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ひとり劇場

運命

男子友達の色んな運命的な話。読み手によってはバトエンかもしれないしハピエンかもしれない。久しぶりの投稿で不安ですがよろしくお願いします。【⚠ちょい長?誤字脱字が見られるかも】

長い夏休みが終わり、二学期を迎えようとしていた。俺の夏休みは部活三昧でこれからまた学期が始まるという地獄でしかない。
部活動をしている同士では分かり合えるようだが、帰宅部の友達はそうではない。
「いや〜!夏休み何してた?」
「何してたって…分かるだろ?」
「あーすまんすまん!」
友達は家族で他府県に行き宿泊をしたそうだ。これに関しては羨ましい限り、部活してなかったら俺も楽しい夏休みだったんだろうな。今更部活に入ったことを後悔した。
「冬休み、お前も一緒に行くか?」
「…え!?」
「夏休み部活三昧だったんだろ?冬休みは存分に楽しもうぜ!」
「お前…!!見直したよ…!」
帰宅部の友達とは幼稚園の頃からの幼馴染であり、家も近隣、親も知り合いで『運命』と言ってもおかしくない。
「冬休み楽しみにしてろよ!」
「期待させすぎも良くねぇぞ?w」
「平気平気!マジで期待していいから!」
行きも帰りもずっと隣に居て、喜びも悲しみも一緒に分かちあってきた。しょうもない喧嘩だっていっぱいした。それでも彼の隣に居て損だと思ったことは一度もない。
「言ったな?言ったぞ?!」
「うん、約束」
墓の台に炭酸グレープを置き俺は腰を下ろした後、花を添え、水もかけてあげた。同じような真夏日に仕事帰りのついでにやって来た。
夏の猛暑に墓で居救わる人が居なければ、そもそもこんな真昼間に顔を出す人が少ない。
「お前バカだよ…!」
彼の死は『重い病』だった。それを知ったのは亡くなってからで、初めて知った時は泣くことしかできなくてどうしようもなかった。
あの日、彼の母から電話があった。電話の内容は『……った。』と過去形で話が続き、俺たちは急いで病院に向かった。
病室では白い布を顔に被せられ眠る彼を見て、俺はその場で泣き崩れた。心拍数は一本線を表し動く気配はなかった。
「なんで…約束したじゃん…」
俺は眠る彼に近づき冷たくなった手をそっと握った。何をどう願っても彼が息を吹き返すことはない。
「これからじゃ、ねぇのかよ…!」
手やら声やら震え、本音を言えずに握っている手を離した。もうこれからは独りなんだと彼の死を実感し孤独を感じる。
あれから五年、俺は成人を迎え二十二歳となった。会社で営業マンとしてパソコンを前に働いている。
色んな試練を乗り越えてきてようやく手にした職はとても良いところだし、上司も先輩も同僚も皆いい人ばかりで充実した生活を送っている。
「お前も一緒に……なんて、一般の営業マンより、、いや俺たちはやっぱ…一緒に働きたかったな」
語ってるうちに自然と涙が零れ、喋れなくなってしまう。もし生きていたら、もし少しでも救えたなら、今もずっと側に居てくれたかな。
「…ごめんなァ……」


「お兄さん、どうして泣いてるの?」
子供が心配そうに声をかけてくれた。涙を拭き、顔を上げると……
「…っ!ちょっとな…」
止まらない…止まらない…せっかく涙を拭いて心配させないようにしたのに、これじゃあ余計心配させてしまう。
嗚呼…全く神さんはいつまで俺をいじめるのだろうか。泣き顔が好きならせめて嬉し泣きにしてくれよ。…今は嬉し泣きか。










…また彼に逢える日が来るなんて…

4  

投稿日時:2023-05-28 22:09
投稿者:うぃうぃ
閲覧数:55

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