Loading...

ひとり劇場

覗き魔第1話「15年前の悲劇」

奴は人間ではない...15年前の秘密

パパ
ベットルームにいるかい?クロエ。
クロエ
そうよ、パパ。どうしたの?
パパ
家のドアの鍵は全部閉まっているかい?
クロエ
知らないよ...
クロエ
下の階にいないの?
パパ
いないよ
パパ
パパの話をよく聞くんだ...
パパ
窓の外を見てごらん
パパ
下に男がいるだろ?
クロエ
怖がらせないでよ!なにが起こってるの?
パパ
いいから見るんだ!!
クロエ
え?パパあれなに?
パパ
男から目を離さないでクロエ!
クロエ
男ってなに⁈
パパ
もしあいつが君にメールを送ってきても返信しちゃダメだ。約束するんだ...
クロエ
なに⁈なんでメールを送ってくるの?
パパ
約束して!
クロエ
わかった。でも...もしパパがここにいないなら...
クロエ
どうして外にいるってわかるんだい?
クロエ
パパ⁈⁈
パパ
それは重要じゃないんだ...
パパ
大切なのは...
パパ
「君が男から目を離さないことなんだ。」
パパ
君が彼のことを見ていれば...
パパ
彼は動けないんだ...
クロエ
そんなバカみたいな話聞いたことない!
パパ
でも...本当のことなんだ...
クロエ
何なのよこれ...
クロエ
セーフルームに行く。
パパ
だめだ!
クロエ
なんで⁈
パパ
安全じゃないからさ。
クロエ
だったらセーフルームだなんて呼ばないでよ!
クロエ
何が辛いかわかる...
クロエ
パパにメールを送りながら奴を見張ることだよ!!
パパ
それならメールを送り返すことを止めればいいじゃないか!
パパ
ただ彼を見張っていればいいよ。
パパ
今家に向かってるところだから。
クロエ
何なのよこれ!
パパ
そうだよな。ごめんな。
パパ
ただパパのことを信じてくれ。
クロエ
信じるよ。でも...
パパ
わかるよ...怖いのはわかるよ...クロエ。
クロエ
違うの...
クロエ
私一瞬目を離したの...
クロエ
そしたらいなくなっちゃったの。
パパ
本当かい?
クロエ
本当よ...
クロエ
下から私のことを見上げていた...
クロエ
気持ち悪い、恐ろしいモンスターが...
クロエ
もういないわ⁈
クロエ
本当によかったわ、パパ!
パパ
なんてことだ...クロエ...
パパ
いなくなったんじゃないんだよ。
パパ
家の中にいるんだよ。
クロエ
そんなはずないわ。
クロエ
私が目を離したのは、ほんの少しよ。
クロエ
庭を横切るところが見えたはずよ。
パパ
君は奴をしらないんだ...
クロエ
パパは知ってるの???
クロエ
パパ答えてよ!今、答えて!
パパ
君が安全になったらね...
クロエ
安全だよ。全部ドアを確認したよ。
クロエ
鍵が閉まってるし、警報もついてるじゃない。
クロエ
だから教えて、何なのこれは?
クロエ
あと、どうして私に電話くれなかったの?
パパ
今電話かけられないんだよ。電車に乗ってるから。
パパ
周りに人がいるんだ。
クロエ
それの何が問題なの?
クロエ
私が危険な状況にいるんだから、電話くらいちょうだいよ!
パパ
ごめんよ、できないんだ。
クロエ
なら911に電話する。
パパ
私がもうしたよ。
クロエ
じゃあどこにいるのよ⁈
パパ
向かってるところだよ。本当さ。
クロエ
こんなの信じられない。
パパ
あと少しだけ辛抱してくれ。私がついてるから。
クロエ
いないじゃない!
クロエ
何で私に言ってくれなかったの...
クロエ
街に向かっているって。
パパ
なんだって?
クロエ
他にどんな理由で電車に乗っているっていうの?
クロエ
ママに会うため以外に...
クロエ
行くんじゃないなら。
パパ
離婚の話がしたかったんだ。
パパ
でも私に会おうとしてくれなかった。
クロエ
きゃあ!
パパ
どうしたの?
クロエ
バタンという音がした。
パパ
ドアかい?
クロエ
違うわ。多分これは...
パパ
なんだい⁈
クロエ
ありえないよね...
クロエ
煙突から入ってきたなんて。
クロエ
大きすぎるわよ。
パパ
奴は君が想像のできないようなことができるんだ。
クロエ
なんで知ってるの⁈
パパ
いいから家の外に出るんだ!
パパ
近所のお家に走っていくんだ!
クロエ
1マイルも先よ!
クロエ
すぐにあいつに追いつかれるわ!
クロエ
あいつが近づいている音がする。
クロエ
セーフルームに行く!
パパ
だめだ!やめるんだ!!
クロエ
パパの言うことは聞きたくない。
クロエ
何が起こっているのか説明してよ!!
パパ
仕方ないな!わかったから!
パパ
君の姉はあの部屋から誘拐されたんだ。
クロエ
なんの話ししてるの?
パパ
君には姉がいたんだ...
クロエ
何ですって⁈
パパ
君が生まれる前の話だよ。
パパ
あいつが家に入ってきたんだよ。
パパ
そして奴は彼女をあの部屋から連れて行ったんだ。
クロエ
冗談でしょ?
パパ
いいや、クロエ。私は真面目だよ。
パパ
さぁ、お願いだから...
パパ
家から出るんだ!!
クロエ
どうして?豪邸なのよ?
クロエ
40部屋もあるじゃない。
クロエ
秘密の隠れ場所ならたくさんあるじゃない。
パパ
言っただろ...
パパ
前にもここにきたことがあるんだ。
パパ
家のことを知っているんだ。
クロエ
パパだってじゃない...
クロエ
一緒にかくれんぼした時...
クロエ
私を見つけられたことないじゃない!
クロエ
そこに行こうと思ってるの。
クロエ
私のいちばんの秘密の隠れ家。
パパ
わかった。だけど場所は私に言っちゃだめだよ。
パパ
ただそこに行くんだ。
クロエ
どうして?あいつは私たちのやりとりが読めるの?
パパ
わからない...
パパ
でもなぜか、あいつは色んなことをしっているんだ。
パパ
誰も知らないはずのことを。
パパ
いつだって、知っている。
クロエ
あいつが私にメールを送ってくるかもしれないって、さっきパパ言ってたわ。
クロエ
あいつは人間ってこと?
パパ
人間じゃないよ...
パパ
だけどあいつは、人間だけができるようなやり方で、嘘をついたり、欺いたりするんだ。
パパ
やつはあらゆる手段を使って、君のもとへ行くよ。
クロエ
どうして?
パパ
わからないよ...
クロエ
パパはあいつのこと知ってそうだけど。
クロエ
あいつがパパの子を欲しがる理由以外は。
パパ
あいつは残酷だって言ったろ?
クロエ
パパが私にお姉ちゃんがいたってことを黙ってたことより残酷?
パパ
15年前の話だよ。
パパ
君が生まれる1年前。
クロエ
ママが教えてくれなかったことも信じられない。
パパ
黙っておくことはママのアイデアだったんだ。
クロエ
なんで!どうして?
パパ
その子は彼女の娘ではなかったからさ。
パパ
君のママと結婚する前にね。
パパ
クロエ?
パパ
クロエ⁈大丈夫かい⁈
クロエ
大丈夫なわけないでしょ?
クロエ
パパの言っていることはみんな嘘よ!
パパ
嘘なんて言ってないさ。
クロエ
もううんざりよ...
クロエ
どうしてなの⁈
パパ
最初の奥さんは自殺したからさ。
パパ
私たちの娘をあいつが連れて行ってしまって。
パパ
それで彼女はおかしくなってしまった。
パパ
だから銃で自分を撃ってしまったんだよ。わかるかい?
パパ
私も彼女の後を追っていただろうね...
パパ
君のママがいなかったら。
パパ
彼女が、あの悪夢から私を救ってくれたんだ。
パパ
そして、ママは君のことも救いたがっていたんだ。
クロエ
信じられない。
パパ
わかるよ。大変な時期だった。
パパ
だけど、私たちは乗り越えたんだ。
クロエ
違うの、そうじゃなくて。神様...
クロエ
あいつに見つかったみたい...
クロエ
メール止めて。
次回謎の男現る...

3  

投稿日時:2019-11-26 17:34
投稿者:諫山
閲覧数:1

> 諫山さんの作品一覧をみる

↑このページの先頭に戻る