ヘタレのインド一人旅
- やりきれんな〜
4児お父さん
- どないしてん?
6歳、3歳、1歳、1歳
- いや、君たちにはまだ早いというか、立場上、言われへんよ
4児お父さん
- なんや、大人の悩みか?
6歳、3歳、1歳、1歳
- まぁ、せやな
4児お父さん
- 誰かと話するというのは、楽しくも、不思議で、センチなものやな
4児お父さん
- ウチらとようしゃべってるやん
6歳、3歳、1歳、1歳
- ま、まあな、、。深いトークもあるやんか。大人の
4児お父さん
- ウチらとの会話は浅い、、?
6歳、3歳、1歳、1歳
- いやいや〜。そうではなくな
4児お父さん
- なんやねん
6歳、3歳、1歳、1歳
- なんか、色々やりきれんな、10年前と一緒やで、自分は。根本は何も変わってへん
4児お父さん
- どうしたよ、わかる範囲で聞くで
6歳、3歳、1歳、1歳
- いやいや。子供達に話すことではあらへんよ
4児お父さん
- まぁ、目の前にあるチャンスは滅多に転がってへんから、センサーを敏感にして、ここぞというときにチャンスを逃さない人と鈍感に逃す人と、2パターンあるわけや
4児お父さん
- なんや、しゃべってるやん。何かミスったんか?
6歳、3歳、1歳、1歳
- いや、長い目で見ればミスではない、うむ。総合的には、きっと良かった。
4児お父さん
- 煮え切らんな
6歳、3歳、1歳、1歳
- まあ、そっとしといたってや。これ以上は話されへん。何か、20代前半を思い出したわ。
4児お父さん
- 自分の不器用さ、勇気の無さに嫌気がさして、オトコとしての荒修行として、ネパールやインドに一人旅したんや、23歳のころ
4児お父さん
- ナニソレ!?すごいやん!
6歳、3歳、1歳、1歳
- まあ、そう言われたかったんやろな、当時は。何の取り柄もない、偏屈な20代の男。女にモテるわけでもない。何か目標があるわけでもない。バイトして、仲間と麻雀して、バイク乗って、ロック聴いてるだけで、自らの存在、エネルギーは、何ものにも昇華されない日々
4児お父さん
- ほうほう。何か面倒くさいけどいい感じやで
6歳、3歳、1歳、1歳
- 黙って聞かんかい!
4児お父さん
- まあ、当時、大学のゼミの仲間内では、インドに一人で行くのが流行っててん。(どんなゼミや)
4児お父さん
- 女でも2人くらい、インド1人旅してる奴がおった。そりゃ、当時の俺には強烈やったよ。自分は、ダラダラと大学生活に甘んじてるのに、何か、一つ上の、高次元な取り組みにリスクをおかしてでも、踏み込んでる奴がいる。自分がオトコとして、心底情けなく思えた。
4児お父さん
- インドに1人旅ってのは、何かすごいんか?
6歳、3歳、1歳、1歳
- まず、圧倒的に文化や語学や治安や、およそ華々しい大学生活とはかけ離れた世界感なんやな、インドとは。小綺麗な服で身を包み、恋愛を享受し、カフェやサークルで過ごす大学生活とはちょっと違うんや
4児お父さん
- インド行ってる人に何かを感じるということは、パパもそっち系の人種やったの?
6歳、3歳、1歳、1歳
- まあ、広義ではそうなのかな。猿岩石がヒッチハイクで世界をまわったり、深夜特急という香港からロンドンまでバスで旅する実話に基づいた小説が好きやったんや。若さゆえに、暇で、日常のあらゆるものが、下らなく思えて、海外に何か刺激的な理想があるみたいな、中二な発想に取り憑かれてたわけや
4児お父さん
- 今思えば、目の前の日常に不満や問題がある人種が、ちょっと逃避的というか、狂い気味に振り切ってる奴が行くんやな、インドに。意識が先走り過ぎて、尖って
4児お父さん
- ほう
6歳、3歳、1歳、1歳
- インドは旅しづらいと、ゼミの仲間から聞いとったよ。こんな、不器用な俺はが。いきなりインド一人で行って無事に帰って来れるか、、。と、死ぬほど悩んだ。行きたいけどヘタレやんやな。ほんで、アジア入門編として、ネパールを最初の旅に選んだ。大学3年生の夏休みやったかな
4児お父さん
- マニアックやなー。インドとネパールって隣同士やん。何が違うん
6歳、3歳、1歳、1歳
- 人が優しいか、優しくないかやな
4児お父さん
- インドは人が多過ぎて、都会もあり、人がスレてる。対してネパールは、田舎が多く、ピュアに優しい人が多い
4児お父さん
- だから、ネパールにしたの?
6歳、3歳、1歳、1歳
- そう。とにかく、踏み出したくて、まずは、淡路島のホテルに住み込みでアルバイトして、旅費を貯め出した。1ヶ月で30万とか稼いで、余裕で旅費を捻出できた。
4児お父さん
- 何か目標を持って、それに動き出すプロセス、ええやん
6歳、3歳、1歳、1歳
- まあ、パパのアイデンティティにおいて、数少ない1人よがりな成功体験やな
4児お父さん
- ホテルのアルバイト仲間には、偶然なのか、必然なのか、バックパッカーと呼ばれる人々に出逢ったのだよ。バイトして金貯まったら海外に飛ぶみたいな生活をしてんの。今思えばすごい引き寄せ。自分の目指してる方向への具体的な先輩から直々に話聞けるんやで!
4児お父さん
- すごいな
6歳、3歳、1歳、1歳
- 本気で何かに取り組むと、奇跡というか、自分の感覚が研ぎ澄まされているから、何か引き寄せるんやろな、今思えば。ブレないの。シンプルに自分の精神は一方向に向いてるから
4児お父さん
- 私らにはちょい難しいけど、いつかそういう年頃が来るのね〜
6歳、3歳、1歳、1歳
- うむ
4児お父さん
- ネパール旅はどつだったよ?
6歳、3歳、1歳、1歳
- まあ、病みつきになったね。1人で行くんだけど、多くの出会いがあった。公務員の青年と安宿で一緒になって、語らったよ。
4児お父さん
- なんか、嘘みたいな話やな
6歳、3歳、1歳、1歳
- そう!嘘みたいなことが日常で起こるんだ、アッチ系の国は。カトマンドゥという首都に着いて、確か空港のゲート出た瞬間、ホテルの客引きが凄いの。日本人は金持ってて人当たりもいいから、いいカモなのよね。「ワタシは政府認定の紹介人です
4児お父さん
- みたいな、流暢な日本語しゃべる、上品なネパール人のホテルに、着いて行っちゃったよ。ホテルには若いネパール人の青年が3人くらいいて、つたない英語で語り合った。そして、山登り
4児お父さん
- トレッキングを紹介された。日本円で2〜3万で、申し込んじゃったよ。ガイド付き。
4児お父さん
- なんか急展開
6歳、3歳、1歳、1歳
- そう、ホントに何にも決めずに行ったから、成り行きにまかせて動きを決めたんだ。ドラクエの実写みたいな感じだったよ
4児お父さん