臆病マスターと寂しがり屋な女の子【03】
ゆかりさんが家に来たら、そんな物語です。
- 臆病マスターと寂しがり屋な女の子【03】
- リビングに行くと彼女はソファーにちょこんと座っていた。
- ……
結月さん
- えっと、これ…
マスター
- そう言って紙とペンを手渡す。
- !
結月さん
- 彼女は受け取り、お辞儀をすると
その紙に何やら文字を書いている。
- (とりあえず、僕の考えていた事は合ったみたい。)
(心の中)
- (という事はやっぱり…)
(心の中)
- !
結月さん
- 彼女は紙を見せてくる。
「貴方が私のマスターですか?」
- …
マスター
- (やはり彼女は【声】が出ないようだ。)
(心の中)
- ?
結月さん
- 首を傾げ、また何やら文字を書き出す。
- えっとね…
マスター
- …
結月さん
- まず君はどこから来たの?
マスター
- …?
結月さん
- 彼女は少し考えながらも紙に
「分からない」
と書いてそれを見せてきた。
- なんで話せないの?
マスター
- ……
結月さん
- 彼女は僕のパソコンに目を向けて
「私が居ないから」
と書き、俯いてしまった。
- あぁ…それで声が…
ん?でもそれだったらなんで君が…
マスター
- …!!
結月さん
- 彼女は顔を勢いよく上げて、怒ったようにペンを走らせた。
- (あ、あれ?何か言っちゃいけないこと言った…?)
(心の中)
- !!!
結月さん
- 「私には【結月ゆかり】という名前があります!【君】じゃないです!」
- 紙にはそう書かれていた。
- あ、ごめん…
じゃあ…えっと、結月…さん。でいいかな?
マスター
- いきなり下の名前を呼ぶのは失礼…
なら苗字はいいかな、と思い恐る恐る聞くと…
- …
結月さん
- 彼女は少し不服そうな顔をしながらも
「それでいいです【マスター】。」
と書いてくれた。
ただマスターの部分を太文字で強調させていたけど…
- あ、後僕はマスターじゃないから普通に名前…
マスター
- …ッ!
結月さん
- 凄い威圧が掛かった。
自分の言葉を飲み込むくらいの威圧だった。
- …何でもないです。
マスター
- 女の子に負けてしまった。
- ♪
結月さん
- 彼女…結月さんは楽しそうに体を揺らしている。
- そういえば…
- あ、あの…ご飯、食べません?
マスター
- !
結月さん
- 彼女は恐らく朝から何も食べていないはず…
何か作って…
- (結月さんって食べれるのかな…)
(心の中)
- ~♪
結月さん
- なにやら嬉しそうだった。
久しぶりのご飯(?)だからだろうか…
とりあえず今日は有り合わせで作りながら、明日の予定を色々練り直していた。