5章「君の影追う香りの道筋」6
- ヒエラがミュゲを保護して半月ほど経った頃
- 仕事終わったらどうしようかなー
ヒエラ
- 最近機嫌がいいわね
ユナカイト
- いい事でもあったの?
ユナカイト
- 可愛いウサギちゃんが家で俺を待ってるんだよ
ヒエラ
- ペット飼ってんのか?
寂しくさせちゃダメだぞ!
ちゃんと家帰れよ!
ジェット
- はぁい
ヒエラ
- 最後まで面倒見るんだぞ!
ジェット
- うん、そういうわけだし今日はこの辺で
ヒエラ
- 行っちゃった。
何しに来たのあいつ
ユナカイト
- わかんないっす
ジェット
- ウサギ何色かな?
ジェット
- ---
- (最後まで、か。どうせ必要なくなれば手放す関係だもの。俺には似合わない言葉だね)
ヒエラ
- ただいまぁ
ヒエラ
- お帰り、ヒエラ
ミュゲ
- こらこら、玄関で引っ付かないの
ヒエラ
- ご、ごめん。寂しかったから……
ミュゲ
- 潜伏って時間だけはあるよねー
ヒエラ
- って、ミュゲは師匠の魔導書を読んでるから、暇じゃないか
ヒエラ
- うん。だけど、する事も1つしかないと飽きちゃう……
ミュゲ
- だろうと思って買って来たよ。前に好きだって言ってた作家の新刊と、息抜き用に雑誌をね
ヒエラ
- !
ミュゲ
- 嬉しい!
ミュゲ
- 晩御飯にしよう。
買ってきたものだけど
ヒエラ
- 大丈夫、なんでも食べるよ
ミュゲ
- ありがとう、私のために
ミュゲ
- いいんだよ。ミュゲの喜びそうなことしてあげたいだけだし(結構手間なんだけどね)
ヒエラ
- 俺の言いつけ、全部守ってるとキツいでしょ?
頑張って守ってくれてるから、ご褒美
ヒエラ
- ……ヒエラが優しくしてくれるから、頑張れるの
ミュゲ
- 外に出て良くなったら、ヒエラに恩返ししなきゃ
ミュゲ
- そりゃあ嬉しいな
ヒエラ
- (外出解禁したら、しっかり働いてもらわないとねー)
ヒエラ
- ------
- あ〜〜久しぶりにゆっくりお風呂に入れた……
ヒエラ
- ゆっくり入ると、気分が良いよね
ミュゲ
- それねー。
俺ってば丁寧な暮らしと無縁だもんなぁ
ヒエラ
- お、早速読んでる?
ヒエラ
- 明日まで待てなかったの。
楽しみすぎて……
ミュゲ
- 俺は明日も仕事だぁ
もう夜だなんて早いよなー
ヒエラ
- ミュゲの部屋、そろそろ手配できそうだって。引っ越しの日も近いね
ヒエラ
- ん……ベッド、ミュゲの匂い
ヒエラ
- お昼寝するのにベッド借りたの……
ミュゲ
- ね、ヒエラ、せっかく早く帰ってきたのに……もう寝ちゃう?
ミュゲ
- うん?
ヒエラ
- まだ寝ないで……
ミュゲ
- そういうことね
ヒエラ
- おいで、ミュゲ
ヒエラ
- ミュゲはヒエラをぎゅっと抱きしめる
- ……ヒエラ
ミュゲ
- ん?
ヒエラ
- 潜伏が終わったら、この生活も終わり?
ミュゲ
- こうしてはくれない……?
ミュゲ
- ミュゲさえ良ければ、時間作るよ
ヒエラ
- 屋敷仕えのみんなには内緒だよ?
バレたら絶対面倒臭いからね
ヒエラ
- も、もちろん。
そんな、恥ずかしいし……
ミュゲ
- 恥ずかしがり屋さんだな〜
ヒエラ
- (ここまで素直にさせるまで、手間かかったな。やっぱ籠絡作戦は骨が折れるや)
ヒエラ
- (定期的に構ってやらないといけないし、情が移ったら大変だし……はぁ〜)
ヒエラ
- (けど、この子に頑張ってもらわないと。さすがに毒魔法の全ての面倒は、俺には見きれない)
ヒエラ
- ヒエラ。私頑張る
ミュゲ
- お師匠さまの遺志を継がなきゃ
ミュゲ
- ありがとう。
よろしく頼むよ
ヒエラ
- (この子が屋敷に戻ったら作戦は本格始動だ。俺の目的にも近づくだろうな。わくわくしてきた…!)
ヒエラ