ストレリチア1章2話
- ストレリチア
- 1章「死神と死を告げる者」2
- ストレリチア アジトにて
- この銃、珍しいタイプね
スカーレット
- 魔弾銃だろ
クリムゾン
- 魔弾銃…?
ヘデラ
- 銃身に弾丸を込める場所がないでしょ。代わりに魔力を使って発砲するの
スカーレット
- この前死んだ構成員の遺体から、弾丸が見つからなかったのも納得ね
スカーレット
- 撃っても弾丸をぶっぱなすわけじゃねえ。だから音が出ない撃ち方もできる
クリムゾン
- そういえば、あいつが撃つ時音はしなかったですね。光線みたいでした
ジェンシャン
- そのはずね
スカーレット
- …魔弾銃は軍で実用化に向けて生産しているもの。一般向けに卸してはいないはず。
スカーレット
- 出回っていないはずの物がなぜここに?
ヘデラ
- なぜ…試作品かしら?
スカーレット
- 試作段階の物をおっかねえ場所で試すかよ?海賊品じゃねぇのか?
クリムゾン
- 海賊品だとしたら、どこかから製造技術が漏れてるじゃないですか〜管理ガバガバ〜
ジェンシャン
- そうだ。パチモンだったとしても基本的な所は変わらないですよね?魔弾ってどんな人が使う銃なんです?
ジェンシャン
- 魔弾を扱えるのは魔法が得意な人ね。
魔力による砲撃をする武器だから、工夫次第では色々と使いようがあるわね。
スカーレット
- さっき、軍でと言ったけれど、軍への実用化はまだされていないみたいね。
射程や効果の面で、調整が難しいからでしょうね。個人の能力に左右されるから
スカーレット
- 多くの人間が使用することと、軍による統制を守ることを実現するには、性能の均質化をしないと、使い辛いのかも知れないわ
スカーレット
- 1人で使う分には問題無いってか
クリムゾン
- 魔弾銃なら実弾が下手くそなクリムゾン様でも扱えるんじゃないですか?
ジェンシャン
- 失礼だなオイ
クリムゾン
- 実戦のたびに大道芸させられるんじゃたまったもんじゃないですよ〜
ジェンシャン
- 相変わらず酷い腕なのね
スカーレット
- 酷いとか言うな!俺の銃の腕は今どうでもいいんだよ!
で、どこまで分かってんだ?
クリムゾン
- 何者かが魔弾銃を密造しているか、盗品を使っているか…もしくは、正規の試作品であれば関係者かしら。
どれなのかは拷問の成果で分かると話が早いけれど
スカーレット
- そうか。そういや、ディアスシアの拷問の方はどうなったよ?
クリムゾン
- ごめんなさい。あいつが落とした銃以外の収穫は何も…
ディアスシア
- 最終的に埋めてもダメだったよ。どうしても口を割らなかったんだ。
シュエット(若)
- 随分頑張った犯人だね。どうせ死ぬなら何喋ったって自分には関係ないのにさ〜
ジェンシャン
- 強い意志を持って、密命を果たしにきたのだろうね。
余程気が狂っていなければ、独りで片意地を張る必要はないと思うよ。
話さないということは、背後に仲間がいると考えるのが自然だ。
シュエット(若)
- スポンサーだけでも聞けたら良かったんだけど…
ディアスシア
- 死人に口なしだな。ま、最初から吐く気がねぇなら死んでんのと一緒だ
クリムゾン
- で、この後どうするよ?
クリムゾン
- 情報部に引き続き調査をさせる。銃は商業部に解析させるよ。流通ルートや生産について最も詳しいのは彼らだ
シュエット(若)
- 俺らは?
クリムゾン
- 戦闘部はしばらく町の警備を手厚くするのに動員されるだろうね。ストレリチアのシマにいる住民に危害が及べば、その地区を担当するチームの沽券にも関わる。そうだろう?
シュエット(若)
- 当然な。ストレリチアの名が廃るぜ。強さが物言う世界でやられる一方じゃぁな
クリムゾン
- 俺らは引き続き担当のシマを見回るぞ。妙な動きする奴は住民でも容赦すんなよ
クリムゾン
- はい。精一杯努めましょう
ヘデラ
- 嘘つきが見抜ければ楽なんですけどね〜
ジェンシャン
- 嘘つきの考えることは嘘つきがよく知ってんじゃねぇのか?なぁジェンシャン?
クリムゾン
- ひどいなー 俺がいつ嘘ついたって言うんですか!
ジェンシャン
- テメェまたこの間女騙して捨てたって言ってたじゃんよ
クリムゾン
- 騙したなんて人聞き悪いこと言わないでくださいよ〜。最初から約束守る気がないんです!
ジェンシャン
- それを嘘つきって言うんだよ!
クリムゾン
- ふふ、同じ穴の狢なら、そうだ。
シュエット(若)
- ジェンシャン、俺が新しい武器の性能を試すため誰かを殺してきて欲しいと言ったら、どこで誰を狙う?
シュエット(若)
- え?
武器の種類にもよりますけど…死んでも心が痛まなくて、確実に仕留められる自信がある相手ですね
ジェンシャン
- 場所はそうだな…ただ殺すだけなら目立たない所で目立たない人間を
ジェンシャン
- 今回事件が起きたのは、目立つ所だけど…
ディアスシア
- 目立つ所に死体放置するなんてそりゃ、見せしめだよ
ジェンシャン
- ……まさか本当に見せしめだったり?
ジェンシャン
- ストレリチア脅すなんてたいした度胸だな。さぞかし自信があるんだろうなぁ?
クリムゾン
- 本当に脅しかどうか分からないよ?
ただの仇討ちの可能性もある。
商業部には解析を急いでもらおう。真実に近づくためにもね。
シュエット(若)
- 銃の件、ディアスシアから商業部へ引き継ぎをお願いするわ。情報部からは各支部に情報網の強化を依頼しましょう
スカーレット
- わかった。急いでラボに持っていくよ
ディアスシア
- ところでクリムゾン、今日は非番だよね?
シュエット(若)
- 予定上はそうなってっけどよ、こんな時だぜ?
クリムゾン
- まあまあ、ストレリチア全体が長期間気を張り詰めて疲れたところを攻め込まれても困る。休みの予定の時は休むべきだ。
シュエット(若)
- 数は少なくとも、疲れた戦闘員より元気な戦闘員が次々居た方が良い。上手く回すための秘訣だよ。
シュエット(若)
- ですって!ありがたく休みましょ!
ジェンシャン
- しゃあねぇな
クリムゾン
- 君は夜から俺の部屋に来てね?
シュエット(若)
- 何でだよ
クリムゾン
- うん?遊ぼうと思ってね
シュエット(若)
- 今更何で遊ぶつもりなんだよ…
クリムゾン
- 良いじゃないか。昔は何は無くとも一緒に遊んでたんだから
シュエット(若)
- ガキじゃねーんだぞ。仕方ねぇから行ってやるけど
クリムゾン
- やだクリムゾン様ツンデレ…
ジェンシャン
- 行かねえって拒否るとうちまで来るんだよコイツ
クリムゾン
- ははは。よく分かってるじゃないか
シュエット(若)
- お宅訪問ですか〜…家がバレてる関係の辛いところですねー
ジェンシャン
- 辛え。だから来られる前に行ってやるんだ
クリムゾン
- 優しい…
ジェンシャン
- 優しくねーよ。嫌がらせだ
クリムゾン
- ふふ、そうだね。不機嫌で来られちゃあたまらない。
シュエット(若)
- 機嫌をよくして来てほしいな。楽しみにしているよ。
シュエット(若)