支援型ロボット YU-KI
乃木坂46 与田祐希
- この光景を何回見たことか
YU-KI
- 家で少女がコンセントに繋がれている光景を
YU-KI
- 赤ん坊のような横顔
YU-KI
- サラサラとした髪の毛
YU-KI
- 華奢な体
YU-KI
- ……
YU-KI
- そして少女は目を覚ます
YU-KI
- システムオールグリーン
YU-KI
- おはようございます
YU-KI
- おはようユウキ
〇〇
- 疲労度73%、水分70%、体温38.5℃
YU-KI
- どこか調子が悪いのですか?
YU-KI
- 彼女は人間じゃない
YU-KI
- 大丈夫だよ
〇〇
- 脈拍僅かに上昇
YU-KI
- 嘘はいけません
YU-KI
- 支援型ロボット
YU-KI
- ………
YU-KI
- 本日の日程を全てキャンセルしました
YU-KI
- 今日はお休みください
YU-KI
- YU-KI
YU-KI
- 〇〇様、朝食です
YU-KI
- ありがと
〇〇
- それと様じゃなくて呼びつけでいいよ
〇〇
- そう言われましてもプログラムされてますので
YU-KI
- ふーん
〇〇
- そのプログラムは変更とか出来ないの?
〇〇
- 可能です
YU-KI
- じゃあ今から僕のことを呼びつけで呼ぶこと!
〇〇
- システムアップデートしました
YU-KI
- 朝食ですが
YU-KI
- 生姜をたくさん入れました
YU-KI
- あとはハチミツも
YU-KI
- ただ一つ普通のロボットとは違う点がある
YU-KI
- 現時点で私が作れる最高のお粥です
YU-KI
- 成長する、ということ
YU-KI
- 昨日より今日、今日より明日
YU-KI
- 日々彼女は成長する
YU-KI
- ありがとう
〇〇
- うん、昨日よりマシだ
〇〇
- いかがでしょうか?
YU-KI
- おいしいよ
〇〇
- 脳波に僅かな数値変化
YU-KI
- お世辞でも嬉しいです
YU-KI
- ははっ…流石にバレちゃうか
〇〇
- でもおいしいのはたしかだよ
〇〇
- ………
YU-KI
- こちらお薬です
YU-KI
- ん、ありがと
〇〇
- 渡された薬を手に取り口に放り込む
YU-KI
- それではごゆっくりお休み下さい
YU-KI
- あ、ユウキ!
〇〇
- はい
YU-KI
- 日曜日ってなんか予定あるかな?
〇〇
- 20時から御友人と御食事となっております
YU-KI
- それ、キャンセルね
〇〇
- 急用でもできたのですか?
YU-KI
- うん、久しぶりに羽を伸ばそうと思ってね
〇〇
- かしこまりました
YU-KI
- たまには外の空気を吸ってみたくない?
〇〇
- なぜ疑問なのですか?
YU-KI
- ……
YU-KI
- 私はロボットですので分かりません
YU-KI
- じゃあユウキも外出てみようよ
〇〇
- 〇〇が行きたいのであれば
YU-KI
- 行きたい場所とかある?
〇〇
- ないです
YU-KI
- 〇〇に着いていくだけですので
YU-KI
- そ…そうだね
〇〇
- じゃあ……
〇〇
- 初めてだよね?
〇〇
- はい…
YU-KI
- どう?
〇〇
- 僕ね、この観覧車から見える夜景が好きなんだ
〇〇
- 嫌なことも悩みも忘れられる
〇〇
- 僕のお気に入りの場所
〇〇
- ねぇユウキ?
〇〇
- はい
YU-KI
- なんで人間には心があると思う?
〇〇
- それは私には答えられません
YU-KI
- 私はロボット、心を持ちません
YU-KI
- なので〇〇の質問には答えられません
YU-KI
- 淡々と答えるね笑
〇〇
- いつか君にも心が芽生えたりするかもしれないよ?
〇〇
- なんせ君は成長するロボットなんだから
〇〇
- 私の成長は技術のみです
YU-KI
- 精神面での成長はありません
YU-KI
- でもね、成長には心が大きく関係するんだよ
〇〇
- ……
YU-KI
- ゴンドラが頂上に達すると同時に24時を告げる鐘が鳴る
〇〇
- 日付変わったし帰ろうか
〇〇
- はい
YU-KI
- ねぇユウキ?
〇〇
- なんですか?
YU-KI
- 初めて見た夜の景色はどうだい?
〇〇
- ………
YU-KI
- とても綺麗だと思います
YU-KI
- ふふ…
〇〇
- そっかそっか!
〇〇
- なぜ嬉しそうなのですか?
YU-KI
- なんでだろうね笑
〇〇
- 綺麗だと″思う″か
〇〇
- 僕にもよく分かんないや笑
〇〇
- 日々彼女は成長する
〇〇
- 昨日より今日、今日より明日
〇〇
- さて、明日はどんな成長を見せてくれるかな……?
〇〇
- 支援型ロボット
〇〇
- YU-KI
〇〇