りどるくんとお話(3
寮長の感情大渋滞
- 寮ちょぉ〜〜
エース
- …なんだいエース
リドル
- 嫌な予感がするよ
リドル
- いつも来てるのって
寮長の“彼女”っすか?
エース
- …………………は?
リドル
- 広々とした談話室に、沈黙が流れる。
- 僕の頭の中では、エースの“彼女”という言葉が何度も流れていた。
- は?…彼女いんの?
トレイ
- …マジ?
ケイト
- 固まる僕の顔を覗き込んだケイトによって、現実に引き戻された。
- やばい、バレてる。
冷や汗が、ツー…と背中を伝った。
- …ご、ごめんなさい…
リドル
- へ?
エース
- …まさか、バレてるとは思わなかった
リドル
- …え、マジで付き合っちゃってんの?
ケイト
- それは断じてない
リドル
- あ、あぁそうか
トレイ
- っだぁ!!びっくりした!!
付き合ってないんかい!!
エース
- 期待して損した〜、と不貞腐れたエースと一緒に、トレイも苦笑した。
- 僕の周りで笑う3人に、違和感を感じる。
- …あれ。怒られて、ない?
- …怒って、ないの?
リドル
- 頑張って捻り出した声は、また沈黙を誘った。
- …ん?なんで怒るの?
ケイト
- ケイトによって破られた沈黙。
- だ、だって僕は、寮長でありながら他の学校の生徒を寮内に入れているんだよ?
リドル
- えぇ…そこ?自分にも厳しいのな、寮長って
エース
- 別によくね?
エース
- …ルールは、守らないと
リドル
- …今の時点で破ってるから守れてないけど
- 思わず俯いた僕に、寮長!と、エースが思いついたように手を挙げた。
- …なんだい
リドル
- 俺も話したいですぅ〜♡
エース
- …は?
リドル
- え、それな?
ケイト
- 寮長の彼女とかめっちゃ気になりますって
エース
- いや、え?
リドル
- ていうか、彼女じゃないって言って…
リドル
- 俺も会いたいな?リドル
トレイ
- と、トレイまで…
リドル
- え、ちなみに〜、同い年なんすか?
エース
- そ、そうだけど
リドル
- 僕の返事に、ひゅぅ〜!だなんてテンションが上がっているエース。
- …あれ。なんか盛り上がってないか、?
- ついていけない僕に追い討ちをかけるように、ケイトがズイッと迫って、
- ねね、連絡先交換したの??
ケイト
- うわっ、それ聞きたい
エース
- …いや、リドルはそこまで、
トレイ
- …いや、したんだよね
リドル
- …今回三度目の沈黙。
- 結構辛い、この時間。
- …ま、まま、まままま、マジ?ま、
エース
- バグってるぞ、エース
トレイ
- ま〜じかあ!
やるねぇリドルくんっ!
ケイト
- ししししし、しん、信じられない…
エース
- …まぁ、これくらい、…
リドル
- あの子が僕と話したいみたいだから
リドル
- 毎回サボりに来ては、僕に笑顔で話しかけ、
- そろそろと席を外そうとすれば、不貞腐れてもっと話したいと言う彼女。
- どこの物好きなんだ、ほんとに。
- …あ〜、それ…って
エース
- その人、寮長のこと好きなんすか?
エース
- なっ…!?ば、ばか。そんなわけ、
リドル
- あれ、リドル。顔が赤いぞ?
トレイ
- か、揶揄うな…!!
リドル
- …いやぁ、青春だねぇ〜
ケイト
- いつのまにか、一時間が経っていた。
- 落ち込んだり嬉しくなったり、どこまであの子に振り回されてるんだ、僕は。
- 君と話している事がバレているのを知った今日は、君と僕が出会って三週間目の金曜日。