6章「微笑む花を窓辺に咲かせて」2
- シュエット、今日は何の話なの?
スカーレット
- 堅苦しい話じゃないよ。
オルタンシアはこの町に友達がいないから、スカーレットを紹介しようと思ってね
シュエット(若)
- この前は式に来てくれてありがとう。
よろしくね、スカーレット
オルタンシア
- ええ。よろしく、オルタンシアさん
手土産が何もなくてごめんなさいね
スカーレット
- 気を遣わないで、私のことは呼び捨てでいいのよ
オルタンシア
- そう?改めてよろしくね、オルタンシア
スカーレット
- お邪魔しないように、俺は外へ出てるよ。じゃあね
シュエット(若)
- ちょっと……!
スカーレット
- あら……
オルタンシア
- シュエットにも困ったものね。いきなり呼ばれたから急な用事と思ったのよ
スカーレット
- そうだったの。急にごめんなさいね
オルタンシア
- ううん。ちょうど手が空いたところだったから
スカーレット
- それじゃ、何かリラックスできることをしましょう。お茶はどうかしら?淹れてくるわね
オルタンシア
- 若総統夫人にお茶を淹れさせるわけには……
スカーレット
- 気にしないで。お友達だもの
オルタンシア
- オルタンシアは微笑み、ポットで茶を淹れる
- ……はい、どうぞ。
オルタンシア
- ありがとう。ハーブティーね
スカーレット
- うん、美味しい
スカーレット
- 良かった。私のお気に入りなのよ
オルタンシア
- 私もお茶が好きなの。
次回はぜひ私に紅茶を淹れさせてちょうだい。
スカーレット
- ええ。楽しみね
オルタンシア
- ……オルタンシア。私はあなたと本当の友達になりたいから言っておく。他人から気軽に物をもらってはダメ
スカーレット
- ストレリチアは裏組織。ならず者の集まりだわ。それに大きな組織だから、若総統夫人ともなれば狙われることもある。
スカーレット
- とはいえ、幹部や構成員から物を貰うこともあるでしょうね。持ち帰ったり、口にしていいかは、私やシュエットや総統に相談してね
スカーレット
- ええ。心配をかけるわね
オルタンシア
- あなたは表の世界から来た人。最初が肝心だから言っておきたかったの
スカーレット
- そうね。難しい立場だから、心構えをしないといけないわ。まだ慣れないけれど……
オルタンシア
- 私は親の代からストレリチアの構成員。友達で、若総統夫人のあなたを守る。約束する。
スカーレット
- ふふ、ありがとう。
私もスカーレットの良いお友達になりたいの
オルタンシア
- ねえスカーレット
オルタンシア
- 貴女はずっと神経を尖らせているでしょう?それでは疲れてしまうわ
オルタンシア
- 男の人の前ではしっかりしなければ危ないかも知れないけれど、私は貴女と同じ女性だから もっと肩の力を抜いて接してくれていいのよ
オルタンシア
- …………
スカーレット
- ふふ、ありがとう
スカーレット
- その笑顔、柔らかくて素敵
オルタンシア
- 仕事柄、気難しい顔ばかりしていて。人相が悪くなってしまっているのね、きっと
スカーレット
- もともと愛想よくするのは苦手なの。表情が固くても、あなたが悪いわけじゃないわ。どうか許して
スカーレット
- もちろん。少しずつ慣れていきましょ
オルタンシア
- そうだわ、守ると約束してくれたのなら、スカーレットの淹れた紅茶は安心して飲めるのよね。
オルタンシア
- 楽しみに待っているから、また来てね
オルタンシア
- ええ、そうさせてちょうだい
スカーレット