あの子が亡くなった日 7
経験談
- 次の日
心音
- 放課後すぐ行って
駄弁っていると、
心音
- あの子は突然苦しそうに
痙攣し始めました。
心音
- ナースコールに手を伸ばそうとしていたから、
心音
- とっさに取って看護師さんを
呼びました。
心音
- それからはバタバタしていて
記憶がおぼろですが、
心音
- 私は、
大丈夫なのか、この子は死んでしまうのか、と
看護師さんに泣きすがっていた
そうです。
心音
- 記憶があるところから話します。
心音
- ごめんな、迷惑…かけて
N
- 発作、いつもは夜だし
安心してたんだけど…
頻度あがってきて…
N
- …大丈夫です
心音
- 無事で、よかった。
心音
- はは…
N
- ああ、薬、来た。
N
- 今から…寝とくから。
帰ってええよ。
もう暗くなるし。
N
- その日はもう帰りました。
心音
- またまだ蒸し暑い夕暮れでした。
心音
- 次の日は休日
(だったはず)でしたので、
朝から病院に行きました。
心音
- おはよう、ござ……い…
心音
- 絶句しました。
心音
- あの子の寝ている、白い
ベッドのまわりを
WとFが囲って
なにか言っていました。
心音
- 明らかに非難していました。
心音
- なに、ほんとに死にそうやんw
Wちゃん
- もう死ぬっしょこれ
Fちゃん
- 宇宙人みたいじゃね?
Wちゃん
- それなw
薄毛になってない?ハゲ
Fちゃん
- ウケる~www
Wちゃん
- 何してるんですか!!!
心音
- うわ
Wちゃん
- 来た
Fちゃん
- 実はこのごろ、この二人に
私は無視されていました。
心音
- けどそんなことどうでも
良かったんです。
心音
- 直接、危害を加えに来た。
心音
- この人間の考えていることが
さっぱり分かりませんでした。
心音
- おぞましくて恐ろしくて
半狂乱になりながら
追い出してしまいました。
心音
- 心音…
N
- ありがと。
N
- ………………
心音
- 言い返さなかったんですか?
心音
- いや、まあ…事実っちゃあ
事実だしね。
N
- いいんだよ………。
N
- 目を伏せたまま語るあの子は
この世の何よりも、
『かわいそう』なものに
見えました………。
心音