3章「誇れぬ烏は笑わない」3
前回 https://yufuan.net/theater/?id=17701
- 3章「誇れぬ烏は笑わない」3
- アーテルはウェネーヌム邸のメイドの仕事に暇を出し、貴族街から出ようとしていた
- (つけられていますね……)
アーテル
- (貴族街を出て、早くクリムゾン隊に合流しなければ)
アーテル
- ---
- ねークリムゾン様、婚約者っぽく出迎えればいいの?
ジェンシャン
- そうだよ。お前そういうの得意だろ
クリムゾン
- いつも通りで良ければですよ?
しかし婚約者設定とはねー
ジェンシャン
- アーテルが「故郷の恋人と結婚するから」って理由で退職してっからな
クリムゾン
- ちょうど馬車を引かせるのに馬も必要だしな。ヘデラがいて良かったぜ
クリムゾン
- まーねー
ジェンシャン
- お、アーテルちゃん見えた!
ジェンシャン
- よし、花束あるからこれ持って出迎えろ。自然にな
クリムゾン
- この国の人って豪勢な花束で婚約者迎えるんすね
ジェンシャン
- ……ジェンシャン、やっぱ俺が出る
クリムゾン
- え?
ジェンシャン
- お前は外国人だったな。ジェーリック人とは顔つきが違う。見慣れすぎて忘れてたぜ
クリムゾン
- ジェーリック人の血を引く俺が出る
クリムゾン
- クリムゾン様だってハーフじゃん〜
ジェンシャン
- 俺は生まれも育ちもジェーリックだよ!
クリムゾン
- 帽子貸せ。目立つから髪はなるべく隠したい
クリムゾン
- どうぞー
ジェンシャン
- んじゃ、行ってくらぁ
クリムゾン
- ---
- お久しぶりです
アーテル
- お、おう。久しぶり…
クリムゾン
- 行こうか。その…あっ、これ…
クリムゾン
- ふふ、花束…ありがとうございます
アーテル
- クリムゾンさん、遠くにですが追手がいますよ(小声)
アーテル
- さ、行きましょう
アーテル
- ああ、奥に乗れ
クリムゾン
- や!
ジェンシャン
- ジェンシャンさん、いたのですね
アーテル
- クリムゾン様エスコート下手くそすぎでしょ
ジェンシャン
- 良いんですよ。不器用ですが不自然でなくて助かりました
アーテル
- それはそうと、追手がいます。
速度を上げて撒けませんか?
アーテル
- おう
クリムゾン
- ヘデラ!速度上げれるか?
クリムゾン
- はい、道が良くないので心持ち程度ですが
ヘデラ
- 頼む!
クリムゾン
- お、ちょっと早くなった
ジェンシャン
- すごく揺れるね?!
ジェンシャン
- こ、この辺りは石畳が粗くて揺れが…
アーテル
- 石畳の石が突き出ていたところを踏んだのか、
ゴトン!と馬車が大きく揺れた
- きゃっ!
アーテル
- やべ、酔いそう…おえ…
ジェンシャン
- 我慢しろ!
クリムゾン
- ---
- ユナカイトさん!普通に尾行してたら撒かれるぞ!
ジェット
- 仕方ないわね……ジェット、全速力で追っかけなさい!馬車止めちゃっていいわ!怪しくなければ行かせちゃえばいいんだから!
ユナカイト
- 了解!!
ジェット
- 加速だー!!!
ジェット
- ---
- クリムゾン様ぁ!
すげー足速いのが追ってきた!
ジェンシャン
- は?速度は出てんだろうが……
クリムゾン
- って!ジェット!!
クリムゾン
- やべーって!
俺アイツに顔知られてんだよ!
クリムゾン
- えー?やだぁクリムゾン様有名人!
ジェンシャン
- って、俺もじゃない?
ジェンシャン
- ヘデラもだ!
クリムゾン
- 困りますね……
アーテル
- ジェットさんだけなら言いくるめてみます。用があるのは私だけでしょうし、もし追いつかれたら私が出ます
アーテル
- たのもー!たのもー!!
ジェット
- 危ないぞ。飛び出してくるな。
ヘデラ
- 馬車ん中のねーちゃんに用がある!
はなしをさせてくれ!
ジェット
- ………どうしましたか?
アーテル
- メイドさんだな!
ジェット
- どこに行くんだ?
ジェット
- 故郷に帰ります。ついて来たら大変ですよ。一晩中かかります
アーテル
- 明るくなってから行った方がいいと思うぞ!
ジェット
- 降りなさい、メイドさん
ユナカイト
- あなたは……
アーテル
- アクロアイトのユナカイト
ユナカイト
- 中にまだ人がいるでしょ?
降りてもらって
ユナカイト
- あの、フィアンセはもう寝てしまっていて。言伝なら承りますよ
アーテル
- そう。じゃ、馬車の中を見せなさい
ユナカイト
- いきなり困ります。そんな…
アーテル
- あんたのフィアンセが寝てるとこ見せれば済む話よ
ユナカイト
- あっ!
そっちの扉を開けると、荷物がいっぱいで雪崩れてきちゃいます!
アーテル
- いいわよ別に
ユナカイト
- ダメですよ〜!私達が困るんです!
アーテル
- 崩れたら積み直すの手伝ってやるから!さっさと見せなさい!
ユナカイト
- 気をつけてください!
壊れ物もありますから!
アーテル
- ユナカイトが扉を開けると同時に、
銃声が響き渡った
- (アーテルがゴネてくれたおかげで戦闘準備が整えられたぜ。さすがアーテル…)
クリムゾン
- !!
ユナカイト
- 迷いがない……あんたマトモな人間じゃないわね
ユナカイト
- テメェこそ発砲されて平然としすぎだ。どっかの戦闘員だな?
クリムゾン
- あらーかわいい
ジェンシャン
- 男が2人。あんた、やっぱりただのメイドじゃなかったのね
ユナカイト
- 殿方おふたりさん、この女を引き渡してくれるなら何もしないわ
ユナカイト
- こいつはうちの大事な構成員だよ。
やれねぇな
クリムゾン
- やっぱスパイだったか!
ユナカイトさん!俺も戦う!
ジェット
- 知られてしまっては仕方ありません
邪魔をするなら消えていただきます
アーテル
- お?戦う?
ジェンシャン
- 引けないのなら仕方ない
ヘデラ
- ま、そうよね。悪いけど手荒に行くわ。恨みっこなしよ!!
ユナカイト
- この間会った人とクリムゾン!覚悟ー!
ジェット
- うるせぇ!焼き尽くせ!
クリムゾン
- クリムゾンは炎魔法を放った
- 甘い!!
ユナカイト
- ユナカイトは炎魔法を水魔法で打ち消した
- はーん、得物は斧だけじゃねえってか
クリムゾン
- 強くて可愛いなんて凄いじゃん
ジェンシャン
- ジェンシャンさん?
アーテル
- なんでもないっす!
ジェンシャン
- あんた達、ストレリチアの構成員ね
ユナカイト
- こっちの私兵団が世話になったみたいだから、お礼しておくわ
ユナカイト
- 荒ぶる風、全てを鞭打て!
≪狂飆≫(キョウヒョウ)!
ユナカイト
- 爆風が吹き荒れ、鎌鼬のように
服や肌に傷を残す。
- 目も開けられないような砂埃の中、
ヘデラは咄嗟に馬を庇った。
- うわっ!
クリムゾン
- ちょ、馬車壊れた!
ジェンシャン
- ヘデラさん!大丈夫ですか?!
アーテル
- 何ともない…っ!
ヘデラ
- 足を封じたんなら、俺がこの中で1番速いっ!!
ジェット
- どけー!!!地裂断!!!
ジェット
- ジェットが地面を踏み込むと、
衝撃波が地面を伝って飛んできた
- きゃっ……!
アーテル
- えええええ?!
ジェンシャン
- この野郎!!
クリムゾン
- クリムゾンは地面に炎を走らせ、
ジェットの行手を阻んだ
- おっと!
ジェット
- 俺の技見た?!
ジェット
- あの時は本気で戦ってなかったってか。そりゃそうか
ジェンシャン
- 破壊神と呼ばれるだけあるでしょ?
ユナカイト
- 馬車壊したのはお前だけどな
クリムゾン
- あたしだって戦闘員よ。
そこらの男より強いわ
ユナカイト
- ちぇっ、面倒なのに絡まれちまったな
クリムゾン
- クリムゾンはヘデラに耳打ちする
- ヘデラ、先に馬でアーテル連れて帰れ
クリムゾン
- は、しかし……クリムゾン様たちは?
ヘデラ
- 俺とジェンシャンは後から追いつく
これは命令だ
クリムゾン
- 準備できたらすぐ行け。俺とジェンシャンで、あいつらの注意を逸らす
クリムゾン
- ……分かりました
ご武運を
ヘデラ
- ジェンシャン!俺を援護しろ!
クリムゾン
- はいー!
ジェンシャン
- あなた、得意なのは火の魔法?
ユナカイト
- 何回放火してもいいけど、あたしの水と風で消したげるわ
ユナカイト
- へぇ、そりゃ良かった。
なら燃やし放題だ!
クリムゾン
- あんた最悪ね
ユナカイト
- ユナカイトちゃん!俺も見て!!
ジェンシャン
- 切り込んできたジェンシャンを、
ジェットが弾き飛ばした
- 触らせねぇよ!
ジェット
- おっと、下心がバレたか
ジェンシャン
- お前綺麗なの顔だけかよ!
ジェット
- こっちも最悪ね
ユナカイト
- なんか腹立つ!
ジェット
- 顔が良ければ大体の困りごとは解決するよ?
ジェンシャン
- 本当に顔は綺麗なのが腹立つわね……。
けど、そんな短刀一本であたしに向かってくる勇気は大したもんよ!
ユナカイト
- おっと!
ジェンシャン
- いいねぇ強気な顔。
泣かせたくなっちゃうなー
ジェンシャン
- あんたホント嫌……殺そうかな
ユナカイト
- 俺にも殴らせてください
ジェット
- (ジェンシャンの挑発、ろくでもないけど役に立ってんな……)
クリムゾン
- --- 一方、ヘデラ
投稿者様へ:この作品は会話データが一部欠落している可能性がございます。
おそらく会話文が途切れた付近で使用されている特殊文字や記号が原因と考えられますので、お手数ですが該当箇所をご調整いただき、あらためてアップロードをお試しいただけますと幸いです。