寒くない
エインズワース元帥とアレンとリンクが砂漠で任務
- 寒くない
- ……暑い。
マリア
- 〜ッ、ああー…もう!言わなかったのに!!
意識したら、もっと暑くなるじゃないですか!
アレン
- 黙れ、暑苦しい。暑いモノはどうやったって暑いのだ。
おい、そこの犬。その無駄に広い知識で、なんとかできるだろう。
例えばそうだな、私を今すぐ教団に帰すとか。
マリア
- あまり出鱈目を仰らないでいただきたい。
私は貴女のように魔法が使える訳ではないのですよ。
リンク
- よもやこの私に天気が変わる魔法でも研究させるつもりか?
そもそも、どうして私がこんな所に来なきゃならん。私は結構偉いんだが。
マリア
- 人手不足なんですよ、我慢してください。
あと、自分で言うな。
アレン
- (元帥だぞ?と不満たっぷりの顔を向けられても、僕にはどうしようもないっ!)
アレン
- 全く…これなら、寒い方がマシだ!
マリア
- (大きな足音を立てて隣を歩く。
あ、と思ってリンクの方に目を遣ればやはりというか、目を少し見開いて、夢から醒めたような顔をしていた。
完全に不意を突かれましたってカンジだし、多分息も心臓も止まってる。
彼女の心が孤独に冷え切った時、いつも暖めていたのはリンクだ。
同じ幼馴染なのに、ちょっと悔しいな、なんて今更。)
アレン
- そもそもその赤いジャケットだ。
昔っから鴉というやつは、隠密の癖して擬態する気があるのか疑わしい。
マリア
- 結構。これは由緒正しき中央庁の、誇りある正装なのですから。
リンク
- あー、はいはい。分かったわかった。
しかし、狙われても私は知らんからな。
マリア
- そうは言っても、ローズクロスを掲げている時点で我々黒の教団は良い的です。
エクソシストなんて、最も。
リンク
- その経歴は飾りか?そうじゃないなら、暑さで頭が鈍ってるぞ。
狙われるために着てるんだよ。お前はエクソシストじゃない。
マリア
- (言うまでもなく、リンクは苦虫を噛み潰して そのまま嚥下させられたようなカオ。
僕は、幼い頃に師匠と交わしたやり取りを思い出す。
あの大男の歩みが遅くなったこと。やけに神妙な顔つきをしていたこと 。
きっとあれも、この人から受け継がれた思い出なのだ。)
アレン
- 黒服ではありませんが、黒い羽なら持っています
リンク
- ソレすきだよな、お前。
マリア
- (事も無げに前を歩く。
はて、彼女はリンクがこの言葉を発したのをいつ何処で聞いたのか?
さっきまで玩具の兵隊みたいに歩いていたリンクが、またもや足を止めているじゃないか。)
アレン
- ……まさか、
リンク
- そのまさかだ。ティムが全て教えてくれたよ。残念だったな、
マリア
- (―思い出してなくて。)
アレン
- 安心しろ、私がその分可愛がってやるよ
マリア
- ふん、戯言を。
私は彼女に愛を乞う程愚かではありませんとも。
リンク
- そうだよな、可愛がっていたのはお前の方だものな
マリア
- (再び足を止める、中央庁のお抱え。
恐れ入った。一日に三度も
主席監査官の不意を突くなんて!)
アレン
- なっ、にを……
リンク
- (何を?そんなの、キミが一番分かってる癖に。
リンクは相変わらず何かに気付いてしまうことを恐れているような顔をしている。
やめろ、これ以上踏み込まないでくれ、と嘆願しているように見えた。)
アレン
- ティムが教えてくれた
マリア
- (歯を見せて意地悪く笑った。)
アレン
- 〜ッ、プライバシーの侵害です。
この件に関しましては、ルベリエ長官に正式な報告書を……
リンク
- (魔女が笑った。彼女曰く 根底がキャンディーよりも甘いボンボンに書類が渡った所で、きっと僕の知らないような高級ティーパックとして消費されるに決まってる。
胸がいたい。この魔女一人で、僕らを取り巻く繋がりが大きく変わってしまう。さながら長官の立てたクリームの渦に巻き込まれるようだった。)
アレン