ソードアート・オンライン 黒紫の英雄譚 第8話
ついにメインヒロインが動く。果たして第1層は何話で終わるのか!作者の心境や如何に!?
- 前に街に一回戻ったときに聞いたんだけど、SAOには《決闘》っていうのがあるんでしょ?
ユウキ
- それを使って、ボクと戦ってよ。
ユウキ
- ....本気か?俺は手加減する気はないぞ。
キリト
- ユウキとはレベル差もあるし、無理して戦う必要はないぞ。
キリト
- ....勝つよ。ボクは誰にも負ける気はない。この世界にも。キリトにね。
ユウキ
- 分かったよ。
キリト
- この世界の《決闘》には、3つのモードがある。1つは完全決着モード。これはHPが先に0になった方の負け。が、デスゲームでこれを使う物など居ないだろう。
キリト
- 2つ目は制限時間モード。これは制限時間を決め、その制限時間内にHPの多い方が勝ちとなる。
キリト
- そして3つめは初撃決着モード。始めの一撃をヒットさせる。それが外れた場合はHPがとちらかが半分になるまで戦う。...おそらくデスゲームで最も使われる事になるモードだろう。
キリト
- 初撃決着モードでいいか?
キリト
- うん。それしかないしね。
ユウキ
- KiritoがYuukiに決闘を申し込みました。
ユウキ
- 行くよ。....キリト。
ユウキ
- 来い....ユウキ!
キリト
- 3...2...1...START
キリト
- てやぁぁぁぁ!!!
ユウキ
- (一直線に来たか...が、ただの考えなしじゃないな。)
キリト
- (このまま迎え撃っても構わないが、最近強化したばかりの剣にあまり無茶をさせたくない。)
キリト
- (.....手加減は無しって言ったし、少し大人気ないが...)
キリト
- (...?キリトが構えた。)
ユウキ
- (ボクの特攻をソードスキルで相殺する気?でもね...ノーチラスって人のプレイスタイルを見た時に、戦いでの立ち回りを学んだんだよ。)
ユウキ
- (その程度じゃ負けない...)
ユウキ
- 甘いな。ユウキ。
キリト
- !?
ユウキ
- 相手が自分の知らない動きをした時は、まず警戒する事だ。
キリト
- (まずい...罠!?回避を....)
ユウキ
- 遅い!
キリト
- するとキリトはユウキの斬撃を弾いた。...が、ただ弾いたわけではない。
キリト
- (受け流された...!しかも身体が少し硬直してる...!)
ユウキ
- 今のは『パリィ』と言ってな、敵の攻撃を弾き、受け流す、戦闘面では大切なスキルだ。覚えておくといい。
キリト
- (負け...る?)
ユウキ
- (この隙にソードスキルをぶち込んで終了だな..)
キリト
- 終わりだ!
キリト
- (負けられない....負けたくない....絶対にボクは勝たなきゃいけないんだ!)
ユウキ
- そうじゃなきゃ....
ユウキ
- 君と!肩を並べて戦えない!
ユウキ
- !!!?何!?動いただと!!
キリト
- (有り得ない!硬直時間があまりにも短すぎる!しかもユウキはパリィ初見のはず。硬直時間を減らす隙を作れたとは思えない!)
キリト
- まさか....本能が咄嗟に態勢を変えたのか...?
キリト
- (いや、VR世界にそんなことはあり得ない...!)
キリト
- これが....君の強さか!おもしろい!
キリト
- 俺も全力で...君を倒す
キリト
- はぁぁぁぁ!!
ユウキ
- ユウキが繰り出したのは覚えたての、だか自分が使える中で最も威力の高いソードスキル、ソニックリープ。
ユウキ
- これがボクの全て!これでキミに勝ってみせる!!
ユウキ
- いい技だな...覚えて間もないはずだろうに、精度はとても良い。...だが、その技のさらに先を俺は知ってるぜ。
キリト
- !
ユウキ
- (範囲技のソードスキル...)
キリト
- スネーク・バイト!!
キリト
- キリトの放ったスネーク・バイトは、片手直剣スキルの熟練度を上げる事で取得可能となるスキル。現時点でこのスキルを使えるものは少人数だろう。
キリト
- いくらユウキのフルダイブの適性が高くても、βテストである程度プレイヤー戦闘もこなしてきたキリトの範囲技を避けることは出来なかった。
キリト
- (2発ヒット...まずい、HPがもう半分になる!)
ユウキ
- (さっきのパリィも完全に防げたわけじゃない...それにキリトのHPはまだ全然減ってない!)
ユウキ
- (ならこのソードスキルを当てて、キリトのHPを減らす!)
ユウキ
- 届けぇぇぇ!
ユウキ
- (...!ダメージを気にせず突っ込んできた!おそらく急所狙いか...。クソ...スキル硬直時間がまだ消えない..!)
キリト
- うぉぉぉぉ!!!
ユウキ
- (まずいまずいまずい!予想以上に急所に入ってる..!HPの減りが早い!)
キリト
- (俺の剣が折れるかもしれないが、ソードスキルで相殺を狙うか!?いや、ユウキのソードスキルの硬直が起きるまで防御に徹するがいいか?)
キリト
- (硬直が消えた!クソ、防御!)
キリト
- くぅぅぅ!
ユウキ
- (このソニック・リープは突進技。今はアバターの急所に突き刺さり、さらに運良くクリティカルヒットしたのだ。さらに突き刺さっている状態では継続ダメージが入る。が、それもユウキのスキル硬直で切れる。キリトの判断は正しかっただろう。)
ユウキ
- ....強いな、ユウキ!!
キリト
- だが、勝ち星は貰っていくぞ!!
キリト
- (この場合ならこの技だ!)
キリト
- スラント!
キリト
- それは片手剣の単発技。威力も他のスキルに比べて低いが、もし連撃数が多いスキルを放っていれば、先にユウキの硬直が解けて反撃を喰らっていたかもしれない。故に彼には早期決着のための単発技に賭けていた。
キリト
- (頼む...削り切ってくれ!)
キリト
- ぐっ....は!
ユウキ
- (HPが....)
ユウキ
- Winer Kirito
ユウキ
- (負け....ちゃったな。)
ユウキ
- はぁ...はぁ...
キリト
- (危なかった...もしユウキがパリィを会得していたら確実に負けていた。)
キリト
- (レベル差はあるはずなのに...βテスト時の経験もあってこの結果...)
キリト
- (勝利には...程遠いな。)
キリト
- やっぱ、負けちゃったなー。
ユウキ
- 途中行けそうと思ったんだけどねー。
ユウキ
- その勘は正しいよ、ユウキ。俺も途中でやられることを覚悟した。
キリト
- やはり君は、フルダイブの天才....いや、仮想世界の申し子だな。
キリト
- 仮想世界の...申し子か。なんか、悪くない響きだなー。
ユウキ
- でさ....返事なんだけど...
キリト
- あぁ、ごめんごめん。勝負に夢中で忘れてたよ。
ユウキ
- .....
キリト
- ボクはさ、キリトみたいに即座に反応できないし、キリトの足を引っ張っちゃうと思うんだよね。こんな自分がフィールドに出て生き残れるのかな?って本気で思ったよ。
ユウキ
- でもさ...キリトがボクに言ってくれた世界を救える力があるって言葉がずっと心の中で響いてたんだ。
ユウキ
- 誰でもじゃなくて、ボクに向けて言ってくれたのがとても嬉しかったんだ。さっき決闘した時にね、キリトの強さを再認識して、キリトとならこの先もっと強くなれる気がするし、プレイヤーみんなを守れるくらいの剣士になれるはずって、確信できた。
ユウキ
- だから...こんなボクだけどさ、一緒にこの世界を、攻略してくれる?
ユウキ
- ....当たり前だろ。ユウキ。キミはいずれこの世界で最強のプレイヤーにだってなれる。
キリト
- 君には、その力がある。
キリト
- 自分の心に役目を押し付けるわけじゃなくて、君自身がその役目を全うしたいと思ったなら、俺は君と共に戦うよ。
キリト
- ....これから、よろしくね!キリト!
ユウキ
- こちらこそ、よろしくなユウキ!
キリト
- こうしてキリトはパーティを組んだ。
キリト
- (βテストでもボス戦以外の時はパーティを組まなかったが..こうやって組んでみると悪くないな。)
キリト
- キリト?さぁ、行こう!1日でも早くこのゲームをクリアするためにさ!
ユウキ
- あぁ。行くぞ、ユウキ!
キリト
- こうして、キリトには新たな仲間ができた。背中を預けても悔いはない。そんな仲間が。
キリト
- デスゲームが始まって今日で4日。彼らが解放される日は果たしていつになるのか。それはまだわからない。
キリト
- To be continued...
キリト