Name 第1話
オリジナルストーリー。もともと演劇の台本用に作ったものなので、地の文はト書きとなっています。
- 雨が降っている。その中をパーカーのフードをかぶった少女が、走っている。
- 公園の東屋のベンチに座り、ため息をつく。
- 雨はまだ上がらない。
- …………
少女
- そこへ、慌てながらくる霧野。
- 少女には気づかず、隣に座る。
- ったく…雨降るとか聞いてねぇよ
霧野
- スマホをいじり、ゲームを始める。
- …………
少女
- 少し気になるのか、彼の方をチラチラと見る少女。
しばらくして、いきなり霧野が立ち上がる。
- よっしゃああああ!!
霧野
- !?
少女
- 少女、驚いてベンチの端に行く。
- クリアだ。やっとクリアした!
ハァァァ………長かったよ、ここまで!
これでアイツに自慢できる!
霧野
- 雨はいつの間にか上がっていた。
- 雨も上がったし、アイツんとこ行くか!
霧野
- 少女の前を通り過ぎようとして、やっと彼女の存在に気付く。
- うわあ!誰だよお前!
霧野
- !
少女
- いつからいたんだよ!
霧野
- ……………(うつむく)
少女
- おい、答えろ!
霧野
- ……………
少女
- 答えろって!
霧野
- ……………
少女
- …寝てんのか?
霧野
- ……………(ゆっくりと首を横に振る)
少女
- ………てか、お前いつまでフードかぶってんだよ
雨、上がったぞ
霧野
- 少女のフードに触れようとする
- やめて!!
少女
- 霧野の手を弾き、にらむ少女。
- …え?
霧野
- しばらくして、少女は我に返り、走り去る。
- ………っ!
少女
- あ、おい!
……行っちまった。何だったんだ?
霧野
- 一ノ瀬が走ってくる。
- あ!やっと見つけた!どうせここだろうと思ってたよ
一ノ瀬
- あー悪い、悪い!わざわざ来てくれたんだな
霧野
- そりゃあ、全然来る気配が無かったからね。
道にでも迷ったの?
一ノ瀬
- ちげーって!ほら、さっき雨降ってきたろ?傘なかったから、ここで雨宿りしてたんだよ
霧野
- あーなるほどね
一ノ瀬
- それに、俺はそこまで方向音痴じゃねーぞ!
霧野
- じゃあ、この前家まで帰るのに道に迷って結局1時間かかって帰ったのは、どう説明するつもり?
一ノ瀬
- この前ここに越してきたばかりなんだぞ!
分かるわけねーだろ!
霧野
- でも、さすがに1時間はかからないよ
一ノ瀬
- あれは、運が悪かったんだよおおお!!
霧野
- それ、関係あるの?
まあ、いいや。じゃあ、すっかり晴れたし、そろそろ行こうよ
一ノ瀬
- おう!今日こそ、お前に勝つからな
霧野
- おっ!えらく自信があるね
一ノ瀬
- あったり前だ!俺はさっきあのステージをクリアした………ん?
霧野
- どうしたの?
一ノ瀬
- ベンチの上に百円玉。
- なんか、ベンチに百円玉があるんだけど
霧野
- 珍しいね。誰かが落としたのかな
一ノ瀬
- でも、ここに毎日来るのは俺ぐらいしかいねーんだけどな………あ!
霧野
- え?
一ノ瀬
- もしかして、さっきの………。
なあ、お前、フードかぶった女、見なかった?
霧野
- え、女の人?いやー、見てないな…
ていうか、見たこともないよ
一ノ瀬
- だよなー。俺も初めて見た。
けど、多分そいつのだな
霧野
- あの、話が全然見えてこないんだけど…
一ノ瀬
- いや、何でもない!こっちの話だから、気にするな。
ごめんな、引き止めて。早く行こうぜ!
霧野
- あ、うん!
一ノ瀬
- 霧野、一ノ瀬、去る。
- ………………。
- 白衣を着た研究者が三人やってくる。
- やはり、そうじゃないか?あの時見たのにとてもよく似ている
研究者
- どうしますか?
研究者2
- 今のところは、様子を見た方が…
研究者3
- そうだな、そうしよう
研究者