魚と少年 第2話
前回の続きです。短編といいながら続きます。
- 僕はキミを待っていた
少年
- 彼はそう言って、わたしに一歩
- 近づいてきた。
- わたしを?
わたし
- さぁ、僕と一緒に行こう
少年
- そう言って、
- 少年はわたしに手を差し出してくる。
- 待って!
魚
- 魚が叫ぶようにわたしに声をかけた。
- ここに来る前のことを
思い出さない?
魚
- え……?
わたし
- 魚に言われて、
- ふと、今までのことを
思い出そうとして、
- わたし……、
思い出せない
わたし
- ここに来るまでの記憶が
- ないことに、気づいた。
- そんなの思い出さなくていいよ
少年
- にこやかに少年は話しかける。
- そんな……
わたし
- わたしは、思わず後ずさった。
- あ、あなたは誰なの!
わたし
- さぁ、何者なんだろうね?
少年
- 僕もわからないよ、と
- 少年は肩を竦めて笑った。
- きっと、ロクでもない記憶
だったから思い出せないんだ
少年