冬と言えば鍋②
不死団のみんなが繰り広げる生活記
- で…部屋の主は、満足して鍋を食べられないのに対して部屋の人数が
シオン
- 部屋の主は、呆れながら上がり込んできた面々どもを数える。
ナレーション
- そろそろ具材無くなってきたね
輪廻
- そうね、じゃあ締めはうどんかご飯がいいか決めるとしましょうか
桃華
- ボクはどちらでもいいです、美味しい鍋が食べられたので
アルマ
- 俺はうどんだ、うどんのために肉を食べなかったんだ。うどんにするべきだ。
雹次郎
- 雹次郎はうどんに一票を上げる。
ナレーション
- 自分含めて六人…
シオン
- シオン、シオンってば!
輪廻
- お、おう、どした?
シオン
- だから、締めはうどんがご飯がいいかどっちにするって話だよ
輪廻
- そうだな、えぇっと…うどん?
シオン
- うどんで決定だな
雹次郎
- じゃあうどんにすっか〜、シオン。麺は何人分あるんだ?
玄重郎
- ちっと待ってろ
シオン
- シオンはしぶしぶこたつから出て、冷蔵庫にある麺の在庫を数える。
ナレーション
- 麺は二玉しかねぇな…
シオン
- 二人分しかないってことね、どうするの?
桃華
- 誰か買ってくるか?
雹次郎
- いや、うどん食いたいって言ったの雹次郎だろ。こいつが買ってくるべきだ。
シオン
- シオンも食べたいって言ってたよね
輪廻
- じゃんけんで決めるのはどうだ〜?
玄重郎
- 普通、言い出しっぺが率先して買ってくるべきだろ。
シオン
- 部屋の主なんだから客を持て成すのは当然でしょ
桃華
- 君は遠慮っていう二文字しらないよね、うん。完全に人の部屋で鍋を食べさせてもらっている感覚ないよね
シオン
- ボクが買ってこようか
アルマ
- じゃあ、ボクが行くよ!
輪廻
- いやいや、俺が買ってくる
玄重郎
- 私が買ってくるわ、仕方ないし
桃華
- いや…ここは俺が
雹次郎
- 我が行く!
シオン
- どうぞどうぞ、と五人は声をそろえる。シオンは、はぁ!?と声を荒げたが手遅れだと分かりしぶしぶと部屋を出てうどんを買ってくることにした。
ナレーション
- 結局買ってくるの部屋の主じゃねぇか…なんでアルマまであのネタ知ってるんだ?
シオン
- 十五分後…
- 寒々〜っ!凍え死ぬ凍え死ぬぅ!
シオン
- シオンは歯をガタガタ震わせて、部屋に戻ってくる。ちなみにうどんを買ってきたお金は自腹だ。
ナレーション
- お帰り〜!寒かったでしょ、ほらこたつに早く入って入って
輪廻
- そうそう、寒い中頑張った部屋の主さんにうどんは一番はじめに食べさせてあげる。
桃華
- 後でうどん代返すぞ
雹次郎
- いやいい、みんなが美味しく食ってくれるならそれでいい。
シオン
- さっすが部屋の主様だなぁ〜
玄重郎
- よっ、太っ腹!
輪廻
- シオンは部屋に入れば、買ってきたうどんを鍋に入れていく。
ナレーション
- アルマは締めのうどんとか食べたことあるか?
雹次郎
- いや…鍋自体初めてだからないよ
アルマ
- すげぇ美味いんだぜ、我は鍋自体が好きだけど雹次郎みたいに締めを楽しみにしてるやつもいるんだ
シオン
- へぇ〜そうなんだ
アルマ
- 数分経って、うどんがぐつぐつと煮え上がってきた。鍋の汁を存分に吸った麺の香りが部屋に充満する。
ナレーション
- うわぁいい匂いだね!
輪廻
- この匂いがたまらないんだよな
雹次郎
- もう食べていいシオン?
輪廻
- そうだな、ちょうど美味しく煮えてきたところだし食べていいぞ
シオン
- 上がり込んできた面々は、いただきますと言えばうどんを器によそっていく。
ナレーション
- ほら、貴方の分よそってあげるわ
桃華
- 桃華はシオンに器を貸せと手をひらひらさせる。
ナレーション
- え、いや…自分でよそるって
シオン
- 貴方に一番に食べさせるって言ったでしょ、ほら
桃華
- 桃華…ありがとうな
シオン
- シオンは桃華に自分の器を手渡した
ナレーション
- はい、冷めないうちにどうぞ
桃華
- おう、いただきます
シオン
- シオンはよそられたうどんをすする。ダシ汁の香りが口の中に広がった。
ナレーション
- 美味い…締めのうどん美味い
シオン
- うんうん、これもシオンがうどんを買ってきてくれたおかげだね
輪廻
- そうだな
雹次郎
- うどん…美味しい
アルマ
- ポン酢少し垂らすとまた違う味になって美味いぞ、なっはっは
玄重郎
- …こういうのを幸せっていうのか?
シオン
- なんだかんだで、うどんを美味しく食べられたので良かったと感じたシオン。
ナレーション
- そうかもね、たまにはみんなで食事を囲むこともいいことだと思うわ
桃華
- こうして、不死団の面々は幸せの空気の中で晩飯を終えたのだった。
ナレーション
- …そして翌日の夜
ナレーション
- ……。
シオン
- ………。
輪廻
- ………。
玄重郎
- ………。
アルマ
- ………。
桃華
- ………。
雹次郎
- ……なんでお前ら、マイ箸と器用意して我の部屋の前で立ってんだ?
シオン
- 完。
ナレーション