【おそ松さん】ひとりっこ。最終回
初心者です。キャラ崩壊あり(?)おそ松兄さんが1人っ子になってしまう話、ついに最終回です!
- このストーリーは続きものになっています。まだご覧になったことのない方は【おそ松さん】ひとりっこ。①〜⑥をお読みください。
- 7,お兄ちゃん
- 《おそ松(?)目線》
- 腹がズキズキ痛んだ。
- 久しぶりの痛みだ。
- 俺は口元の血を拭い、起き上がる。おそ松は、亀裂の前に立っていた。
- へっ…その亀裂はせいぜい3mはある。飛ぶには無理があるぜ?
おそ松(?)
- なんの
おそ松
- おそ松兄さんだめだよ!落ちちゃう!!
トド松
- 泣きそうな声で叫ぶトド松に、おそ松は微笑んでみせた。
- いつの間にか、瞳の赤は消えていた。
- おそ松は、身を投げた。
- 転げるように、奴は飛んだ。そして良く似た兄弟の元へとたどり着いたのだ。
- おそ松兄さん!!
十四松
- 待ってろ、もうすぐアイツを倒してやっからな…!
おそ松
- ────待ってろ、今助けにいってやるから!
- !!
おそ松(?)
- かつて自分が言った言葉が、脳裏をよぎった。
- …死んだ弟の話だ。
- 弟は、馬鹿だった。
- ある日、弟が崖から落ちて戻れなくなった。よくもまあ、あんな高いところから落ちて無事だったもんだ。
- けど、足を痛めた弟は、戻れなくなった。
- 俺は助けに行った。近くにあった木に縄を結びつけ、崖を下ったんだ。
- 兄さん!来てくれたんだね。
弟
- いいから、早く背中に乗れ。帰るぞ。
おそ松(?)
- 俺は、弟を背負い、崖をのぼり始めた。
- …だけど。だけど、縄が細すぎたんだ。のぼればのぼるほど、縄がほつれていく。
- …兄さん。
弟
- ん?なんd…
おそ松(?)
- ありがとう。
弟
- …!?
おそ松(?)
- あいつは、それだけを残して、自らその手をはなして死んだ。
- ……。
おそ松(?)
- おそ松といえば、さっき弟たちを縛った縄をもう全部ほどいていた。
- おい、お前…
おそ松
- …なんで…
おそ松(?)
- 俺は叫んだ。
- なんでだよ…!?
おそ松(?)
- 頬を熱いものが伝う。
- 兄弟が憎くないのか!!長男長男って煩かったんじゃねーのかよ!?なんで…貴様!!!
おそ松(?)
- ……
おそ松
- ゴゴゴゴゴゴゴゴ…
- 地響きが鳴る。
- 近くの崖が崩れた。
- ……まるで、弟が怒ったかのように。
- 亀裂は深く裂け、俺たちは深い地に吸い込まれるように落ちていった。
- 《おそ松目線》
- …兄貴!!
カラ松
- 上の方から声がした。
- 弟たちが、上にいる。…どうやら落ちたようだ。多分…10mくらい。あちこち打って痛い。
- 大丈夫大丈夫ー!今戻る、そっち全員いるか!?
おそ松
- いるぞ!!
カラ松
- …ッ!
おそ松(?)
- 隣を見れば、奴がいた。
- 俺は、上に向かって叫んだ。
- さっきの縄あるだろー!?縛られてたやつだ!!そう!それ、落としてくれ!
おそ松
- 縄がつり下がる。
- そっちちゃんと持ってろよ!!離すなよー
おそ松
- …俺は奴を見た。
- …行け。そしてさっさと去れ。早く戻って、この崖を完全に崩せばいい。
おそ松(?)
- ……
おそ松
- 早く行って殺さねーと、また異世界にとばされちまうぞ。…どちにしろもう俺は歩けねーし。わかったか、早く行け。2度とこっち見んな!
おそ松(?)
- 奴はそっぽを向いて言った。
- 俺は、奴に背を向けた。
- おい…
おそ松
- 乗れ。
おそ松
- は…?
おそ松(?)
- 乗れって。おぶってやっから。そしたら上に戻れんだろ?早く、急げ。夜が明ける…
おそ松
- お前…本当の馬鹿なのか?俺は敵だ。俺のことなんかほっといて、さっさと行っちまえ。弟が待ってんだろ
おそ松(?)
- だから馬鹿だってんだ、乗れっつってんだろーが!!!!
おそ松
- !!
おそ松(?)
- これ以上言わせんな…乗れ
おそ松
- なんでお前は…そこまで俺にこだわる?
おそ松(?)
- なんでだろ…お前はなんか、俺のことわかってるような気がしたから。…実は弟いるんだろ?
おそ松
- …。
ああ、遠くにな。今はまだ…会えない。
おそ松(?)
- そんな気がした、と俺は笑った
- …乗れ
おそ松
- 奴は俺の背に乗った。俺はそのまま縄に手をかけのぼり始めた。
- ぎし、ぎし…
- 縄の軋む音。
- あいつらしーや…
チョロ松
- おそ松兄さん頑張ってー!!
トド松
- ハッスルハッスル!!
十四松
- 夜が明ける…
一松
- あと少しだ!!
カラ松
- くっ…
おそ松
- 手も足も痛い。
- けど、ここでくたばれば何もかも終わる。
- あとすこしだ、あとすこし…
- 《おそ松(?)目線》
- チリ…チリ
- (縄のほつれる小さな音…おそ松、お前には聞こえてないんだろーな…俺もそうだった。)
おそ松(?)
- おそ松の揺れる背中を見る。
- もう…切れる
- 弟も…こんな気持ちだったのかな…
- ────おそ松、ありがとう…
- 俺は手を、離した
- 《おそ松目線》
- 背中から何か聞こえた。そう思ったら、急に背中が軽くなった。
- 後ろを振り向くと、あいつが微笑んでいた…
- 《おそ松(?)目線》
- おそ松…
- お前には礼を言わなきゃならない。ありがとう。
- 俺はお前に変えてもらった。
- …だから、これが俺からのお返しだ。それに…これでやっと、弟に会える。
- 遠ざかるおそ松を、俺は見つめた。
- (さよな…ら?)
おそ松(?)
- 馬鹿野郎!!!
おそ松
- 俺は落ちなかった。奴に足で捕まえられた。
- お前、本当に馬鹿なんだな!?離すな!!弟が悲しむだろーが!!!弟に会えなくなっちまうだろ!?
おそ松
- …ッ!
おそ松(?)
- おそ松はそのまま、俺ごと上にたどり着いた。
- 兄さん…!
一松
- よ、よかったぁ〜…
トド松
- 兄貴!!
カラ松
- こっの馬鹿長男!
チョロ松
- おめで盗塁王!!
十四松
- 泣きながら喜び合う兄弟を、俺は懐かしく思った。
- じゃあな、おそ松
おそ松
- ああ…元気でな。…ありがとう、本当に……
おそ松(?)
- 奴らは最後まで笑っていた。
- 俺はその笑い声が遠ざかるのを感じながら、姿を消した。
- …なぁ、お前は…どう思う?
おそ松(?)
- 俺は、あいつみたいに…ちゃんと、ちゃんと……
- 『お兄ちゃんに、なれたかな?』
おそ松(?)
- 完結しました!!本当にいつも見てくださっている方々、ありがとうございます!!楽しくかかせていただきました!もし次作を作ることになりましたら、その時はよろしくお願いします!大変長々ありがとうございました、またいつかお会いしましょう!