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ひとり劇場

隊長と大和(天華百剣)

大和の新撰組衣装が来るので作った 天華百剣

…ある夜…
真志
……
今頭を悩ませいるこの男は、「お花見集」直轄のめいじ館の巫剣使い、名は「真志」という
真志
大和…
そう、真志を悩ませていたのは最近、明治館に入隊してきた巫剣、「大和守安定」…略して「大和」の仕業であった
真志
「大和」…「大和守安定」…あの鉄と戦場を共にした巫剣…
入隊してきたばかりの大和は、やる気がなく、結束力もなく…で同じ隊になった巫剣から苦情がくる始末だった…
ある騒動のあと、真志はなんとか大和と絆を紡んだ…そのおかげか、他の巫剣からの苦情も減った
大和はそれ以降、真志に対する態度が大きく変わった…どう変わったかと言うと…
大和
隊長さーんっ!一緒にお酒飲みましょう?
真志
ん、ああ、行こうか大和
大和
フフ♪流石隊長さんは付き合いが良いですね
大和が積極的に真志に接触する様になった事である……
大和
フフ♪お酒…美味しいですね?
真志
いや〜本当にそうだよなぁ
大和
ですよねぇ〜
俺の言葉に相槌をし、酒を上品に飲む大和…正直に言うと似合っている
真志
……
俺はそんな大和を見て微笑みながら酒を飲む…だが俺はそんな事をする為にノコノコ付いていった訳ではない…
疑問に思っていた事を聞く為に、俺は付いて来たのだ、である為…早速話しを切り出す
真志
なあ大和
大和
おや?なんでしょうか?
真志
今日は俺と大和の差しで呑んでいる訳だが…虎徹は誘わなかったのか?
大和
…今日はそんな気分じゃなかったんですよ、局長を交えちゃうと話せない事もありますし
真志
…?話せない事?
大和
やはりそこに食いつきはりましたか…
真志
そりゃ気になるしな
俺が大和の問いに答えると、大和は先程の上品な呑み方をせず、勢いよく酒を呑んだ
大和
隊長はんっ!
その後大和は俺に顔を急に近づけた
真志
や、大和?
すると大和は…
大和
隊長はん…わての…私だけの巫剣使いになって下さい…ダメですか?
真志
……
……こういう風に他の巫剣に言われた事は少なくはない…だが俺は明治館の巫剣使い…もとい巫剣達の隊長だ、誰かの一人になる…なんて事は出来ない
真志
大和…俺は、誰かの一人にはなれない
大和
…ええ…わかっています…意地悪でしたね私…すいません
真志
大和…
長い沈黙の後…俯いていた大和が顔をあげた
大和
じゃあ…隊長さんにとっての一番には…なれますか?
真志
…え?…それは…俺が一番に信頼を置く巫剣になりたい…って事か?
大和
はい…
その言葉に俺は驚愕した、あの大和がだぞ!?鉄にべっとりだったあの大和が何だ!?
俺の「大和だけの巫剣使いになって欲しい」だとか、「俺の一番」になりたいだとか…
真志
おいおい大和、そんな事言って…虎徹はどうしたんだ?
驚きすぎてついついしたり顔で冗談を言って茶化してしまった
大和
隊長はん…
真志
や…大和?
その時、空気が変わった…そして大和の俺を見る眼が変わった
大和
わては本気やで?隊長はん?そう冗談で誤魔化されると…困ります
あの眼は、いつも虎徹に向けている眼と同じだ…どういう事だ?何があった?俺は大和に何かした覚えはないぞ!?
真志
大和…変だぞ?何か焦ってないか?
大和
ッ…!?…フッ…フフッ…フフフフッ
図星…だったのか?俺の言葉が刺さったのか大和は急に狂ったように笑いだした
真志
大和?
大和
フフッ…やっぱり隊長はんは手ごわいわぁ…
真志
なッ!?やっぱり俺をっ
大和
いいえ…わては本気です、やけど…そうやねぇ…柄にもない事、するもんじゃ無かったですね…
真志
大和?
大和
隊長さん、今日は…ありがとうございました
そう言うと大和は去って行ってしまった…
真志
大和…
気が動転していたのか、自分が呑んだ分のお金を払わずに…
大和
あぁッ、もう!バカバカバカだ!
私は自分の枕に顔を埋めた
大和
はあ…やらかしたわぁ…距離感間違えてもうた……はあ…
言っちゃったなあ…局長の事がどうでもよくなった訳ではないけど…隊長さんの事が気になっているのは事実…なんですよね…
大和
自分で思うけど…悪い女やな…ほんま
最初こそ局長に近づかれない様にする為に隊長さんを誑かそうしてただけなのに…そうしている内にどんどん隊長さんの事が気になってゆく私がいた…
隊長さんと局長…大事なのはどっち?と聞かれたら…昔は局長と食い気味に言えただろう…でも…今は?
大和
…はあ…
…気がつくとため息が増えている私がいる…隊長さんの事を想うといつもこうだ…局長を想う時はこうはならない
大和
隊長はん…わての事嫌いにならないで欲しい…
私が一人で物思いに耽っていると、ノックがなった
真志
大和?いるか?
…ッ!?隊長はん!?
あ、いけない…にやけた顔を元に戻す、こんな無様な姿、隊長さんには見せられない…
大和
いますよ〜どうぞー
私は平静を装って隊長さんに入室の許可をだす…。
あ、そういえばお金置いてくの忘れてた…謝らないと…
真志
失礼する…
大和
あ、…その…さっきはすいません
真志
ん?全然気にしてないぞ?酒も奢りでいいさ
大和
あ…そうですか、それでどんな御用でしょうか?
真志
あの話…俺は真剣に考えてみたんだ、それで結果が出たから大和に話に来た
え?私の言葉を真剣に考えてくれたの?
私は固唾を呑んで話の続きを聞いた
真志
俺はな?大和、お前の事を勘違いしてたみたいなんだ、てっきり俺は大和は虎徹の事が好きで、俺なんか眼中に無いと考えていたんだ
そりゃそうですよ、最初は…そうでしたし…でも今は…少し…違うんですよ?
真志
あの時…大和は本気で想いをぶつけてくれてた…それを俺は察せられなくて、挙句に大和の真剣な想いを茶化した
真志
すまなかったな…大和…
いいえ…いいえ違います隊長さん悪いのは私です…隊長さんが謝る事は無いんです…
真志
それでな…俺も真剣に考えて答えを出した…それを聞いてくれるか?大和
怖い…答えを聞くのが怖い…もうっ…しっかりしなさい私っ…こんなの柄じゃ無いっ!
大和
あ…はい…聞きます、聞かせてください
私は勇気を出して答えを聞いた…そうしたら
真志
俺も…大和の事が好きだ…正直に言ってな
大和
…まじですか?それ?え?
言われると思っていなかった言葉につい驚いてしまった
真志
ハハッ…マジだ、俺はな大和、お前に一目惚れだっ!
大和
ひ、一目惚れ…て…そんな…
一目惚れ!?ええぇ!?私なんかに!?
真志
本当だ、だからこそさ…お前が虎徹に夢中で、何も脈が無さそうで…「ああ俺の恋早くも終わった」…なんて思ったよ
大和
……
真志
だから、あの時…大和に想いをぶつけられて、混乱してしまった
真志
俺は「誰かの一人にはなれない」と言ったが、それは俺の甲斐性のなさが生んだ逃げの言葉だ
真志
だからもう一回言わせて欲しい
大和
隊長はん…?
真志
大和…お前が好きだ
大和
…ッッ!
涙が溢れそうだ…必死に耐えてはいるが…限界が近くなってくる…隊長さん…私も…
大和
私も…隊長…さん…の…ことが…
真志
うん?
大和
…す…好きですっ!!好きなんです!!局長よりずっと!!…ずっうっと…ずうっと…好き…です
感情が爆発し、涙を流してしまった…
真志
大和…
隊長さんが涙を流す私を優しく抱きしめてくれる…暖かい…そういえばこんな事されたの久しぶりだなぁ…
ああ…あかん…涙…止まらへんわ…
真志
よしよし…
大和
隊長…はん…わてを離さない…で…
真志
離さないさ…大和が泣き止んでも…せっかく捕まえたんだから…な?
大和
ううぅ…ばかぁ…そんな事言われたら…
真志
また泣く?
隊長さんの暖かさを感じながら、私はわんわんと泣いた、泣くのも久しぶりで、この後何を言ったか分からない…が、恐らく相当恥ずかしい事を言ったに違いない
大和
う…うぅ…隊長…はん?
いない…?一緒にいた隊長さんが居ない!?あれは夢だったの!?
大和
そんなこと…
私は雷の如く身支度を整え、隊長さんが居るはずの執務室に足速に向かう
執務室の前に立つと、何故か体が動かない…手が震えてしまい、ドアを握る力が出ないのだ
大和
あ、あれ?
不安…なんだ…あれが夢だったら…せっかく隊長さんと…好き同士になれたのに…
大和
おかしいなぁ…なんで…?
私がドアの前で固まっていると
真志
おお?大和、早いな
大和
ッ!?隊長さん!?
真志
おはよう
大和
お、おはようございます!
真志
昨日はよく寝れたか?あの後気を失ったぐらい寝入ってたけど
大和
…え?あの後って?
真志
え?覚えてないのか?せっかくお互いの気持ちが通ったなぁっと思っていたのにな
大和
…それって…夢じゃ無い…って事ですか?
真志
…夢と勘違いしていたのか?あれは、現実だぞ?
大和
…マジですか?
真志
ああ、マジ…さ
大和
…隊長さーん!!
真志
うわあ!?大和?
私は歓喜あまって隊長さんに抱きついた…こんな事して、隊長さんが困っちゃうけど…もうしばらく、このままで居たいな…いや…ずっとこのままで居たい…隊長さんを感じて…一緒に戦って…いつか死ぬまで…ずうっと…
隊長と大和 完

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投稿日時:2018-12-31 18:28
投稿者:真志
閲覧数:1

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