I knew you ware Trouble4
3の続きです。
- I knew you ware Trouble4
- 次の日の昼、エイディンの家で目が覚めた私は外の騒ぎに気がつく。激しくノックされている。叫び声も聞こえた。
- エイディン…ねえ、エイディン……エイディンってば!
エレナ
- 隣で寝ていたエイディンを、揺れ起こす。エイディンは寝ぼけ眼で体を起こした。
- ん……なに…
エイディン
- 誰か来てるよ…ねえ…
エレナ
- え…?
エイディン
- エイディンは目をこすり、ベッドから降りると、窓の方へ行きカーテンを開けた。
- …まじかよ。
エイディン
- な、なに…?どうしたの?
エレナ
- お前はここにいろ。
エイディン
- エイディンは素早く服を着ると、慌てた様子で玄関に走っていった。
- 気になった私は窓から外の様子を見ると、そこには4人の男の人がいた。その人たちが怒っているのは一目瞭然だった。
- よう、エイディン。
知り合い
- …どうしたんすか、先輩。お仲間さんもいるみたいで。
エイディン
- それはお前がよくわかってんだろ?
知り合い
- 何のことっすかね。
エイディン
- …そこに止まってる車かっけえな?自慢してんだか知らねえけどよ。誰の車か教えてくんねえかなー?
知り合い
- …すいません、すぐ返そうと思ったんすよ?でもかっけえから…
エイディン
- ただそこに止まってるだけなら俺だって怒んねえよ。でもなぁ…?
知り合い
- 4人のうちの1人とエイディンはずっと話していた。そしてその男は車の傷ついた部分に指をさした。
- …あっれ…いつの間に…
エイディン
- 殺されてぇのか?とぼけてんじゃねえぞ。
知り合い
- とぼけるって、意味わかんないっすよ。いや、ほんとごめんなさい、気づかなくって…
エイディン
- …いいよ、警察に連絡する。
知り合い
- なっ………何でっすか…
エイディン
- エイディンの顔が青ざめた。顔は笑っているが、全く楽しそうではない。
- お前昔…人殺したんだろ?
知り合い
- えっ…
エレナ
- 部屋の中で1人、声を出した。血の気が引いて全身の力も抜けていく。私はその場でしゃがみこんだ。しかしすぐ体を起こし、再び窓の外を見ていた。
- 何で…そう思うんすか?
エイディン
- 昨日俺の家に来たんだよね、警察が。…身に覚えあんだろ?
知り合い
- ハハッ…冗談やめてくださいよ。
エイディン
- 悪いけど俺は冗談言えるような気分じゃない。正直にお前が話してくれれば通報しないつもりだったけど…
知り合い
- ………。
エイディン
- 悪いな。
知り合い
- 気付くとすぐそばにパトカーが一台止まっていて、中から昨日の警察が来ていた。
- やぁ、エイディン。のこのこと家に帰ってくるなんて案外バカなんだなぁ。
警察
- まじかよ…
エイディン
- とりあえず一緒に来てもらおうか。
警察
- エイディンは抵抗しなかった。大人しく警官に手錠をかけられ、パトカーへ向かっていった。その様子を、男たちは笑いながら見ている。
- 最近のエイディンはおかしくて、私は恐怖感や不信感を覚えていたけれど、以前よりも楽しそうにしていたのも事実だ。もしかしたらこれが、エイディンの本性なのかもしれないと思った時、このままエイディンから離れるべきなんじゃないかと考えた。
- でも、それでも、あの日の自分を救ってくれたエイディンの優しさが忘れられなかった。あのとき、私はエイディンと一緒に生きると決めた。だから例え、エイディンの本性が飛んだ暴れ馬だったとしても、私はエイディンを裏切ってはいけない気がした。
- 待って!!
エレナ
- 気付いたら外に出ていた。
- ……エレナ、出てくるなって…!
エイディン
- 私、ずっと待ってるから…だから…
エレナ
- お前…俺が何したか分かってねえだろ?
エイディン
- いいよ別に…知ってても知らなくても、私は変わらないから。
エレナ
- ……あ、そう。
エイディン
- エイディンは私に向けていた顔を逸らし、警官と一緒にパトカーに入ると、パトカーは行ってしまった。
- 最後、エイディンは微かに微笑んでいた気がした。
- お前、肝座ってんな。
知り合い
- え?
エレナ
- 普通、あんな奴捨ててどっか行っちまうもんだろ。
知り合い
- …エイディンは大切な人だから。…エイディンしか、いないから…
エレナ
- …あんな奴といても、トラブルに巻き込まれるだけだろ。
知り合い
- そう…ですね…
エレナ
- とりあえず、車は返してもらうぜ。あいつ帰って来たら、2度と顔出すなって言っとけ。
知り合い
- 男たちは乗って来た車の後ろに、赤のオープンカーをフックで付けると、さっさとその場から去ってしまった。
- 5に続く。