ひとり劇場

狼少年/作:スイミー

せっかく一本書いたんだからお蔵入りは避けたい!!のコーナーです。

ナレーター
あるところにとても小さな村がありました。
村人たちは自給自足の生活を送り、彼らに少しの恵みを与えてくれるのはこの村で取れる珍しい羊の毛だけでした。
…噂をすれば、そんな羊たちの世話をする羊飼いの少年ジャックが何か考えごとをしているようです。
照明オン
ジャックあぐらをかき伸びをしながら
ジャック(嘘つき少年)
ああーー!!つまらない!!
ジャック(嘘つき少年)
この村には何もない…17年間生きてきて分かったことはただそれだけ。
あと3日もここにいれば、僕は退屈で死んでしまうだろうよ。
何か面白いことを…そうだ!
ジャック立ち上がりキラキラした顔で
ジャック(嘘つき少年)
とびきり大きな嘘をつこう!
例えば…あ!
羊が襲われたとか!!
そうだ、それがいい!
羊飼いの僕が言えば効果はてきめんだぞ!
ジャック舞台右端に走っていく
暗転 1
舞台左端ガヤとガスター畑仕事や掃除などをしながら談笑している
ジャック舞台右端、口の横に手を当て大声で
ジャック(嘘つき少年)
おい!!みんなーーーーーー!!
羊が食われた!!!!
大きななにかに襲われた!!!!
ガヤ(村人)
なんだって!!羊が!!!!
ガヤ(村人)
今すぐここから逃げなくちゃ!
ガヤ(村人)
いやまず獣を退治するんだ!熊か?狐か?狼か?
ガスター
狼だって!?いや…まさか人狼じゃないだろうな?!
ガヤ(村人)
人狼!!!!!
全員その場で時が止まったように停止
ナレーター
この小さな村にはとある伝説がありました。
それは、この村に人狼…狼に変身する人間がいるというもの。
昔この村で狼の姿をあらわし、人狼伝説の元となったと噂される男の血を引く一族は未だに村から煙たがられているのだそうです。
とはいえ、もうその一族は1人しかいないのですが。
全員動いてOK
ルカ舞台右端にキョロキョロしながら恐る恐る出てくる
ガスター 舞台左端から右端へズカズカとら歩いていく
ルカの胸ぐらを掴んで舞台中央へ引っ張り出す
この時ルカうわっとかえっとか言う
ガスター
お前がやったのかルカ!人狼の末裔め!!
ルカ
そ、そんな!僕は話が聞こえてきて気になって出てきただけです。
伝説なんて信じないでください、!
ガスター 舌打ち
ルカを掴んでいた手を離してジャックの方を気怠そうに向く
ガスター
おいジャック!!
食われた羊の周りの足跡は獣のものだったか!?
人狼は腰から上だけが狼って伝説だから、足跡は人間のままのはずだ。
つまり人間の足跡なら…
ガスター ルカを勢いよく指差す
ルカ びくっと体を強張らせる
ガスター
こいつの仕業ってことになる!!!
ジャック フフッと笑う
ジャック(嘘つき少年)
そんな怖い顔するなよガスター。全部嘘なんだから。
ガスター ルカ指さしたまま 首をひねる
ガスター
…は?
ジャック(嘘つき少年)
嘘だよ嘘嘘。ははっ。
羊は1匹だって減ってないよ。
みんなが慌てるのを見たらなんだか笑えてきちゃった。ははは!!!!
ジャック腹を抱えて笑う
ガスター ジャックにつかみかかる
ガスター
…おい!人をおもちゃにして楽しいか?
みんな真剣にお前の羊のことを考えていたんだぞ!
ガヤ(村人)
ま、まあ、ガスター、落ち着けよ!
ジャックはまだ俺たちに比べれば子供さ…!
結局羊は食われてないんだし良かったじゃないか…!な?
ガスター 乱暴にジャック離す
ジャック ガスターをジェスチャーで馬鹿にしたあとスキップで右端に退場
ガスター仲間になだめられながら左端に退場
暗転2
ジャック スキップで左端から登場し中央へ
ナレーター
ジャックは懲りずに村のあちこちを回って嘘をつきました
ジャックから見て右の客席に向かって
ジャック(嘘つき少年)
狼がきたぞーー!
ジャックから見て中央の客席に向かって
ジャック(嘘つき少年)
羊が食われたぞーー!!
ジャック ジャックから見て左の客席に向かって何か言おうとする
客席の横からアンナ登場
アンナ
ジャック!!あなた自分が今なにしてるか分かってるの!?
アンナ 咎めるような手振りをしながら
アンナ
ガスターに聞いたわ。
村のみんなを全員嘘で混乱させるなんて!
もう誰もあなたのことなんて信用しないわ!馬鹿なことはやめて羊の世話をしなさい!!
ナレーター
ジャックはアンナの言葉を聞くと、プツンと何かが切れるような感覚を覚えました。
アンナ ナレーターの話してる間に早足で退場
ジャック(嘘つき少年)
なんだ。嘘を嘘だと笑い飛ばせないなんて、こんな小さな村で育ったからきっと器も小さくなっちゃったんだ。
ジャック(嘘つき少年)
こうなったらもう嘘を本当にしてやる。
人狼に殺されたフリをしてやろう。
でもルカが犯人扱いされて終わりなのはつまらないな。
よし、ルカより大きな靴跡をつけておいて、存在しない新犯人をみんなに探させよう!
暗転3
鶏の鳴き声流す(朝なので)
ジャックの衣装背を大きな爪三本で裂かれ血糊を垂らしたものに変える
ジャック舞台中央前で倒れている
アンナがそれを発見
(外を散策する用事に使いそうな小道具を持っているとなおいい)
アンナ
キャーーーー!!!!
アンナ ジャックに駆け寄り揺さぶりながら
アンナ
ジャック?!ジャック!!誰か!!
ガスター エリー ハロルド登場
後ろの方にルカついてくる
ガスター
アンナ…?ジャック!!血が!!!おい!!!おい!!!
ジャックを手のひらでべちべちしたりめちゃくちゃ揺さぶったりする
ジャック めっちゃ嫌そうな顔
(ジャックは客席の方を向いて倒れているのでガスターから顔が見えない)
アンナ
ガスター!みんな!
ジャックが…!この傷跡……!!
ガスター まだガタガタ揺さぶってる
ジャック倒れたまま次の台詞
ジャック(嘘つき少年)
いやゆさぶりすぎだわ!💢
またジャック目を閉じて死んだふり
後ろの方でルカ困惑
ガスターたちは気づいていない
ルカが喋り終わるまで他の人はサイレント(身振り手振りはする)
ルカ
えっ…今…
ルカ
今の誰の声…?
ルカ
えっジャッ…
ハロルドがそれを遮るように
ハロルド(アンナの弟)
ううっ…姉さん…。
血が流れすぎてるよ、ジャックはもう…
ガスター
この傷の大きさ!やっぱり本物の狼じゃないのか…?
エリー(ガスターの奥さん)
でもあなた!周りに狼の足跡なんてないじゃない!
可哀想なジャック…
ガスター
ガスター周りの人たちをかき分け黙って俯くルカの前へ
ガスター
狼の足跡がないのにこの爪痕、
血でよく見えないがこの出血量じゃきっと内臓は食いちぎられている…
ガスター
伝説ではお前の家が人狼の血を引くと言われている。俺の言いたいことは分かるな?
ルカ
えっ…
ルカ
ぼくは人狼じゃありません!!
伝説なんて絶対に嘘だ。
母も昔言っていました、うちの先祖は隣村の猟師を助けたことがあるって。
その時もらった狼の絨毯を外に干そうとした時見間違えられたんだろうって。
アンナ
ルカは違うに決まってるわ!前に私が山で足をくじいた時助けてくれたもの。
人狼ならきっとそこで私は食べられてしまっているわ!
ガスター
アンナまでこいつの味方をするのか!
どのみちルカで血は途切れるんだ。
人狼伝説に怯える必要もなくなるってわけだ。
エリー(ガスターの奥さん)
え??何が言いたいのよあなた!!!
どのみちって!??!
ハロルド(アンナの弟)
それよりこのままじゃジャックが可哀想です。
棺は隣村まで行かないと手に入りませんから、今はあの箱に入っていてもらいましょう。
ハロルド舞台端の棺サイズの箱を指差す
ガヤが声だけ登場
ガヤ(村人)
おい!!羊がやられた!!!まだ羊が丘に出されていないから不思議に思って羊小屋にいったら…!全滅だ!!!
ガスター