれ、、怪我でもしてるのかな。
審神者
薬研、怪我でもしてるの?
薬研藤四郎
怪我はしてない。…。風呂入ってくる
審神者
ああ、うん、行ってらっしゃい…
たん、と閉じられた襖。
最近、薬研が冷たい。
喧嘩もしてないし、何かあったわけでもない。心当たりもなければ、気に触ることを言った覚えもない。
だが、薬研が冷たいことは事実であり、深読みすれば原因は私にあるという事だ。
唸りながら私の言動を振り返っていると、とんとん、と襖が二回叩かれる。
厚藤四郎
たいしょー
薬研かな?と一瞬思ったが、声の高さ的に、、厚くんかな。
どうぞ、と言えば、予想通りの黒い髪の毛がひょっこりと出てきた。
審神者
どうしたの?
何か用事があってきたのかと思えば、厚くんの口から出た言葉は予想外の言葉で。
厚藤四郎
薬研の奴が、俺に戦の報告変わってくれって言うんだよ。あいつ今日隊長だろ?
あんまり五月蝿いから了承したんだけどよ、大将、薬研と何かあったのか?
審神者
確かに今回の出陣の部隊長は薬研だった。
本当は薬研が報告するはずの戦報告を、厚に頼んだ?
今まで何があっても報告を優先してた薬研だ。報告をしないなんて、余程のことが無ければ無いだろう。
審神者
ううん…何もない…
厚藤四郎
そうなのか?だけど珍しいよなぁ、薬研が報告しないなんてよ。
今日の戦績は結構よかったんだぜ?
ならば尚更嬉しそうに報告に来てくれる筈だったのでは?と、嬉しそうな薬研の顔が目に浮かぶ。
審神者
なにか…あったのかなぁ…
今までされたことなかったことをされて、余計に頭がこんがらがっている。
その状態で厚くんが報告を始め、半分ほど聞き流してしまったが、変わってくれた厚くんはちゃんと褒めておいた。
。。。
審神者
薬研…
自分が原因なのではないか。
みんなが見えないところで苦しんではいないか。
もしかしたら不調なのか。


ぐるぐると頭に浮かぶ薬研がいつもと違う原因が、何を考えても悪い方向に向かう。
いてもたってもいられなくて、審神者部屋から飛び出した。
廊下を小走りで駆け抜けて、薬研の部屋の襖を数回ノックした。
返事がない。
審神者
薬研、いるんでしょ…?…入るよ…
と襖を開けると、やっぱり薬研はいた。
部屋の中央にある机とにらめっこしていて、何か書き物をしているのかこちらを向く気配がない。
審神者
薬研
さらさら
審神者
話をしようよ
さら
審神者
最近冷たいよね
さらさら
審神者
…私、なにかした?
さらさら
審神者
…私の事、嫌いになっちゃった?
無視し続けられている。なんだか悲しくて、涙が出そうだった。



ここまで言って、ようやく薬研の手が止まる。
ああ、そうなんだ。やっぱりそうなんだ。

分かっていた様に溢れる涙が畳を濡らす。
審神者
嫌いなら嫌いっ、て、言ってくれないと、私わかんな、
喋ろうにもどうしても突っかかってしまって。
審神者
ごめん、気がついて、あげられなくて
薬研藤四郎
違う…っ、!
ぱし、と筆を置く音と共に薬研が立ち上がった。
肩を震わせながら泣く私に薬研が伸ばしかけた手が、引っ込むのが分かった。
どうして?

なんで?


泣いてるのに、撫でてくれないの?
いつもみたいに、しょうがねぇな、って、笑ってくれないの?
そう思ったら何故か胸が痛んで
どうしようもないくらいに、薬研が。
審神者
薬研っ、やっぱりやだ、やだよ、私を好きでいて、薬研、
ぐ、と何かを堪えているような薬研の表情なんて気にせず抱きついた。

どうしようもないくらいに悲しくなってしまって

どうしようもないくらいに泣きじゃくる。

それはもう、子供みたいに。
薬研藤四郎
たいしょう、
審神者
やだ、
薬研藤四郎
大将
審神者
お願い、ねぇ、薬研。
薬研藤四郎
大将っ!
三度目だろうか。薬研の声にはっとする。

私を見つめるその目が鋭かった。
まるで、

私を突き放すような。
審神者
ご、めん、
本当はもっとぐずって、薬研の気持ちを聞きたい。
でも、嫌がっている。
彼の纏う空気が、嫌なものになってきているのを感じた。
引っ込むように、薬研から離れる。
嫌がることをしてしまった。これだから。

これが、薬研が嫌う私の嫌な所なのか?


わからない。わかってあげられない。


主なのに。

薬研、と小さく呼べば、その度にこちらを見つめる細い目が、キッと睨んでくる気がした。

どうしようもなく薬研が好きだから
どうしようもなく焦ってしまう。
審神者
薬研、…こわい、
薬研藤四郎
大将、ごめん、違うんだ。そんなつもりじゃなくて。
焦ったような薬研の声が耳に届く。
審神者
わたし、なにも、知れなくて、いつも、薬研に甘えてばっかりだから、
ああ、また。
こんな事を言ったら。

薬研はもっと離れていくのに。
薬研藤四郎
違う、本当は、ただの、嫉妬心からで、
薬研の声がだんだんくぐもって小さくなって、普段胸を張っている彼の背中が丸まっていった。
薬研藤四郎
…泣かせようと、思ったわけじゃないんだ。
申し訳なさそうに俯く薬研を見て、目を見開く私。
審神者
しっ、と?
嫌われちゃった訳じゃない?
薬研藤四郎
大将、最近…、演練で他の男に絡まれること、多いだろ。…俺がいるのに、簡単に誘いに乗ろうとするから。ちょっと、だけ、痛い目見ればいいと思って…、
今度はちゃんと抱き締めてくれた。
薬研の香り。
洗剤のいい匂いと、薬の匂いが混じった香り。甘い香り。
審神者
わたし、…、ごめん、薬研…
薬研藤四郎
うん、いい。もういいから…俺も、ごめんな。つらい思いさせたな。ごめん。
優しく優しく、頭を撫でてくれる。
安心して、余計涙が出た。
さっきまでの空気が嘘のように優しくなって、

何もかもが、いつもの彼に戻っていた。
それから、
最近冷たくて寂しかった事、
勝手に勘違いしてしまった事、
薬研を心配してた事、
全部話した。
薬研は離すことなく私を抱き締めながら、うん、うん。と頷いてくれていた。
。。。
本当に安心して、話の途中で寝てしまったことは今でも後悔している。
なんで後悔してるのかって?
後で聞いた話だけど
薬研も泣いてたんだって。
珍しいでしょ?私も見たかったけど、日が暮れるまで寝てたみたい。
そんなこんなで、私達は前よりずっと深い仲になった。
今も隣にいるんだよ
ねぇ薬研
私、貴方の事を好きになって良かった
。。。
この数日後本丸自体のトラブルが起きる事を、私達はまだ知らなかった
それは、また今度話すことにしようかな。

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投稿日時:2017-08-29 14:44
投稿者:いろは
閲覧数:17

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