廃墟からのLINE9
※残酷描写注意。長いからローディング待ってね。もはや減らすのは諦めるしかない。無駄に立ち絵が増えていく。評価ありがとう!
- 前回までのあらすじ
アキ
- どんどこ廃墟に人が来て、化け物仲間増やしてるっぽい
廃墟自体もにょきにょき増えてる?
宏考
- あっ声聞こえた!人間ーー!
宏考
- はぐれた。あのアホ急に飛び出すから
桐島
- やっば、なんでこんなとこにあいつが。
逃げよ。先輩との合流は後だ
桐島
桐島
- まず情報交換かな
アキ
- 佐崎さん
アキ
- あーい?
佐崎
- ポンポンペイン団て何?
アキ
- あ?なんて?
尾崎
- 一番どうでもいい質問から入ったな
直泰
- ああこれ。Twitterで繋がったやつとLINEのグループ作っててさあ。
それのグループ名。
佐崎
- お腹痛くなったら辛いじゃん?
このグループに腹痛報告するじゃん?
佐崎
- みんなが雑に慰めてくれる訳よ
よくね?
佐崎
- 思ったのと全然違った
直泰
- いいねそれ…
アキ
- いいんだ…
直泰
- まあこの@から先付け足したの、最近だけど
あ、そーだ。まずそれね。
佐崎
- LINEのアカウント名で本名使うの、やめた方がいーよ?
佐崎
- 本名のアカウントに廃墟からのLINEが来ると、そこの小池みたいになるっぽい
佐崎
- 怖。ヤバイじゃん
アキ
- それでか
尾崎
- あ、心当たりある感じ?
佐崎
- あいつのアカ名、別のクラスの奴と被っててウザかったから
変えろっつったんだよ
尾崎
- お前のせいじゃん
佐崎
- は?知らなかったんだから仕方ねーだろ
尾崎
- …なるほど。その理屈でいくと、ヒロはあだ名で登録してたから無事なのか
ほとんど名前と変わらないんだが、少しでも違えば問題ないのか?
直泰
- まあ、本当に怪奇現象かはまだ分からんが
直泰
- あ?お前まだ疑ってんの?
小池のコレ見ても?
尾崎
- 単に罪悪感から精神を病んでそうなった可能性の方が高いだろ?
客観的に見れば、お前たちの言っていることの方が現実味が無い
直泰
- じゃあお前は抜けりゃいいだろ
尾崎
- まあまあ
アキ
- 一応私たちもアカ名変えとこ?
アキ
- まあそうだな一応
直泰
- はっ。結局ビビってんじゃねーか
尾崎
- ていうか私は大丈夫なのかな
桐島くんとLINEしてるけど
アキ
- 今のところは変化が無いように見えるが…
そもそも廃墟にいる人間からLINEが来たから「呼ばれる」訳ではないのかもな
直泰
- なんか怖いから全然違う名前にしておこうかな
アキ
- あ、カナさんが本名で登録してたから、それで仕組みが分かったんですかね?
アキ
- あー。違う違う。それオッサンが教えてくれたの
佐崎
- オッサン?
アキ
- なんかやたら詳しい不審なオッサン
アタシたちみたいに行方不明者と関係がある人に、手当たり次第忠告してるみたい。
佐崎
- うわめっちゃ手掛かり
アキ
- アタシは一昨日くらいから廃墟LINEが来るようになって、その時丁度どっからか現れてさ
他にも、LINEに返信したらヤバいとか、本人にしか画面見えないとか、色々教えてくれたんだよね。
佐崎
- でも廃墟への行き方は教えてくれなかった
なんか危険だとかで?絶対行くなってさ
アタシも、直で行っちゃうのはヤバい気がする
佐崎
- 桐島くんと同じこと言ってますね
アキ
- 桐島ねー
佐崎
- …廃墟からのLINEって言ったけど、実は呼ばれてんのはカナからなんだよね
佐崎
- いやカナなんだけど!アカウントは確かにカナなんだけど!絶対カナじゃないんだって、あんなの。
佐崎
- …その桐島も、本物じゃないかもよ?
佐崎
- だから成り済ましだっつってんだろ
尾崎
- んー。尾崎さんに来てるLINEは、桐島くんからなの?
アキ
- …いや違う
尾崎
- お友達なら友達登録はしてるでしょ?ってことは少なくとも今まで、桐島くんか、その偽物かは、尾崎さん達には意図的にLINEを送ってなかったってことだよね?
アキ
- 巻き込みたくなかったんじゃない?
アキ
- あいつはそんなイイやつじゃねーよ
尾崎
- 俺らに恨みもあるだろうしな
尾崎
- 殺したから?
アキ
- ちょ
直泰
- …まあそれでなくても、色々あんだよ
幼なじみくんが大事なら信用しない方がいいんじゃねえの?
尾崎
- うーん。それはとりあえず保留かな
とりあえずそのオッサンとコンタクトとりたいな
アキ
- LINEは知ってるから呼び出そうか?
佐崎
- それが手っ取り早いですね。お願いします。
それで、今後の方針について提案なんだけど
アキ
- 廃墟のある場所にあった村か何かについて調べたいの
アキ
- ああ。人魚沼伝説な
尾崎
- あれ、知ってる感じ?
アキ
- まー、それが目的で肝試しに行ったって感じだからな
尾崎
- ばーちゃんに昔聞いた程度だから詳しくは知らねー
そのオッサンに聞くのが手っ取り早いだろ
ぜってー何か知ってんだから
尾崎
- あ、来れるって。待ってる?
佐崎
- それなら二手に別れてその伝説とやらを調べた方がいいだろう
図書館にでも行くか
直泰
- 信じてねーんだろ?
尾崎
- 僅かでも可能性があるなら捨てられん
協力はする
直泰
- あっそ
尾崎
- じゃあ二人に行ってもらおう。
で、その前に
アキ
- えっ尾崎と二人…?
この流れで…?
直泰
- 小池くんのアカウント、どうにかしないとなー
アキ
- チッこいつスマホロックしてやがる
尾崎
- そりゃそーでしょ
佐崎
- 指紋認証は?
アキ
- Androidだし機種古いからついてねーんだよ
尾崎
- おい小池。ロック解除しろ
尾崎
- あば
小池
- ダメだこいつ
尾崎
- ヘイSiri!!!
LINEのアカウント名変更!!!
アキ
- Siriに無茶言うな
直泰
- あ、ロックは解除できるかも
ヘイSiri!ヘイ!スィイルゥイ??
アキ
- だからAndroidだっつってんだろ
尾崎
- 発音の問題じゃない
直泰
- アタシのSiriが起動した
佐崎
- Ok!Google!
尾崎
- Ok!Google!
尾崎
- オゥ!ケイ!グーゴゥ!!!
尾崎
- (お前もやるのか)
直泰
- 登録してないんじゃない?
佐崎
- …駄目だ。もういい
ほっとけ。どうせこうなりゃ助からない
尾崎
- 冷たいな。友達なんだろう?
直泰
- うるっせぇな知りもしねぇくせに
この有り様になったのはコイツだけじゃねーんだよ。
尾崎
- もう何人も廃墟へ行ってんだ
俺達みてーのが急に居なくなったところで、騒ぎになりにくいってだけでな
尾崎
- とりあえず電源オフっとけば?
アキ
- 電源入ってなくても勝手にLINE起動するんだよね
佐崎
- ひえ
アキ
- まあ小池はここ置いてっていーよ。オッサンがワンチャンなんとかできるかもだし
佐崎
- よーし、いってらっしゃいお二人!
アキ
- …チッ
尾崎
- あ、おい、待て
俺の自転車向こうだから
待ってて
直泰
- 頑張ってね~~
佐崎
- …ごめんね。こんなとこに呼んじゃって
佐崎
- 全然大丈夫ですよ
結果的にまとめて問題が片付きましたし
アキ
- …同じ場所にあんたも呼んでよかった。
一人じゃどうにもなんなかったから
佐崎
- ありがとね。
えーと名前なんだっけ。アカ名が…
佐崎
- …ちくわ大明神て何?まさかあだ名?
佐崎
- 何やらかしたらそんなあだ名になるんだろう…
なんかご利益ありそうなのでつい…
アキ
- ていうかこれ、アカウント消すのは駄目なんですか?
それかLINE退会するとか、アプリアンインストールするとか
私はヒロと連絡しないといけないんで、やりませんけど…
アキ
- それが一番ヤバいの。
既読スルーが安全なんだって。なんか知らないけど。
佐崎
- なんでだろ?
アキ
- あ、岡本アキです。こちらこそ、色々教えてくれてありがとうございます!
アキ
- べつにタメでいーよ。
ほらウチらもう仲間的なやつじゃん?
佐崎
- そっかぁりょーかい
アキ
- そうそう
って切り替え早いねー。まあそーゆーの嫌いじゃないよ
佐崎
- それにしても。まさか尾崎がここまで協力してくれると思わなかったわ
なんかグレてるって聞いてたし
佐崎
- そうだね。思ったよりは素直というか協力的というか
よっぽど参ってたのかな。もし二ヶ月前からLINE来てたなら、相当長い間呼ばれてたんだろうし
アキ
- そんだけ放置しても来るんなら、やっぱほっといてもどーにもなんないんだろーね
佐崎
- そうだね。
困ってたから解決法が見つかりそうな私たちに協力する気になったのか
アキ
- (もしくは)
アキ
- (何か後ろめたいことがあるのか)
アキ
アキ
- 出来るだけ、巻き込みたくない
ひどい目に合う人を増やしたくない
宏考
- みんなのためにも
俺のためにも
たぶん、あいつのためにも
宏考
- たとえ
宏考
- たとえ、もう手遅れだったとしても
宏考
- なんかすっげぇ床が動ぉおぁあ!?
宏考
- しゃがみガード!しゃがみガードだオラ
宏考
- 通路全体がゴリゴリと派手な音を立てて動き出す
宏考
- へや部屋は左右上下へと移動し、時折移動に巻き込まれて家具やらがひしゃげて磨り潰され、瓦礫となっていく
宏考
- おおーわりと雑だなっとっと
宏考
- あれ?
これ下手したら俺も潰されない?
宏考
- 背後の天井がどしん、と降りる音がする
宏考
- オオアーーー!?ヤメテーーー?!
宏考
- 通路の端に寄りガクガクと震えていると、直ぐに揺れは収まった
宏考
- ダイジョブ…?動いてダイジョブ…?
宏考
- …あれ桐島が居ない?!
やっべえはぐれた。
宏考
- …いやまて。桐島は多分、一人でも大丈夫だ。
ヤバいのは寧ろ俺だな。はははこまった。ぴえん…
宏考
- ああどうしよ…
でも人の声が…
宏考
- …いや、行こう。桐島の話が本当なら、早く保護しないと。
宏考
- でも今ので完全に方向分かんなくなっちゃったな
戻る方向ではあるはずなんだけど…?
宏考
- パシャパシャ
宏考
- 遠くで水の音が…?
宏考
- ァー ァー
宏考
- !
向こうだ!
宏考
- 音の聞こえる方へ走って行くと、通る床はだんだんと水浸しになっていく
宏考
- 2つ角を曲がるころには、床の水は足首が浸かるほどの高さになっていた
宏考
- 水の抵抗に足をとられ、進む速度が少しずつ落ちる
宏考
- なん、だこれ。
さっきまではこんなんじゃなかった…
宏考
- アー
宏考
- 右、だ!!!
宏考
- お待たせ!!新住人さん!!
俺は怪しいひとじゃない…
宏考
- 腰ほどの高さだった
宏考
- 廃墟に溢れる化け物とは違い小柄であったが、今まで見てきた「アレ」がまだ人間に見えるほどに、それは異形であった
宏考
- ぬめぬめとした皮膚はどぶのような色に照り輝き、粘着力のある液体が鱗に覆われた体を滴り落ちる
宏考
- 遠目に見ればひとのこどものようだが、その体の上にはアンバランスなほど巨大な、魚の頭が乗っかっていた
宏考
- 水掻きのついた五本の指をこちらへと伸ばし、言葉ともつかない鳴き声を発する度に、エラがぱくぱくと開く
宏考
- この頭で正面は見えているのだろうか。
しかし両側の目玉はしっかりとこちらを見ている
宏考
- 目が、合っている、視線をしっかりと感じる
宏考
- この場所にいる、何十人…何十匹?の視線が自分へと集中しているのが分かる
宏考
- 最悪だ
宏考
- あっ人違いでしたね…
宏考
- お、お邪魔しました…
宏考
- そろり、そろりと後ずさる
宏考
- あ、あ、
- え、あれは…
人間か?あの魚に覆われてダンゴみてぇになってるの…
宏考
- …
宏考
- 錆びだらけの手斧を握りしめる
宏考
- 怖くない怖くない。こわくない。
落ち着け
これはゲームだゲーム
宏考
- この数相手に一人でどうにかしようとするのは無理だ。
かといって見捨てる選択肢は無い。
宏考
- 連れていかれてから化け物になるなら、この人がボスにたどり着くまではセーフなはずだ。まだ猶予はある
宏考
- どっちにしろ多分これ逃げても追いかけてくるだろ
だったらやることはいっしょだ
宏考
- ガイン、と壁に手斧を叩きつけて注目を集める
宏考
- ハローエブリワン!!!
宏考
- すぐさま来た道を走り出すと、後ろからバシャバシャと付いてくる音がしてきた
宏考
- こっちの方に確か
宏考
- 丁度人一人ほどが通れるほどの通路へと誘い込む
宏考
- 囲まれたら!逃げて!各個撃破ぁぁ!!!
宏考
- かかってこいや半魚人!!!
おいしく捌いてやらぁ!!!
宏考
- 振りかぶった斧は魚の頭へと命中した
宏考
- 錆びが酷い為か、ぐちゃりと潰れたように切り広げられ、中のモノを床にぶちまけながら水浸しの床に倒れる
宏考
- 赤黒い血が広がり、水で薄まっていく
生臭い。
宏考
- ヒロはそれを出来るだけ視界に入れないように、飛び掛かってくるお魚たちへと再び手斧を向ける
宏考
- 仕方ない。仕方ない。仕方ない。
これはゲームで、あれは敵なのだから
宏考
- 廃墟からのLINE9 こどもたち
宏考