ソードアート・オンライン 黒紫の英雄譚 第19話
第5層も佳境に突入です。 果たして攻略プレイヤーの運命は...
- キリト達は攻略メンバー30人全員に集合命令を出し、ボスについての情報を公開していた。
アスナ
- 第5層のボスの攻撃は主に手足を使った攻撃のみです。その代わり攻撃力が今までのボスの比ではないので注意しましょう。
アスナ
- 後、ボスが攻撃するときには何かしらの合図が出るらしいから、細かく気を配っていこうねー!
ユウキ
- 以上が俺達がNPCから入手した第5層ボスの攻略情報だ。βテスト版と大して変わらないが、前情報だけではなんとも言えない。今まで通り気を引き締めて行こう!
キリト
- イェェェェェイ‼︎‼︎
モブプレイヤー
- この層のボスもぶっ飛ばしてやんよー‼︎
モブプレイヤー
- 後はボス部屋を見つけるだけか。まさかボス攻略情報の方が先に手に入るなんてな。
ノーチラス
- では解散!引き続き攻略を頑張ろう‼︎
キリト
- おぉぉぉぉぉぉぉ!!!!
モブプレイヤー
- こうして、攻略プレイヤーが去っていく中...
モブプレイヤー
- はぁぁぁぁ。
キリト
- おいおい、どうしたんだ?やたら元気無いじゃねえか。
エギル
- プレッシャーをかけるわけじゃ無いが、攻略メンバーの長ともあろう者がその様じゃ、付いてくる奴も不安になるってもんだ。
エギル
- 実はな....
キリト
- よしてあげていくださいよ、エギルさん。どうせ女絡みでしょう。
ノーチラス
- ノーチラス...なぜそう思う?
エギル
- 何となくです。最近ユナに近づく奴らが増えて僕も内心疲弊していてね。
ノーチラス
- なのに彼は、ユウキとアスナという美女2人を抱えて攻略しているのですよ?それはそれは女絡みで問題も抱えるでしょう。
ノーチラス
- ところで、お前が大切にしてるユナはどこだ?攻略会議で見当たらなかったぞ。
キリト
- 今日、彼女はレベリングを頑張りすぎて疲れ果てたから、彼女の分も僕が来たんだ。
ノーチラス
- で?実際はどうなんだ。何があった?
ノーチラス
- 分かった。話すよ。
キリト
- キリトは迷宮区前に居たNPCクエストから受けられるクエストの報酬について話した。まずはキリトとアスナの報酬について。
キリト
- おいおい、そりゃマジなのか!?
エギル
- 一回限定のクエスト...報酬もかなり豪華だな。
ノーチラス
- キリトとアスナはレアリティ3の武器をゲットしたんだろ?そりゃすげえじゃねえか。
エギル
- 全くだ。レアリティ2の武器ですら今持ってる人なんてほぼ居ないだろうに。
ノーチラス
- 今の所、お前が落ち込む要素皆無じゃないか。
ノーチラス
- で、ユウキが手に入れた武器なんだけど。
キリト
- キリトは、ユウキの身に起きた奇跡を説明した。
キリト
- シ...システムブレイカー級のレアリティ5の片手剣!?
エギル
- 嘘だろ...?何でそんなものがクエスト報酬に?
ノーチラス
- ...恐らくそのクエスト報酬は、サーバーに存在する武器をランダムで生成するんだろうな。
エギル
- 俺とユウキが片手剣、アスナが細剣を手にしたのを確認すると、恐らく最も熟練度の高い武器が生成されるのかもな。
キリト
- ....で、その報酬にはクリア後に解放されるような高難易度ダンジョンの最深部にある武器も含まれてたってのか?
ノーチラス
- そんな事はシステム上ありえない。
キリト
- ...はずなんだけど、実際に起きてるわけだからな。
キリト
- クリア後のさらに先のダンジョンで手に入る武器がクリア前、それもこんな低層で手に入るのは確かにおかしな話だな。
エギル
- そもそもその武器は装備できるのか?装備できないなら存在してないのと同じだろ。
ノーチラス
- 装備自体は今もできるんだがな...重すぎて全然振れないらしい。
キリト
- 武器に表示された必要ステータスには、STR60と書かれていたそうだ。
キリト
- 筋力値60?システムブレイカーの武器にしてはやたら条件が緩くないか?
エギル
- いや...こういうゲームでは武器や防具の装備自体はそこまで要求ステータスが高いのは少ない。
キリト
- それにこの武器がクリア後前提で提供される武器なら、例えゲームバランスが崩壊した所で、デメリットは少ない。
キリト
- なんせ、クリアされた後だからな。
キリト
- ...クリア後前提か。
ノーチラス
- どうした、何か気づいたのか?
エギル
- いや、この世界はこの通りデスゲームになって、クリアしたらこの世界からは強制的にログアウトされるはずだろ?
ノーチラス
- つまり...クリア後に手に入る武器は普通にプレイしてたらこ手に入らない。
ノーチラス
- ...そういう事か。
キリト
- それって...
エギル
- まさか、茅場が仕様を変えたのか?特定条件を満たせば、クリア後に入手できる武器も事前に入手可能、と。
キリト
- といっても、ただの考察だけどな。
ノーチラス
- おいキリト。ユウキの身を守ってやれよ?
エギル
- そんな武器持ってると知られたら、色んなプレイヤーから目をつけられるぞ。
エギル
- もちろんそのつもりだ。ユウキにもそれは伝えた。
キリト
- さて...明日にはボス部屋を見つけておきたいな。ここを突破すれば20分の1を突破した事になる。
キリト
- そうだな。お前も強い武器手に入ったからって浮かれて死ぬなよ?
エギル
- お前は運が悪いからな。余計に死にそうで、こっちまで冷や冷やする。
ノーチラス
- 分かってるって。死ぬ気はないぞ。
キリト
- じゃあ、また会おう。
ノーチラス
- あぁ、またな。
エギル
- 死ぬなよ...!
キリト
- そう言うと、3人は別々の方向へ歩いていった。
キリト
- ユウキはどうしてるかな...武器がぶっ壊れ級と知った時喜んでたからな。今も多分...
キリト
- ふぉぉぉぉぉぉ!STR全開‼︎‼︎
ユウキ
- 頑張れユウキ!もう少しで剣を構えられそうよ!
アスナ
- ユウキ!この世界への怒りをパワーに変えろ!
モブプレイヤー
- 俺たち攻略メンバーも応援してるぞ!
モブプレイヤー
- 負けるなぁ!お前なら出来るって!
モブプレイヤー
- ユウキは現時点では持てない剣を、どうにかして持とうとしていた。
モブプレイヤー
- ユウキ...だから無理だって。
キリト
- キリトさん!応援してあげてくださいよ!アンタが言ってくれたらきっと剣を持ち上げられる筈です!
モブプレイヤー
- そうよキリト君!あなたがノーチラス君とエギルさんと座談会を繰り広げている間にも、ユウキは頑張っていたのよ!?
アスナ
- あなたの一言を、彼女は待っていますよ!
モブプレイヤー
- ここで正論を言うのは簡単だが、ユウキが頑張っているのも事実。せめて全力でやらせてやろうかと思い、キリトは...
キリト
- ...頑張れユウキ!お前ならできる!俺とアスナと背中を預け戦い、この世界の攻略に貢献しているお前なら!できる筈だ!
キリト
- 俺はユウキを信じてるからな‼︎
キリト
- などと、どっかで聞いたようなセリフをキリトは脳内で組み上げて言っただけだ。
キリト
- ‼︎
ユウキ
- なんだ...!?空気が変わった...
モブプレイヤー
- ここは仮想世界だ。空気が変わるならそれは単純に気象設定の変わっただけだと、キリトは言おうとした。
モブプレイヤー
- ユウキから...これまで以上の闘志を感じる。
アスナ
- 頑張れユウキ!その調子だぞ!
クライン=おっさん
- お前どっから湧いた!?
モブプレイヤー
- ふぅー.....
ユウキ
- (集合集中....)
ユウキ
- ふんぬぉぉぉぉぉぉ!
ユウキ
- 5分後...
キリト
- か、か、構えたーーー!??
キリト
- すごいじゃないユウキ!
アスナ
- あり得ない...システムを超えた。
キリト
- ユウキやったな!
モブプレイヤー
- やっぱすげえよアンタ!
モブプレイヤー
- くっ...うっ...もう...無理ぃぃ!
ユウキ
- しかし流石に無茶だったのか、すぐに剣を手放してしまう。
ユウキ
- やっぱ無理だったよ...
ユウキ
- 構えられるのは約30秒ってとこか。実戦で使うには危険すぎるな。
キリト
- まだその剣を使うのは少し早いって事だ。
キリト
- 惜しかったね。もう少し待とう?ユウキ。
アスナ
- 30秒にしたってすげぇよ...
モブプレイヤー
- 俺達も女の子に負けてられないな!
モブプレイヤー
- 俺達も気張っていくぞー!
モブプレイヤー
- もちろんさー!
モブプレイヤー
- じゃあユウキ。そろそろ宿屋に戻ろう。
キリト
- うー...この剣で戦いたいなー。いつ頃装備できるの、これ?
ユウキ
- ユウキのレベルが22くらいに上がって、なおかつ装備とかでSTRをプラスしたとしても..早くて10層辺りだな。
キリト
- 結構先だね.....
ユウキ
- まあ、少しづつ頑張りましょう。
アスナ
- じゃあ今日はこれで。
キリト
- おやすみなさい。
アスナ
- おやすみ、キリト。
ユウキ
- (明日にボス部屋見つかるだろうか。早く上の層に行って俺も装備を整えないと、ユウキにあっという間に抜かされちゃうな。)
キリト
- 次の日
キリト
- さて、朝飯も済んだし迷宮区に行くぞ!
キリト
- おおー!
アスナ
- ばっちこいだよ!
ユウキ
- 第5層 迷宮区
ユウキ
- かなり奥まで来たけどエネミー自体は大したことないね。この前戦った竜に比べたら。
ユウキ
- ひとつ気がかりなのは、この迷宮区すごく凸凹してて歩きにくいわね。
アスナ
- そしてこれはβテストの時と同じだが、内部にいるのはゴーレムばかりだ。
キリト
- はぁ...お化けじゃなくて安心したわ。
アスナ
- わからないよ〜?この後出てきたりして...
ユウキ
- (΄◉◞౪◟◉`)
アスナ
- 心配するなアスナ。この先にはゴーレムしかいない。幽霊とはおさらばだ。
キリト
- 良し...!
アスナ
- そんな何気ない会話をしながら進んでいると、一つの扉を発見した。
アスナ
- 何これ...?
ユウキ
- 大きい扉ね。随分傷んでるけど。
アスナ
- ....迷宮区の攻略は数日前から進んでる。距離的におそらくここは...ボス部屋の扉かもしれない。
キリト
- 確認してみる?
アスナ
- そうしないとな。ボス部屋の内部だけ確認して、すぐに転移結晶で街に飛ぶぞ。
キリト
- 了解!
ユウキ
- そうしてキリトは扉を開けた。するとそこには...
ユウキ
- でっっっっか!
ユウキ
- あれがボス!?
アスナ
- あの姿...間違いない!《フスクス・ザ・ヴェイカントコロッサス》だ!
キリト
- 部屋の内部は...
キリト
- 全体的に丸い...所々凸凹な時点もある。これは下手に動いたらつまずくな。
キリト
- キリト!何か赤いライン出てるよ!
ユウキ
- 早く転移した方がいいんじゃない!?
アスナ
- あぁ!今すぐカルルインに転移だ!
キリト
- 3人は転移、カルルインと叫んで、ボス部屋から離脱した。
キリト
- ふぅ...随分大きいボスだったわね。
アスナ
- 防御も堅そうだね。
ユウキ
- とりあえず、攻略メンバーを集めよう。今日17時から攻略会議だ。
キリト
- 17時
キリト
- 全員で...30人だね。全員集合。
ユウキ
- そろそろ時間よ、始めましょう?
アスナ
- そうだな...。みんな!集まってくれてありがとう!本日昼頃、ボス部屋を発見した。今から第5層ボス攻略会議を始める!
キリト
- おっ!待ってました!
モブプレイヤー
- しっかし、よくもまあ度々見つけられるもんだな、お前も。タイミングの問題なのか?
ノーチラス
- きっとあの3人の連携がいいから攻略がスムーズに進んでるんだね。
ユナ
- ....まず1ついいか?
エギル
- どうしたエギル?
キリト
- 今回からボス戦に参加したい、という奴がいてな。
エギル
- その言葉を聞いて、キリトは何となく察しがついた。
エギル
- あ、俺言っていい?どうも、クラインです!レベルは16です!
クライン=おっさん
- ちなみに彼女は募集中でs...
クライン=おっさん
- オッケー分かったクライン。
キリト
- 人数は多ければ多いほど良い。俺もお前にはぜひ参加してほしい。
キリト
- あのキリトさんが認めている。何者だあの男?
モブプレイヤー
- あの男からは普通じゃないオーラを感じるな。
モブプレイヤー
- あー...話を戻すけど、まずボスの情報について。前にも言ったけど一応復習な。
キリト
- 名前は《フスクス・ザ・ヴェイカントコロッサス》。
キリト
- 攻撃は両手両足。威力は絶大だ。それとボスの部屋の内部だが、地面が所々凸凹していて走りにくい。注意してくれ。
キリト
- 前にボスが攻撃する時、合図が有るとか無いとか言ってなかったか?それはどうなってる。
ノーチラス
- ボス戦になる時に赤いラインを確認しました。恐らくそれが攻撃場所への合図かと。
アスナ
- あとボスは大きいからね!気をつけてね!
ユウキ
- 次は役割だ。
キリト
- 盾装備の人は、積極的に前に出て攻撃をガードしてほしい。
キリト
- 剣を装備してる人は隙を狙ってのソードスキル。槍はリーチを生かしてパリィを狙うのを専門としてほしい。斧は剣装備や槍装備の人がパリィしたら飛び込んで、それ以外は回避に専念してくれ。
キリト
- 今回のボスには取り巻きもいないから、ひたすら攻撃を防御又は回避、隙を見て攻撃の繰り返しだ。
キリト
- ただし、βテスト版と違う可能性もあるから、HPゲージが残り1本になったら警戒してくれ。
キリト
- 了解!
モブプレイヤー
- 一ついいか?
クライン=おっさん
- どうした、クライン。
キリト
- 今はアイテム調達に行ってて居ないんだが、俺の仲間もボス攻略に参加させたいんだ。
クライン=おっさん
- 入れそうか?
クライン=おっさん
- ボス戦自体は最大で48人まで入る。今は30人だからお前らも余裕で入れるぞ。
キリト
- ただし、クライン達はボス攻略初だろ?あまり過激に動かずに、落ち着いて対処してくれよ。
キリト
- おう、任せとけ!
クライン=おっさん
- 他に何か聞きたいことがある人?
キリト
- .......
キリト
- よし...じゃあ明日の10時に第5層迷宮区前に集合!これより解散!
キリト
- いつも通りボコるぞー!
モブプレイヤー
- 明日のためになー!
モブプレイヤー
- よし、ユナ。明日の準備をしに一旦ショップに行こう。
ノーチラス
- うん!
ユナ
- ...それと、あんた。
ノーチラス
- ん、俺か?
クライン=おっさん
- 精々死なないようにな。今の所第1層以外ではボス攻略で死者が出てないんだ。さっきも言ってたが無茶は絶対するなよ。
ノーチラス
- 心配してくれてセンキューな。
クライン=おっさん
- エーくんは優しいからね。ちょっと最近口が悪いけど。
ユナ
- なんだよ〜ツンデレか?俺は嫌いじゃないぜ。
クライン=おっさん
- うるさい!とにかく気を引き締めろよ、分かったな。
ノーチラス
- もとよりそのつもりだぜ?
クライン=おっさん
- やってるな。ノーチラスは意外と人に気を配れる奴だ。ギルドでも作ったら、アイツに付いていく奴も居るんじゃないか?
エギル
- アイツにユナ以外のプレイヤーを導く器用さがあるか?
キリト
- さぁな?何処かの誰かさんは攻略メンバー全員を導いてるらしいが。
エギル
- うっ....
キリト
- ギルドでも作りゃあいいのによ。
エギル
- ...それは、あまり可能性に入れてないな。
キリト
- まぁ無理にとは言わんさ。ボス攻略、頑張ろうぜ。
エギル
- そう言うと攻略メンバーは明日に向けてそれぞれ準備を始めた。明日はいよいよ第5層ボス攻略。
エギル
- キリト達は打ち勝つ事ができるのだろうか。
エギル
- To be continued...
エギル