あなたは誰か?(6)
最終話
- 一ヶ月が経過した時
- 正一さんに言わなければ
ならないことがあります
玲子
- はい?
正一
- つまみ食いとか?
正一
- なんで知ってるんですか!
玲子
- いやーこそっと
正一
- って! そっちじゃなくてもっと重要なことです!
玲子
- えぇ
正一
- 私がここに来た理由です
玲子
- 都会からここに来たのではなく?
正一
- 大学生の夏休みとして
正一
- それもありますけど、
玲子
- はっきり言います
玲子
- 正一さんに会っていただきたい人がいるんです!
玲子
- 玲子さん、それ告白ですか?
正一
- ご両親にですか?
正一
- ちーがーいーまーす!
玲子
- 私はあなたの・・・
玲子
- 正一さんのおじいさまの奥さんである祖母の姉妹の妹のそのまた娘の子供で
玲子
- はい?
正一
- 分かりやすく言うと
玲子
- 祖母が会いたがっていて
玲子
- 祖母?
正一
- そのおじいさんが、奥さんだった祖母が再婚したので
玲子
- 祖母はこの人では無く前妻の?
正一
- なんていうのかな、祖父が戦争行って通知が来てもう返ってくることがないと離縁したことになり縁談を受け入れ再婚し遺産相続の調査で家系を調べたら祖父はなんと孫がいたことが分かり私が調査しに来たということです
玲子
- ますますわからん
正一
- カランカラン
- 玲、おまたせ
玲子の祖母の姉
- ババァーン
- イタリア帰りのものだから
玲子の祖母の姉
- この人が私の祖母の姉である美優おばあちゃんです正一さんのお婆さんという関係です
玲子
- 正一さんとは、血の繋がりはないですけど
玲子
- 押し付けがましくてごめんなさいね
玲子の祖母の姉
- あなたが、賢治さんのお孫さんね
玲子の祖母の姉
- パニックになってる
正一
- えっあっはい!
正一
- そりゃあこんな前妻の祖母らしき人が来店してきたら驚くだろう
正一
- 天涯孤独の身なのに
正一
- 父も母も交通事故で祖父は去年に
正一
- 一人っ子で育った俺にとって怒涛の展開でしかなかった
正一
- 美優さんは、イタリア帰りというのは?
正一
- それは
玲子
- 玲ちゃん、ありがとう私が説明するから
玲子の祖母の姉
- はじめまして、正一さん。旅行会社の社長をしています。宮森美優と申します
玲子の祖母の姉
- アグレッシブおばあちゃんだった
正一
- 道理で凄そうなオーラが出ているし、イタリア帰りだから黒いスーツで背筋を伸ばしてキリッとしている人だというべきか
正一
- まぁ美優お婆ちゃんは嵐のような人です
玲子
- 本当はあなたのお祖父様、賢治さんに会いたかったけど入院していたもので会うことは叶わなかった
玲子の祖母の姉
- ごめんね美優お婆ちゃんは、もっと早くに探せていたら
玲子
- 玲子さん、美優さん実は見て頂きたいものがありまして
正一
- えっ
玲子の祖母の姉
- ?
玲子
- 祖父の遺品です
正一
- 手紙?
玲子の祖母の姉
- どうぞ
正一
- 美優へ
結婚おめでとう
終わるかどうかわからないから、せめて君が一人になった時、誰か信頼できる人に託せるように彼を選び頼みました。あの誤った通知のせいで別々の道に進むことになった今でも忘れることなく大事に思っています。私も長いこと生きました。養子を引き取り、孫も生まれました。あなたが再婚し幸せに生きているのなら私は遠くからあなたを見守っていました。手紙を書いて決してあなたに届くことはないと知りながら。長年これで良かったのだと自分に言い聞かせながら
ニット帽子
- うちの主人は賢治の友人でした
玲子の祖母の姉
- ・・・
玲子
- 祖父は去年居なくなったら、この手紙を燃やして欲しいと言っていました
正一
- あと日記も
正一
- どの手紙や日記を見ても、美優さんを書いていました
正一
- 幸せになって欲しいことと、後悔との言葉で
正一
- バカな人・・・
玲子の祖母の姉
- 全部、全部を知っていたの
玲子の祖母の姉
- あの人不器用なところがあるから
玲子の祖母の姉
- 届かない手紙届いて良かったです
正一
- 私の役目も果たすことが出来たわ
玲子
- 正一さんに早く言いたかったけど混乱すると思ったから
玲子
- まぁ混乱します
正一
- せっかくですから、紅茶お持ちします
正一
- その手紙を読みながら祖母の話とか
正一
- えぇ
玲子の祖母の姉
- ♪
玲子