『変わらない形』
- 『変わらない形』
- 『ねぇ〜まだ授業中?』
朝日 空
- 『授業真っ最中』
犬瀬 海
- 『なら問題無いね!ちょっと話聞いてよ』
朝日 空
- 『問題しか無いんだけど?』
犬瀬 海
- 『ソラもこの時間はまだ仕事中だろ?』
犬瀬 海
- 『デスクワークを舐めないでくれるかしらカイ君?|・`ω・)』
朝日 空
- 『だとしても、スマホいじってるなよ』
犬瀬 海
- ……はぁ
犬瀬 海
- 数時間後
- はぁー今日も疲れた…
朝日 空
- …早く家に帰ってお風呂入ろ
朝日 空
- 『お疲れ』
犬瀬 海
- ん?カイ君?今日はいつもより残業が長かったのに
朝日 空
- 『カイ君も学校お疲れ!私も丁度今、終わった所だよ!』
朝日 空
- 『知ってる』
犬瀬 海
- 『え?』
朝日 空
- 『目の前、道路の向かい側』
犬瀬 海
- え?
朝日 空
- 道路を挟み、向かい側の歩道に彼は居た
- え?どうしてカイ君が居るの?!
朝日 空
- 学校が早く終わったから来ただけ
犬瀬 海
- 普通、彼女の職場の前で待たないでしょ?
朝日 空
- 仕事中に彼氏にメッセージ送る奴が言う言葉かよ
犬瀬 海
- はは〜ん?さては私に会いたくて仕方無かったなぁ?
朝日 空
- うっさい、ほら
犬瀬 海
- わっ!ココア?
朝日 空
- 夏になり始めてるって言ってもまだ夜は冷えるから
犬瀬 海
- ふふっ、ありがとう!
朝日 空
- 車で来てるから家まで送ってくよ
犬瀬 海
- わ〜い!
朝日 空
- コンビニとかも寄れてなかったから、ご飯とか買ってないけどゴメンな
犬瀬 海
- 私ってそんなに彼氏になんでもかんでもお願いする傲慢な彼女って思われてる?
朝日 空
- 犬っぽい彼女とは思ってる
犬瀬 海
- ちょっ!何よそれぇ!
朝日 空
- ほら、車出すからシートベルト付けな
犬瀬 海
- はいはい♬
朝日 空
- ねぇ、カイ君まだ時間ある?
朝日 空
- ん?別にコレと言った予定は無いけど?
犬瀬 海
- じゃあドライブしよ!ドライブ!
朝日 空
- 疲れてないか?
犬瀬 海
- 大丈夫!ねぇ行こ?
朝日 空
- 別に良いけど無理すんなよ?
何処か行きたい所はあるか?
犬瀬 海
- 犬瀬 海 運転手のお任せでお願いします!
朝日 空
- 運賃は一般のお客様の倍の料金をご請求させて頂きますね
犬瀬 海
- 私は唯一の会員メンバーだよ!?
朝日 空
- 車は海沿いを走る
- へぇ、こんな道があったんだ、横に海もあって。良くこんな道知ってたね
朝日 空
- 免許取り立ての時にたまたま見つけてね、ソラを早く隣に乗せれるくらいの腕にするようにここで練習してた
犬瀬 海
- ふふっ、ありがとう
朝日 空
- 着いたよ
犬瀬 海
- わぁ綺麗…!
朝日 空
- 視界も開けてるし、月の光が海面に逆光するのが1番綺麗に見れるんだよ、ここ
犬瀬 海
- こんな所があったんだ
朝日 空
- あっ!なんか今日のお月さん大きくない?
朝日 空
- ん?あぁ確か今日はスーパームーンだってクラスの奴らが言ってたな
犬瀬 海
- なんか変だよな、月って丸っこい形だって分かってるのに見え方に寄って満月とか三日月とかスーパームーンとか色々と名前が付いて
犬瀬 海
- カイくんみたいだ
朝日 空
- え?どうゆう事?
犬瀬 海
- 満月とか三日月みたいに色々な表情を見せるけど、本当の形はずっと変わらない
朝日 空
- 不器用に見えて優しい所とか、
朝日 空
- 男前に見えて本当はすっごく甘えたがりな所とか、
朝日 空
- それ、遠目に子供っぽいって言ってないか?
犬瀬 海
- あれ?自覚無かった?
朝日 空
- 色んなカイくんが居るけど、私の好きなカイくんの形はずっと変わらない
朝日 空
- 私にとってのお月様はカイくんだよ?
朝日 空
- 名前的には月というより海だけどな
犬瀬 海
- もぉ!またそうやって誤魔化した!
朝日 空
- でも、
犬瀬 海
- ん?
朝日 空
- ありがとう
犬瀬 海
- 嬉しいよ、愛してやまない人にとっての月になれて
犬瀬 海
- 俺がソラにとっての月で居続けるから、ソラは俺にとっての海で居続けてくれ
犬瀬 海
- どこまでも広く、心を癒してくれる優しい海で
犬瀬 海
- ふふっ♬︎
朝日 空
- 名前的には海というより空だけどね♬︎
朝日 空
- ふふっ、確かにな
犬瀬 海
- ほら、そろそろ帰るぞ
犬瀬 海
- うん!
朝日 空
- ねぇ、カイくん?
朝日 空
- なんだ?
犬瀬 海
- また、ここに連れて来てくれない?
朝日 空
- 会員メンバーの特典だ、何時でも連れて来てあげるよ
犬瀬 海
- ありがとう♬︎
朝日 空
- (了)