ソードアート・オンライン 黒紫の英雄譚 第12話
あと二話で第1層は終了。その先の展開は現在思案中です。
- トールバーナーの広場
アスナ
- 人多いね。
ユウキ
- これは...予想してたより多いんじゃない?
アスナ
- あぁ。これなら人数が足りるぞ!
キリト
- キリトの心配は空回りになった。ここに集まっているプレイヤーは総勢32名。第1層攻略には多すぎるくらいの人数だった。
キリト
- あ、ディアベルって人出てきたよ。
ユウキ
- ハーーーイ!それじゃそろそろ始めさせてもらいまーす!
ディアベル
- 随分元気な人ね。
アスナ
- それくらいしないと人を集められないだろ。
キリト
- (しかし、ディアベルって人が声をかけただけでこの集まりようか。俺の時より遥かに多いな。くそっ、悔しい。)
キリト
- 俺はディアベル!職業はNA☆I!
ディアベル
- するとSAOでは珍しい笑いの声が多数で起こった。
ディアベル
- 職業無いとかww 開幕で笑わせるなよ!
モブプレイヤー
- この状況でやりますねぇ!
モブプレイヤー
- 今日は俺の呼びかけに応じてくれてありがとう!
ディアベル
- この間、迷宮区にてボス部屋が発見された。俺らはいつまでもこの層に留まらないで、次の層に、やがて100層に到達しなきゃならない。ゲームクリアのために!
ディアベル
- ここに集まったみんなは恐怖に臆することなく戦い、ゲームクリアを目指そうとする勇気ある者達だ!なら俺達は最後までその勇気を貫き通し、この世界にいる全てのプレイヤーを救うべきだ!それがここにいるみんなの使命じゃないか!?
ディアベル
- 良い事言うねー!アンタみたいな人は好きだぜー!
モブプレイヤー
- 一生着いて行きます!兄貴ぃ!
モブプレイヤー
- ...凄いわね。一瞬でここに居るみんなの志が一つになった。
アスナ
- まさにリーダーに相応しいな。あの人は。
キリト
- じゃあ早速攻略会議を始める!
ディアベル
- まず、フロアボスは単なるエネミー戦とは違う。みんなでパーティを組んで戦う、レイド戦だ。
ディアベル
- まずは、みんなでパーティを組んでみてくれ。
ディアベル
- 俺らは既に組んでるし、これ以上メンバーは増やさなくて良いよな。
キリト
- まぁね。
ユウキ
- 下手に増やしても、連携に支障が出るでしょう。
アスナ
- 数分後...
ディアベル
- よーし...みんな組めたかな?じゃあ早速ボス攻略についての会議を..
ディアベル
- ちょお待ってんか!
キバオウ
- 突然大きな声で男が叫んだ。男はジャンプしながら階段を降り、広場の真ん中に立つ。
キバオウ
- ワイはキバオウってもんや。(イケボ)
キバオウ
- ????
キリト
- ????
アスナ
- ????
ユウキ
- キwバwオwウとかw厨二抜けきってないっすね。
モブプレイヤー
- そこ、黙らんかい!
キバオウ
- ええか?ボスと戦う前に、言わせてもらいたいことがある!
キバオウ
- こん中に、今まで死んでった連中に詫びなアカン奴がおる筈や!
キバオウ
- 何だ....?
キリト
- 現実でもああいう人居るわよね。
アスナ
- あんまり関わりたくないけどね。
ユウキ
- キバオウさん..貴方の言う人達は、βテスターの事かい?
ディアベル
- そうや!βテスターの連中は、このデスゲームが始まった瞬間にニュービーを見捨てたんや!
キバオウ
- 生き残るために自分達だけレベル上げして...ニュービーの事なんて何ひとつ考えておらへんかった。
キバオウ
- その結果、大勢の死者が出た。この中にもβテスターが居るかもしれへんのやぞ!?そんな奴らを信用できるかい!
キバオウ
- ......
キリト
- (キリト.....)
ユウキ
- (....?)
アスナ
- (確かに、このゲームが始まって2週間で死者は合計で1200人になった。その責任はやはり...俺のような自分のことしか考えてなかったβテスト経験者のせいなのか?だとしたら...俺に戦う資格なんて...)
キリト
- 物は言いようだな。
ノーチラス
- ちょっと、エーくん!?関わらない方がいいよ、あんな人!
ユナ
- なんやと!誰やお前!
キバオウ
- 俺はノーチラスだ。キバオウ...だっけか?アンタはこれからこの世界で不都合な事が起きるたびにβテスターのせいにするのか?だとしたら随分お偉いんだな。
ノーチラス
- お前はβテスターの肩を持つんか!?
キバオウ
- 僕は少なくともここに攻略に来たんだ。不幸を誰かになすりつけに来たんじゃない。
ノーチラス
- それとも何か?βテスターとやらをここで責め立ててれば、ボス攻略の鍵にでもなるのか?
ノーチラス
- ....!
キバオウ
- その兄ちゃんの言う通りだな。
エギル
- ....なんやお前。
キバオウ
- 俺の名前はエギルだ。
エギル
- 俺たちはここに喧嘩をしに来たんじゃない。ここに閉じ込められたプレイヤー全員の解放のための戦いをしにきたんだ。それに、街にいる情報屋が配布した攻略ガイドを配ってるのはβテストプレイヤーだぞ。
エギル
- 何もかも、βテスターのせいにするアンタの意見は俺は違うと思っている。
エギル
- ......取り乱してすまんかったな。
キバオウ
- そう言うとキバオウは席に戻った。
キバオウ
- じゃあ再開するね。ボスについてだが、例の攻略ガイドの最新版に掲載されていた。
ディアベル
- マジでか、情報屋凄いな。
モブプレイヤー
- さすがβテスター...
モブプレイヤー
- それによると、ボスの名前は、《イルファング・ザ・コボルトロード》。それに加えて、《ルインコボルト・センチネル》という取り巻きがいる。
ディアベル
- ボスが使用する武器は主に斧。ゲージが残り一本になると、主武器をタルワールに変更してくる。
ディアベル
- ...βテストと、同じか。
キリト
- イルファングザ....何?名前長すぎて覚えられないよ。
ユウキ
- コボルトなんとかじゃないかしら。
アスナ
- 攻略会議は以上だ。最後にアイテム分配についてを言わせてもらいたい。金は全員で自動で割り、経験値は倒したパーティのものにし、アイテムはゲットした人のものだ。
ディアベル
- 依存はないか?
ディアベル
- しばしの沈黙...それは暗黙の了解だ。
ディアベル
- よし、では解散!明日迷宮区前に11時に集合!
ディアベル
- (さて、いよいよボス戦か。...さすがに緊張するな。ユウキとアスナもきっと....)
キリト
- だからさ、イルファングザ.....コボルト何だけっけ?
ユウキ
- .....分かんないわ。レート?ルート?ゴート?
アスナ
- (....大丈夫そうだな。)
キリト
- あ!キリトー!
ユナ
- !ユナじゃないか!
キリト
- ピクッ
ユウキ
- ピクッ
ノーチラス
- 久し振り....って程でも無いかな?とにかくまた会ったねー。
ユナ
- あ、紹介するね。この人がこの前言ってたエーくん!
ユナ
- ....どうも。
ノーチラス
- エーくん?どういう綴りなの?《Aーkun》?それとも《Eーkun》?
アスナ
- いや、多分エーくんってのはあだ名だろ。
キリト
- エーくん、この人が前に言ってたプレイヤーのキリト!
ユナ
- はじめまして。ユナが前にお世話になったそうで。
ノーチラス
- いやぁ...さっきの発言してた人か。どうもどうも..!?
キリト
- いきなりノーチラスはキリトの目の前に寄ってきた。
キリト
- ....確かに悪い奴ではなさそうだな。一言言っておくが、ユナは僕の大切な人だ。...今お前は女の子を2人も連れてるが、ユナには絶対手を出すなよ...!
ノーチラス
- キリトにしか聞こえない小声で言った。
ノーチラス
- of course....
キリト
- ねぇ、君って....
ユウキ
- あ、君は確か....
ノーチラス
- 驚いたな。まさか君が前に言ってたプレイヤーがこの男とは。
ノーチラス
- ノーチラスはユウキとキリトを交互に見てきた。
ノーチラス
- え?ユウキ知り合いなの?
キリト
- 前にフィールドで相談に乗ってもらったんだよ。
ユウキ
- あんなに怯えてたのにまさかボス攻略に参加しようとするなんてな。人は変わるもんだな。
ノーチラス
- 私だってもうレベル12だからね!エーくんとの修行の成果だよ。
ユナ
- こうして会えたのも何かの縁でしょ。この後交流会でもしましょう?
アスナ
- 賛成!明日に向けて気合い入れるぞー!
ユウキ
- わたしも賛成!
ユナ
- ユナが良いなら僕も。
ノーチラス
- そうだな。他のみんなもやるっぽいし俺達もやるか!
キリト
- キリト達はトールバーナーにある居酒屋で交流会をした。普段なら高くて来れないが、主にキリトとノーチラス、それにユウキが金を出し、うまく割り勘した事で食事にありつけた。ユウキとユナとアスナは途中からわいわい騒ぎ始めたが、キリトとノーチラスは微妙な空気だった。
キリト
- 夜 9時
キリト
- ふぅー。じゃあまた明日な。
キリト
- えぇ。ボス攻略で会いましょう。
ノーチラス
- (何かこの2人は妙な距離感が...)
アスナ
- じゃあね、ユナ!明日は頑張ろ!
ユウキ
- こちらこそ!明日はよろしく!
ユナ
- こうして2つのチームは明日に向けて分かれた。
ユナ
- さて...いよいよ明日、この世界で最初のボス攻略だ。正直、予想より早い。だから君たちにしっかりと特訓できてたから俺は不安でもある。特にアスナは今日しか教えてないから余計に不安だ。だけど、ユウキもアスナも基礎はしっかりしてる。後は自分自身を信じてくれ。...絶対に俺達は勝つぞ。
キリト
- 最初から負ける気なんてないけどね!
ユウキ
- もちろん。さっさと倒して上の層に行きましょう?
アスナ
- よし!明日はのために今日は早寝!
キリト
- おー!!
ユウキ
- おー!!
アスナ
- (...大丈夫だ。誰も死なない。)
キリト
- 次の日...
キリト
- みんな集まったかい?今からそれぞれのパーティの役割を伝えるから、確認してくれ。全員が確認できたら出発だ!
ディアベル
- オォォォォ!!!!
モブプレイヤー
- 行くぜぇぇぇ!
モブプレイヤー
- おい、兄ちゃん。
エギル
- ....なんや。
キバオウ
- 昨日はすまなかったな。今日は一緒に頑張ろうぜ。
エギル
- 分かっとるわい。
キバオウ
- さて、俺達に与えられた役目は....
キリト
- 迷宮区内
ユウキ
- なんで僕達の役目は雑魚処理!?
ユウキ
- しかも私達以外はボスへの集中砲火隊がほとんど。完全に蚊帳の外にされてるわね。
アスナ
- まぁまぁ。誰かはやらなきゃいけない役目なんだぞ。
キリト
- それに、俺達だけじゃないぜ。
キリト
- なぁ、エーくん?
キリト
- その名で呼ぶな。◯すぞ。
ノーチラス
- ちょっとエーくん!?口悪いよ!
ユナ
- すまないユナ。だがこの呼び名はユナ以外に呼ばれたくない。
ノーチラス
- もう...ごめんね。キリト。
ユナ
- いや、俺が調子に乗りすぎた。
キリト
- 本当だよ。たまにキリトは調子良すぎるよ。
ユウキ
- 少し自重しないと友達減るわよ。
アスナ
- いえいえお嬢さん達?彼は減るほど友だち居ないのでは?
ノーチラス
- ブフッ!!
ユウキ
- ボス戦前に死にそう....
キリト
- ボス部屋の前に到着
ユウキ
- 聞いてくれ、みんな!俺から言う事はただ一つ!
ディアベル
- 勝とうぜ!!
ディアベル
- うぉぉぉぉ!!!
キリト
- うぉぉぉぉ!!!
モブプレイヤー
- いやっフゥゥゥ!!
モブプレイヤー
- ....行くぞ!
ディアベル
- そうしてディアベルはボス部屋の扉を開け、攻略メンバーはボス部屋に突入した。
ディアベル
- その瞬間、暗かったボス部屋に明かりが灯る。その奥にボスの姿があった。全長2メートル越えの大きな巨大。あれこそがこの層のボス、《イルファングザ・コボルトロード》だ。
ディアベル
- 全員、攻撃開始ィィィ!!
ディアベル
- その掛け声に、全プレイヤーが呼応した。第1層突破を賭けた戦いが今はじまったのだ。
ディアベル
- To be continued...
ディアベル