誰か……たすけて
彼女の悲痛な叫び
- 私には大切な人がいた
- だけど私の大切な人は
人間の手に寄って消された
- 私はそいつらのことを深く恨んだ
- 私の大切な人を返して……
- でも、そんなこと叶うはずがない
- なら、私がどうにかするしかない
- 私はそう思った
- お前も鬼になるか...?
- ある日私は知らない男性に
声をかけられた
- 私は咄嗟にはい。なりたいですと
答えた
- そうすると私は何故か笑っていた
- ……お父さん、お母さん、あなた…これで
あなたたちに会えるね。
- 私は、生きていた頃
大切な人に危険が迫っていると気付いて部屋のどこかに隠れてそいつらのことを見ていた
- それが間違いだったと今は
隠れて見ていただけだったことを
後悔してる
- 私がそいつらの背後にいった時には
もう、遅かった
- 私は怒り狂ってそいつらを殺そうとしたが私の力では敵うはずもなく私もそいつらの手に寄って殺されてしまった
- 私は大切な人たちを守るために
醜い人間たちを殺さなきゃいけないの
- じゃなきゃ私が鬼になった意味なんてないから
- そうして今日も此処に来る人間たちを待つ
- ・
- ・
- ・
- 来た
- 絶対に殺す……
- ...な ん で?
- 私が刺されて...
- 私は最初から3人の男に刺されてしまった
- それに人間
- また人間に...
- 私がやられてどうするの?
- はやく殺さなきゃ
- 殺さなきゃ……
- なんで。
- 身体が...動かない
- なんで...!
- なんでよ……
- 痛い……
- 誰か...
- たすけ……
- ・
- ・
- ・
- あれ...?
- 私、ねむって
- あ...
- 私、死んだんだ
- ……あはは
- あ、来た
- 殺さなきゃ
- 次は絶対に
- …え?
- うそでしょ
- いたい……
- またやられたの?私
- こんなにはやく
- ...どうして
- いたいよ……
- お父さん、お母さん
- あなた…
- ごめんなさい……
- ・
- ・
- ・
- ...殺さなきゃ
- 殺さなきゃ
- 来た
- 回って刺さなきゃ
- 今日は一人
- これなら大丈夫
- …背後から
- ……え?
- (押し倒される)
- 俺は刺さないから
- 傷いたいだろ?
- 治してあげるからじっとしてて
- …なんで?
- 私、鬼だよ?
- 今あなたのこと殺そうとして
- どうして逃げないの?
- 鬼だろうが人間だろうが
痛いのは同じだろ?
- ……
- でも、鬼は痛いって言っても
誰も助けてくれないでしょ
- それに私は……
- よしよし
- 人間だって悪い奴ばかりじゃないんだよ
- 君と同じように人を殺せない人だっている
- それは鬼も一緒だろ?
- ...そっか
- だから私……
- 君は優しすぎたのかもしれないな
- 辛かったな
- よくここまで耐えたな
- ……もう無理に殺そうとしなくていいんだぞ
- ……つらいよ
- いたいよ……
- もうやだよ
- ...よしよし
- なにがあったのか聞かせてくれないか?
- 俺は君のこと殺すつもりはないから
- …私の大切な人を人間に殺されたの
- 私が大切な人を守れなかったせいで
大切な人達が傷ついて痛い思いして
- 私のせいなの。
- 人間は私の大切な人たちのもことを
殺してもなにもしてくれなかったし
- 私のことも放置して
楽しそうに笑っていた
- 私はそれが許せないの
- 人間がどうにもしてくれないなら
私がどうにかするしかないと思って
- 此処に来た人間たちを殺して
私の大切な人にしたみたいにしてやろうと思ったの
- だけど、私にはできなかった
- でも、殺さなきゃ意味がないの
- だから、私が耐えるしかないの
- そっか……
- 君は自分が痛い思いをしてまでも
大切な人たちのことを守りたいと思ってるの?
- うん
- できることなら痛い思いはしたくないけど
- でもこれしか方法がないの
- 俺と一緒に他の方法を探そう
- でも他の方法なんてないよ...
- まだ分からないじゃないか
- 探してなかったとしても
俺が君のことを守るから俺と一緒に探そう?
- でも、それじゃ私の大切な人は守れない……
- 君の大切な人も俺が一緒になって守るから
- 君一人じゃ君が傷つき続けるだけだし
それじゃ大切な人は救われないよ?
- ...そうだよね
- 私一人じゃ大切な人は守れない
- 私は弱いから……
- だから俺と一緒についてきて
- …うん