4章「白に染まれぬ定めの果てに」1
- 4章「白に染まれぬ定めの果てに」1
- クリムゾン、スカーレット、揃ったね
シュエット(若)
- そりゃ来るさ。ピエリスの葬儀だからな
クリムゾン
- 人死にが珍しくないとはいえ、ピエリスがね……やっと実感がわいたわ
スカーレット
- 俺も信じたくなかったけれど……
シュエット(若)
- いや、今は未来のことを考えよう。
ピエリスならそう言うはずだ
シュエット(若)
- だな。あいつ、しみったれた空気が嫌いだから
クリムゾン
- ジェットの所属は分かった。そしてウェネーヌム卿の企みもわかりつつある
シュエット(若)
- ヴィローサ・ウェネーヌム……彼がストレリチアに大きな武力を向けてくる戦い
シュエット(若)
- その最中に、クリムゾンの危機がある
シュエット(若)
- ヒエラとかいうよくわかんねー奴も気になるんだよな。シュエットには何か見えないのか?
クリムゾン
- 残念ながら、誰の未来でも見えるわけじゃない
シュエット(若)
- そうでないことは、この葬儀が証明しているさ
シュエット(若)
- どうもヒエラがウェネーヌム卿をストレリチアとの戦いに導いているような気がするのよ
スカーレット
- アーテルの潜入を見破って、動きも読んでいた。要注意人物ね
スカーレット
- アイツ何がしたいのかよく分からないな
クリムゾン
- 彼についてよくよく調べる必要がありそうだ。他に気になることはある?
シュエット(若)
- カメリアがウェネーヌム卿と会ったことあるみたいだ。詳しく聞けたらいいが……
クリムゾン
- カメリアなら、さっき花を手向けに来てたわ。話を聞いてみましょう
スカーレット
- ---
- 良かった、まだいた
スカーレット
- カメリアー!
クリムゾン
- ん?
カメリア
- 君に聞きたいことがある
シュエット(若)
- ウェネーヌム卿と会ったことがあると聞いてね
シュエット(若)
- 君が知ってることを話してくれ。
どんな些細なことでもいい
シュエット(若)
- それは……
カメリア
- ?
シュエット(若)
- ……あたしが、まだストレリチアに入る前の話です
カメリア
- ウェネーヌム卿には婚約者がいました。けど、結婚前に、婚約者は姿を消したんです
カメリア
- 婚約者の名はセシル・カマンサ……
カメリア
- 姿を消したセシルがどうしたってんだ
クリムゾン
- セシルは……あたしなんだ
カメリア
- ?!
クリムゾン
- おや……
シュエット(若)
- 疑わしいなら素性を調べてもらって構いません。名前が分かってたら簡単に調べられる。セシルのこと、今からあたしが喋る内容と一致するはずです。
カメリア
- よく名乗り出てくれたね。
俺は君を信じるよ。嘘はついていないと
シュエット(若)
- ありがとうございます
カメリア
- ---
- ウェネーヌム卿とは女学校の参観で会ったのが最初だ。卒業して準備が整えば嫁に行く予定だった
カメリア
- けど、あいつはあたしを女としてしか見てなかった。あいつにとって結婚なんてのは、ただの手段で、妻は世継ぎを作るための道具なんだ
カメリア
- 本性を知ったら急に怖くなって……貴族なんてそんなもんかも知れないけど、あたしはあたしでありたかった。だから逃げてきたんだ
カメリア
- ウェネーヌム卿があたしに新兵器のことなんか喋ったことはない。将来の妻でも機密は喋れないんだろうね
カメリア
- そうか……他にどんな印象を受けた?
シュエット(若)
- 自分の選んだものに間違いはないと思ってます。女学生だったあたしを、当然自分のものにするつもりで、婚約までこぎ着けたんだから
カメリア
- 兵器のこともそうだけど、ヒエラとかいう右腕の男もそうやって選んだと思うよ
カメリア
- あたしが生きてることを知ったら、ウェネーヌム卿はどうするのやら……
カメリア
- ウェネーヌム卿の婚約者セシルは、死んだことになってる。もし生きていたら殺すそうよ。アーテルから聞いた。
スカーレット
- だろうな。間違いないと思って選んだ婚約者に失踪されて、ウェネーヌム卿は面目が丸潰れだからな
カメリア
- アーテル、よくそこまで調べたな
カメリア
- 雑談から拾ったみたい。
スカーレット
- プロのスパイってのは凄いね。アーテルの潜入を見破ったヒエラも凄いけど
カメリア
- おーい!カメリアサーン!
ターミガン
- ターミガン。お使いできたか?
カメリア
- うん!ピエリスサンの好きなお酒あったぞ!お供えしよう!
ターミガン
- ああ、これはピエリスがよく買ってたね
シュエット(若)
- つまみもあるの良いな
クリムゾン
- 酒と言ったらつまみだから!
お供え終わったら一緒に食べよう!
ターミガン
- この人数で分けるとちょっとしかないな
カメリア
- 若たちと一緒にいるの知ってたら、もっと買ってきたのにー!
ターミガン
- 気にしなくていいよ。カメリアに聞きたいことがあったから、立ち話をしていただけだからね
シュエット(若)
- 聞きたいこと?
ターミガン
- カメリアの過去と、ウェネーヌム卿の話
スカーレット
- あ〜〜
ターミガン
- ターミガンは知ってたのか?
クリムゾン
- まあな。
相棒だから話してくれたんだ
ターミガン
- 信頼されているんだね
シュエット(若)
- 本当に、良い相棒を持たせてくれました
カメリア
- ターミガンと引き合わせてくれたのは、ピエリスさんなんです。感謝してもしきれません
カメリア
- ふーん、なるほどな?
クリムゾン
- ついでだからお前らの馴れ初めも聞かせろって
クリムゾン
- 馴れ初めってほどのものでは……
カメリア
- 出会いの物語ね。興味ある
スカーレット
- ピエリスサンのいい話だから、聞かせてあげよう!な!
ターミガン