あの子が亡くなった日
経験談
- 友達
心音
- あの子は、とびっきりの
いい子でした。
心音
- 明朗快活でノリが良く
運動神経は万能
心音
- 勉強…は苦手だったけど、
コミュニケーション能力が
高くて、
誰とでも仲良く出来て
心音
- 分け隔てなく接せて、
陰口を言わなくて
いつもみんなを大事に。
心音
- それでいて自分も殺さず
全員が愉快でいられるように
努める、そんな子。
心音
- おバカなように見えて
誰よりも人を思いやって
色々考える、
そんな素敵な子。
心音
- その子は
心音
- 2013年夏、小児がん患者に
なりました。
心音
- …え?
心音
- 入院?
心音
- うん
N
- まあ大丈夫大丈夫、
再検査するだけらしいし!
N
- そう、なんですか。
心音
- よかったです…。
だってせっかく算数をいっしょに勉強したのに、テストできなかったら水の泡ですからね。
心音
- へへへ、その節はど~も…
N
- あの時なんで
気づいてあげられなかったのか…
心音
- だってあの子は本当は
ちょっと泣いてたんですから。
心音
- ゴミが入ったとか言って
気にもしなかった、
けどそれは死を感じ取った
人間の
悲しい涙だったんです。
心音
- 数日ごとに電話。
心音
- もしもし、大丈夫ですか?
心音
- 『はは、大丈夫大丈夫。』
N
- ほんとうに?
もう一週間、来てないじゃあないですか…。
検査、よくなかったんです?
心音
- 『まあ、カンバシクないって
感じだけどー、
全然元気だし?w
大丈夫だよー! 』
N
- それからさらに二週間
心音
- 夏休みになったと同時に
お見舞いに行きました。
心音
- 彼女は変わらず、
はじけるような笑顔で
迎えてくれました。
心音
- やほ~久しぶり~
N
- はい、久しぶりですね…。
なんか痩せました?
心音
- 痩せた痩せた、病院食マズイんだも~ん。
愛がないっていうか?
N
- ふふ…。
選り好みしないで、
食べてくださいよ?
そのうち死んじゃいますよ?
心音
- そう、この一言。
心音
- そのうち死ぬ、
それはあの子にとって
あまりにも身近な事柄でした。
軽はずみに口にして、
どれだけ傷つけたか
わかりません。
心音
- じゃあ、明日もお見舞いに
行くので…
心音
- 元気に迎えてくださいね。
心音
- うん
N
- じゃ~の
N
- ………………
N