ひとり劇場

ストレリチア1-3

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1章「死神と死を告げる者」3
シュエットの部屋にて
クリムゾン
おい。来てやったぞ
シュエット(若)
よく来たね
クリムゾン
うっせぇ。お前が来いって言ったんだろうが
シュエット(若)
うんざりした顔をしないでくれよ。真面目な話をするのだから
クリムゾン
真面目な話を何でお前の部屋で聞かなきゃならねえのか…
シュエット(若)
まぁ良いだろう?
それより肩の力を抜いて話そう
シュエット(若)
夕方、商業部と情報部から報告が来てね。
ディアスシアの手柄の持っていた魔弾銃の流通ルートが分かった。
シュエット(若)
生産しているのはバグダンジュ社。軍部の銃の生産も請け負っている組織だ
クリムゾン
それですぐに分かったのか。
あそこのとこの銃、軍隊下がりのに掃いて捨てるほどあるからな
シュエット(若)
中身の部品なんかからすぐに分かったのだろうね。さすがはストレリチアの商業部と情報部の解析力だ
シュエット(若)
そして今朝の不審人物の身元だけど、これは貴族に従う暗殺者だろう。どこの貴族に通ずる者かは証拠を消していると言っていた。
クリムゾン
仮に自分が死んでも誰が差し向けたか分からないように、ってか
シュエット(若)
そういうことだ。意識の高さからして素人でないのは明白だね。
クリムゾン
そこまで準備してるならよ、最初からストレリチアの人間を狙わせるつもりだったんじゃねぇのか?
シュエット(若)
狙いは何れにしても、構成員を殺めた報復はしなければならない
シュエット(若)
それでね、ここから大事なんだ。よく聞いてほしい。
近くストレリチアからバグダンジュ社へ襲撃をかける。
シュエット(若)
ここで動いた貴族が関係している可能性が高い。軍隊の発注先である以上軍が来るのは当然にしても、奴を差し向けた大本が防衛戦出撃を拒否するとは考えにくい
シュエット(若)
大きな戦いになるだろうね。
俺たちの力を存分に見せつけよう
クリムゾン
ああ、派手さなら任せろ
シュエット(若)
ついでに資料の一部も持ち去る予定だけど、これは情報部の仕事だ
シュエット(若)
戦闘部には表向きの暴動と上役の始末を頼むよ。下っ端の命を狙う必要はない。
クリムゾン
同時進行か。まあ、別々にやるのも難しい。日を改めれば警備が堅くなってどっちかが遂行困難になるってもんだ。やるなら同時だよな。
シュエット(若)
派手にやれという総統の方針は他でもない、ストレリチアの力を他に示す意味もある。実際に、ここの所ストレリチア地区にはネズミも多い
シュエット(若)
俺だって次期総統として、他の組織になめられては困る。指導力、統率力、実行力を公開する良い機会だ。ベストを尽くそう。
シュエット(若)
俺とクリムゾンの連携も重要になってくる。息を合わせて確実に行こう。俺たちの父親同士がそうだったように、ね
クリムゾン
親父は親父、俺らは俺らだろ。やることはやっから放っとけ
シュエット(若)
つれないね、クリムゾン。君の父、ムスタは総統のケルベロスとも言われているのに
クリムゾン
総統を狙う奴は俺が消してやるってな。俺も同じだ。
シュエット(若)
それは…俺が総統になっても、変わらない?
クリムゾン
お前がいなきゃ組織が瓦解するようなら、変えねえよ…
シュエット(若)
ふふ、良い心がけだ。君も早く俺の優秀な犬になって欲しいな、クリムゾン
クリムゾン
は?犬だって?
シュエット(若)
おや、次期総統の番犬なんて誰でもなれるわけじゃないよ
クリムゾン
犬呼ばわりが気に入らねー
シュエット(若)
君はよく吠えるから。犬に喩えるのが似合いだよ。白くて毛並みの豊かな子犬に似ていると、ずっと思ってたのだけど
クリムゾン
だーかーらー、その喩え…
シュエット(若)
それはそうと。せっかく2人きりなんだから、コードネームで呼ばなくてもいいんだよ?
クリムゾン
やだよ
シュエット(若)
昔みたいに呼んでごらんよ
クリムゾン
うっせ
シュエット(若)
ね、アル?
クリムゾン
うわっ…寒気がする!やめろ!
シュエット(若)
そうかい?昔は本当の名で呼んでいたんだから、あの頃の気持ちを思い出してほしいな
クリムゾン
昔話なんかしてどうすんだ。
大体、ストレリチア入ったら本名なんか飾りなんだからよ…
シュエット(若)
アルは恥ずかしがりだなぁ
クリムゾン
いや触んな
シュエット(若)
犬は頭を撫でられるのが好きだろう?
クリムゾン
犬じゃねえ!てめえ実際の犬には嫌われるくせに調子乗ってんじゃねえぞ!
シュエット(若)
嫌われているのではなく、怖がられるんだよ
クリムゾン
どちみち懐かれてねぇじゃんよ
シュエット(若)
犬は主人にだけ忠実で懐いていれば結構だ。誰にでも尻尾を振ってしまっては、番犬は務まらない。
シュエット(若)
アルも俺には懐いていることだし
クリムゾン
俺がお前に懐いてるって自信はどこから来てるんだよ?!
シュエット(若)
うん?アルは俺のことが好きだろう?
クリムゾン
嫌いだ!
シュエット(若)
そうか。俺は好きだよ
クリムゾン
そうかよ
シュエット(若)
君も俺が好きなはずだよ
クリムゾン
どっから出てきた理論だよ…
シュエット(若)
嫌い?
クリムゾン
……嫌いだっつってんだろ
シュエット(若)
それが動かぬ証拠だよ。
シュエット(若)
俺にとってクリムゾンは特別なんだ。子供の頃からずっと一緒だったからね
クリムゾン