ストレリチア 1章「死神と死を告げる者」
- ストレリチア
- 1章「死神と死を告げる者」
-夜のストレリチア地区-
- 殺人事件が起きたから、街の警備をするのはわかります。けど、関係者の死人が出るなんてストレリチアじゃよくあることでしょう?
ジェンシャン
- クリムゾン様どう思います?
ジェンシャン
- 人死に自体は珍しくねぇよ
クリムゾン
- ただ、今回の人死には特別なんだ
クリムゾン
- 特別と言いますと?
ヘデラ
- 現場だよ。ストレリチア地区のほぼ真ん中だったろ
クリムゾン
- あー、これ見よがしに死んでましたよね!
ジェンシャン
- ストレリチア地区には夜でも構成員が目ぇ光らせてんだよ。警備の目をすり抜けて、しかも誰にも気付かれずに戦闘部の構成員殺すなんて、並の奴じゃできねぇ
クリムゾン
- クリムゾン様ここに住んで長いんですよね?今まで似たような事件なかったんですか?
ジェンシャン
- ねーよ。怪しい奴はストレリチアの警備がブラックボックスに連れてく。それがここの流儀だかんな
クリムゾン
- それ俺も何回か見たやつですね
ジェンシャン
- ですが…ここ数日中に連行された人間は、誰もいません
ヘデラ
- だろ?射殺事件の犯人が逃げた形跡どころか、目撃情報すらないってどういうことだ?
クリムゾン
- 中心部の広場は建物に囲まれていて、狙撃できるような場所でもないでしょう…
町内なら話は別かも知れませんが、だとしたらうまく入り込みすぎかと
ヘデラ
- ストレリチアが本部構えて20年、訓練した住民に紛れたってか?
クリムゾン
- 街中で、しかも銃で殺したんなら音しますよね
ジェンシャン
- それが誰も銃声なんざ聞いてねぇからな。それで情報部が今、死因を捜査してるってわけだ
クリムゾン
- 情報収集はプロに任せるのが一番ですんで、俺らは夜警ってわけですね
ジェンシャン
- そういうことだ。銃使ってくる相手なら、見えないところから来るかも知れねぇ。気を付けろよ。
クリムゾン
- 見えなきゃ気をつけようがないというか…
ジェンシャン
- 気配で感じ取るしかありませんね…。
ヘデラ
- 気配ねー
ジェンシャン
- くんくん!異常なしネ!
ルピナス
- ふああ……
ディアスシア
- あれ?ルピナスちゃん。こんな夜に出歩いてたら危ないよ。
ジェンシャン
- 違うネ!夜警ヨ!
ルピナス
- あたしは鼻が効くから、見回り組に抜擢されたのヨ!
ルピナス
- 狼になって、この町を見張るネ!
ルピナス
- アオーン!
ルピナス
- 狼になったら、むしろ撃たれないか?
ヘデラ
- かかってこいヨ!撃ってくれば場所がわかるから!
ルピナス
- ディアスシアは何なんだ
クリムゾン
- 僕も夜警。今日のために昼間にいっぱい寝ておいたんだけど、夜になるとやっぱり眠い…ような…
ディアスシア
- 眠くても良いけど仕事しろよな
クリムゾン
- んん…はぁい。怪しい奴を見つけたら、自分の魔法で捕まえてやるんだ。
ディアスシア
- 生け捕り頑張って、お互い気を付けようね。んじゃ!
ジェンシャン
- しばらくの見回りの後
- おっとルピナスちゃん、また会ったね
ジェンシャン
- こちら異常なしネ!
ルピナス
- 何よりだな。変な奴も見てないか?
クリムゾン
- おかしな臭いはしていないか?
ヘデラ
- そうネ…。くんくん…くんくん…
ルピナス
- !?
ジェンシャン
- <画像>
- あの茂みだ!一瞬光った!
ジェンシャン
- あっちネ!!
ルピナス
- ルピナスが狼に姿を変え、草むら目掛けて飛び込むと、銃を抱えた男が飛び出してきた。
- …!
- あんだテメェ?!撃たれてぇのか!
クリムゾン
- アイヤー!クリムゾン様下手なんだから撃たないで!!お座り!!
ジェンシャン
- 待てー!!
ルピナス
- ルピナス、応援を呼ぶんだ!
ヘデラ
- 任せて!アオーーーン!!!
ルピナス
- そら来た!待てーっ!
ディアスシア
- ルピナスの遠吠えが響くと、ディアスシアが現れ、いつもの眠たげな様子とは打って変わり自慢の足の速さで男を追いかける。
- くそっ…!早い…!
- 生えろ!ツタの葉!
ディアスシア
- ディアスシアが右手を振り上げると、地面から次々とツタが生い茂る。
- いけー!足を取るネ!
ルピナス
- 生えろ!かしの木!
ディアスシア
- 足を取られて速度の下がった男を目掛け、ディアスシアは人差し指で宙に一本、地から天へと筋を書き上げる。
- するとかしの木が生えてきて、すっぽりと男の体を包んでしまった。
- うわっ…!
- 木に埋まったな。もう逃げられないぞ
ディアスシア
- すげぇな。完璧な生け捕りだ
クリムゾン
- くっ、木なら燃やせばいい…!
- うん、そうだね。やってみたら?
ディアスシア
- 燃やし尽くせ…!
- ……何だこの木は?!燃えない…!
- その木ね、魔力を栄養に成長するから、魔法は使うだけ無駄だよ
ディアスシア
- わぁホントに完璧仕様…
ジェンシャン
- で、ここからどうするネ?
ルピナス
- 朝まで晒し者でいいだろ。そのうちシュエットが来る
クリムゾン
-朝-
- やあ、お手柄だ。ディアスシア
シュエット(若)
- えへへ
ディアスシア
- 若!あたしも応援呼んだネ!
ルピナス
- ジェンシャン撃たれかけたんだろ?
よく避けたな…
クリムゾン
- 普段からクリムゾン様の下手くそショット避けてますからね。訓練しててよかった〜
ジェンシャン
- バカにされてる気がするな……とにかく無事で良かったよ
クリムゾン
- んで、コイツはどうすんだ?
クリムゾン
- もちろん武器は回収させてもらう。その上で吐くこと吐いてもらうよ
シュエット(若)
- さて、ディアスシア。適度に痛めつけてやってくれ。知ってる事を話したくなるようにしてあげるんだ
シュエット(若)
- はぁい。任せてください…むにゃ
ディアスシア
- ……大丈夫かよアイツで
クリムゾン
- ディアは根は真面目ヨ!大丈夫!
ルピナス
- そうなんだ?眠そうなイメージしかなかったよ。真面目に見えたことないなぁ
ジェンシャン
- お前には絶対言われたかねーセリフだな
クリムゾン
- -続-