ソードアート・オンライン 黒紫の英雄譚 第26話
投稿が少し遅れました。すみません。次回から高難易度第10層、攻略開始です。
- 犯罪者プレイヤーにプレイヤーの解放をさせたキリト達。念のため一般プレイヤーが監禁されているトールバーナーへ足を運んだが、宣言通り監禁から解放されていた。さっきまでは犯罪者プレイヤー数十人がプレイヤーの監禁を行なっていたらしいが、全員が突然撤退したと言う。
アルゴ
- ふぅ〜疲れた...
キリト
- 時刻はもう19時。キリトはかなり疲弊していた。第9層のボスモンスターを突破し、フィールド内でサチと呼ばれるプレイヤー達を助けた後、犯罪者プレイヤーと命がけの決闘..こんな濃い1日はそうはないだろう。
キリト
- さすがの俺も今日は動きたくない...死ぬほど疲れた。
キリト
- 実際死にかけてたしね。
ユウキ
- 麻痺が奇跡的に解けたから良かったわね...解けてなかったら確実に死んでたでしょ、あれ。
アスナ
- アスナの言う通りだ。麻痺がなぜか解けたんだ。その偶然に乗じて俺はアイツらを撤退させただけで勝ったわけじゃない。
キリト
- いやいや!誰が何と言おうとアイツらはキリトから逃げたんだからキリトの勝ちだよ‼︎
ユウキ
- そうよ!気を落とさないで!今日はゆっくり休んで、明日に備えましょう?
アスナ
- ユウキ...アスナ....ありがとう。
キリト
- アノーー?もしもーシ!?オレっちがさっきから空気になってるんですガ?
アルゴ
- なんだ、居たのかアルゴ。
キリト
- 居るに決まってるだロ!?パーティーメンバーなんだかラ!
アルゴ
- お前金欠って言ってたから下層の宿屋に泊まると思ってたよ。
キリト
- 流石に泊まるくらいの金はあるゾ...
アルゴ
- ではいつも通り宿屋の予約に向かおう。
キリト
- 宿屋受付
キリト
- なんだここは....
キリト
- この層の宿は他の層と打って変わっていた。内装はまるで旅館のように設計されており、現実の和式ホテルと大差ない。既に泊まっているプレイヤーのほとんどが浴衣を着ており、自分達が居るのは現実世界なのは?と錯覚を起こすほどだ。
キリト
- 他の層と違って随分作り込まれてるな...
キリト
- 外の紅葉や和の雰囲気に合わせてる感じね。なんか全体的に京都みたい。
アスナ
- まるでお泊まりだね!
ユウキ
- オレっちは宿屋のクオリティなんて気にして事ないガ、これは一女子として興奮するナ。
アルゴ
- (女子達の反応がいつもより遥かに大きいな。俺自身もこういう雰囲気は嫌いではないので別にいいが、宿泊値段は...やっぱし高いな。)
キリト
- (いつものように俺が半額近くを負担すれば問題ないが、この層に1週間居るならこの値段は少し身の危険を感じるぞ。)
キリト
- みんな....一つ相談するぞ。
キリト
- 流石にこのままでは金が死活問題になるので4人で割り勘をする事にした。
キリト
- 分かった!ボクが3割、アスナが3割、キリトが3割、アルゴが1割でどう!?
ユウキ
- いやいや!オレっちの分少なすぎないカ?
アルゴ
- いつもお世話になってますならこれくらい良いですよ。
アスナ
- この分配なら何とかなりそうだ。
キリト
- すまない..恩に着ル。
アルゴ
- よし、早速部屋とご対面だよ!
ユウキ
- 勢いよくユウキがドアを開けるとその先には和室の部屋が広がっていた。畳敷きで布団は4つ敷かれている。ふすまも設置してあり完全に現実世界の旅館だ。
ユウキ
- うわすっげえ....
キリト
- 本当にお泊まりに来たみたい...
ユウキ
- 中々の作り込みだナ。
アルゴ
- 仮想世界なのにこんなに立派に作られてるなんて...
アスナ
- この旅館のクオリティの高さが広まれば、たくさんのプレイヤーがいずれやって来るよね。
ユウキ
- この宿屋の凄さは分かったがとりあえず夕食を食べないとな。
キリト
- どこかに食べに行く?
アスナ
- いや...この部屋を取るときに宿屋の解説を見たら、どうやら食事を頼めるらしい。
キリト
- 本当カ?この層は随分と優遇されてるナ。
アルゴ
- それだけ十分の一の地点にあるこの層は重要って事なのかもしれないな。
キリト
- ねぇねぇ、早く夕食頼もうよ!
ユウキ
- そうね...お腹すいちゃったし!
アスナ
- じゃあ頼むぞ〜
キリト
- 夕食は和食料理で、蕎麦やら野菜やら寿司やらが並んだ典型的、かつ美味しい料理だった。が、当然値段は通常の食事に比べて高かった。ゲーム内通貨のため現実の和食料理とは値段がだいぶ違うが、それでも皆の財布に痛い事は変わりなかった。
キリト
- お腹いっぱいだよ〜疲れた。
ユウキ
- 財布の中はすっからかんだけどな。
キリト
- この料理は美味しいけど高すぎるわね。明日からは普通の食事にしましょう。
アスナ
- 賛成ダ。
アルゴ
- 現在時刻は...21時か。
キリト
- ぐだぐだしてたらあっという間に夜だナ。どうする、トランプでもやるカ?
アルゴ
- これが本当のお泊まり会ならそうしてるかもしれないが、明日から死戦を繰り広げなきゃいけないからな...俺はもう寝るよ。
キリト
- えぇー!もう少し起きてようよ!先生が見張りに来た時だけ寝たふりするあの感じを思い出して!
ユウキ
- 修学旅行...?
アスナ
- でもキリト君の言う通りよ。この層が本当に今まで以上に危険なら、体調管理は徹底しないと。
アスナ
- オレっちもそう思うゾ。攻略メンバーから死人が出てもおかしくないからナ。用心するに越した事はなイ。
アルゴ
- ....zzzzz
キリト
- って、もう寝てるし!
ユウキ
- 意外と子供っぽいわね。
アスナ
- 寝顔を記録結晶で保存してやるカ。
アルゴ
- ....その結晶いくら出したらくれる?
ユウキ
- おヤ...オレっちと商談かイ?
アルゴ
- あの...私寝てていい?
アスナ
- アスナはキリトの寝顔の記録欲しくないの!?
ユウキ
- 欲しい.....!?何言ってるの、要らないわよ!
アスナ
- (一瞬欲しいって言ったよナ。)
アルゴ
- 次の日
アルゴ
- ふわぁ〜〜おはよう....
キリト
- .....
キリト
- .....
キリト
- キリトは動こうとしたが動かない。起き上がれないのだ。原因はただ一つ。
キリト
- あ…ありのまま今起きている事を話すぜ!俺は両腕が全く動かなくて変だなと思い両腕を見た。そしたら、両腕にユウキとアスナがしがみついていた。何を言っているの分からないと思うが俺も何でこんな事になっているのか分からない...
キリト
- 一人で何言ってるんダ。キー坊。
アルゴ
- 朝から女子2人に腕に抱きつかせるなんて罪なプレイヤーだナ。
アルゴ
- いやいやいや!俺は昨日確かに1人で寝たんだぞ!?確かに女の子3人が同じ部屋にいて少しドギマギしたが、決してこれは俺から強要したわけではない!
キリト
- ふわぁ...おはようキリト。
ユウキ
- おはようキリト君...
アスナ
- 起きたばかりで申し訳ないけどさ、何で俺の腕にしがみついてるの?
キリト
- え....
アスナ
- あ...
ユウキ
- ムフッ
アルゴ
- ああああああああああああ‼︎‼︎‼︎違うからねキリト!何もかも違うからねこれは‼︎
ユウキ
- き、き、きききき、きき、キリト君!忘れてね?お願いだから忘れてね!?
アスナ
- わ、分かった....
キリト
- (忘れろ?2人は鬼か?朝起きたら両腕に美女がしがみついてました。なんて事実忘れられるか!!こちとらバリバリの思春期だぞ‼︎)
キリト
- そこまでダ。さっさと支度して攻略に移るゾ。
アルゴ
- はい.....
ユウキ
- (何でしがみついたの...?覚えてない...)
アスナ
- 第10層 フィールド
アスナ
- おいアルゴ。
キリト
- なんダキー坊。
アルゴ
- 朝の2人だが...お前何か知ってないか?
キリト
- オレっちにだって分からないことがあル。精々知ってるのは2人が寝た隙に2人の体をキー坊の隣に置いた奴がいる事くらいだナ。
アルゴ
- 知ってるじゃねぇか‼︎何もかも‼︎てか、お前実行犯じゃねえか‼︎
キリト
- いや、オレっちがやったのは隣に寝かしただケ。後はユウキとアーちゃんが勝手にキー坊の腕に抱きついただけダ。
アルゴ
- 誰目線で語ってるの?お前のせいで朝から気まずい雰囲気なんだよ?話せてないんだよ、パーティーメンバーと。
キリト
- ユウキもアーちゃんも寝付けが悪そうでナ?悪い夢でも見てるんじゃないかと心配になっテ....そこで自分達がご心酔してるキー坊の隣ならよく眠れると思った、オレっちの粋な計らいダ。
アルゴ
- 実際キー坊の隣に寝かしたらすぐ眠ったゾ。
アルゴ
- まあ...2人を気遣ってくれたのは感謝するけど...他にやり方ないのかよ。
キリト
- オレっちも眠くて考えられなかったんダ。許してくレ。
アルゴ
- 別に怒ってるわけじゃ....
キリト
- なんでダ?美女2人を視界に入れたまま朝を迎えられたからカ?
アルゴ
- 違うよ!アルゴがそういう風に他人を気遣うのは、βテスト時代だったらあり得なかったから..なんか嬉しかったんだよ。
キリト
- 情報屋としていつもプレイヤーを気遣ってるつもりだゾ?
アルゴ
- でも今回は仕事の一環でも情報屋としてでもなく、パーティーメンバーとして優しくしてくれたんだろ?
キリト
- ......
アルゴ
- 同じパーティーメンバーとして鼻が高いぜ。
キリト
- キリト!今すぐこっちに来て!大変な事が起きちゃった!
ユウキ
- !?
キリト
- キリト君!早く‼︎
アスナ
- 分かった!すぐそっちに行く!
キリト
- 何事ダ!?嫌な予感がするゾ...
アルゴ
- 情報屋の勘は当たるからやめてくれ...
キリト
- キリト....キリト....
ユウキ
- ........
アスナ
- クソが.....!
モブプレイヤー
- .....何があった?
キリト
- そこにはユウキとアスナ、そして他のプレイヤーが顔をしかめていた。ここはフィールドだ。フィールドでそんな顔になる時点でキリトは何となく察しはついていたが、一応聞いておいた。
キリト
- .....攻略メンバーが亡くなったわ。
アスナ
- 2人.....ね。
ユウキ
- ....!!
キリト
- ちくしょう!何でだよ!何で...こんな!
モブプレイヤー
- 辛い事を聞くようだガ、何でそんな事になっタ?
アルゴ
- 俺達は...安全マージンを充分に取ったんだ。攻略もゆっくり進めて...出来るだけレベルの低いモンスターの道を歩いて来たんだ。なのに、いきなり高レベル帯のモンスターが大量に集まってきやがったんだ!何の前触れもなく!
モブプレイヤー
- もういいわ...あなたも辛いでしょ?一旦街に戻りなさい。
アスナ
- うん...落ち着くためにも街に戻った方が良いよ。
ユウキ
- .....すまねぇ。
モブプレイヤー
- そう言うと死亡者の仲間であったプレイヤーは俺達とは逆方向に進んでいった。
モブプレイヤー
- 本当にこの層はヤバいね。今まで以上の覚悟が無いと戦えない。
ユウキ
- 高レベル帯のモンスターが突然大量に湧くなんて、初見殺しもいいところね。
アスナ
- ...先に進むゾ。死んじまった奴らの分までオレっち達は戦わなきゃいけなイ。
アルゴ
- 当然でしょ。
アスナ
- うん。先に行こう.....キリト?
ユウキ
- ......
キリト
- キリト、早く行こう?
ユウキ
- あぁ。ごめんな、考え事してて。
キリト
- もう...行くよ、キリト。
ユウキ
- あぁ。行くぞ。この層はどんな理不尽もやって来る...そう思って行くぞ!
キリト
- 了解!
ユウキ
- 分かったわ。
アスナ
- おいサ!
アルゴ
- フィールド攻略中に犠牲者が出た。第10層は今までの層とは明らかな別次元の難易度。キリト達は果たして生き残れるのか!?
アルゴ
- .....
アルゴ
- (キー坊。お前も薄々分かり始めてるのカ?)
アルゴ
- (攻略メンバーの戦力が...圧倒的に足りない事二。)
アルゴ
- To be continued...
アルゴ