東方韻踏唄
『ヒプノシスマイク×東方project』初夜襲です。
- 某日━━
夢野幻太郎
- やれやれ…小生達が乱数の所に呼ばれるのはよくあったけれど…
夢野幻太郎
- ここが幻太郎の仕事場かぁ!すごく綺麗なところだねっ!
飴村乱数
- 本当にな。作家の部屋ってもっとゴチャッとしてるイメージがあったけど…
有栖川帝統
- 小生の仕事場に乗り込まれるのは流石に初めてですよ。
夢野幻太郎
- あれ?もしかして幻太郎怒ってる?
飴村乱数
- 怒ってはいませんよ。どちらかと言えば呆れてますけど。
夢野幻太郎
- 悪ぃな幻太郎、乱数が行くって聞かなくてよ。こいつ一人で来るくらいなら、俺もついてったほうがまあマシだろ?
有栖川帝統
- どっちもどっちですけどね。まあいいでしょう。
夢野幻太郎
- そうですね…
折角麿の屋敷に来たのじゃ。
ここは一つ、余の昔話でも聞いてくれたまへ?
夢野幻太郎
- 本当!?やったー!幻太郎のお話、一回聞きたかったんだー!
飴村乱数
- へぇ、珍しいな。お前がそんなことしてくれるの。
有栖川帝統
- 最近、ちょっと面白いことがありましてね。小説の題材にする前に、話しておきたいと思いまして。
夢野幻太郎
- それじゃあ早く聞かせてよっ!なにかななにかな~?
飴村乱数
- では早速…。
夢野幻太郎
- ……あれは小生が題材探しに、少し旅行に行っていた時の話です。
夢野幻太郎
- ━━━━━━━━━━━━
夢野幻太郎
- ━━ある山道を歩いていた時だった。いつの間にか、周りの景色が明らかに変わっていたのだ。そして気付いた時には…小生は『そこ』にいた。
夢野幻太郎
- …ここは一体…!?
夢野幻太郎
- ━━不意に、足元からがらりと音がした。よく見てみれば…それは骸骨だったんだ。それも一つや二つではない。辺り一面が骸骨で埋め尽くされていた。
後から聞いた話では、それは無縁塚と言うらしい。『その場所』に迷いこんでしまった者の成れの果て━━それがここだった。
夢野幻太郎
- ━━━━━━━━━━━━
飴村乱数
- …幻太郎。これってもしかして、ホラー?
飴村乱数
- な、な、なんだ乱数、らしくねぇな。こ、こ、恐かったり、するのか?
有栖川帝統
- そういう帝統こそ、随分と動揺してらっしゃいますよ?
夢野幻太郎
- ビビビビビってなんかねーし!?平常運転だし!?
有栖川帝統
- …まあいいでしょう。続けますよ。
夢野幻太郎
- ━━━━━━━━━━━━
夢野幻太郎
- 不思議と、小生は恐怖を感じなかった。ただ漠然と、ここが小生の終わりかと、そう思った。……だけど、結局はそれは終わりではなかった。何故なら…。
夢野幻太郎
- さぁ~て、今日はどんな掘り出し物があるのかなっと…お?
霧雨魔理沙
- ……貴女は……?
夢野幻太郎
- なんだ…?また外の人間か?
霧雨魔理沙
- 実際、危なかったところらしい。どうもこの辺りには妖怪が多く、並の人間では食い殺されてしまっていたようだ。
夢野幻太郎
- そこは、妖や神々が暮らす郷━━幻想郷、と呼ぶそうだ。
夢野幻太郎
- ━━━━━━━━━━━━
飴村乱数
- 幻想郷!なんだかとっても楽しそうなところだねっ!
飴村乱数
- そうか…?妖怪が闊歩するっていうのは普通にヤバイんじゃ?
有栖川帝統
- おや、意外ですね。帝統ならこういった苦境は好きそうだと思ったのですが。
夢野幻太郎
- 俺が好きなのはギリギリのギャンブル。そういう所に無闇に足を突っ込むのはギャンブルじゃないだろ。
まあ、興味がねーってのは、嘘になるが。
有栖川帝統
- ふむ…まあ、そんなこともありますか。
夢野幻太郎
- ━━━━━━━━━━━━
夢野幻太郎
- 命拾いをした小生は、その女の子━━霧雨魔理沙というらしい━━に案内され、人間が住む里に案内された。ここまで来れば、ひとまずは大丈夫らしい。
夢野幻太郎
- そこからの経験は、驚きの連続さ。幻想郷で行われる教育を見に行ったり…
夢野幻太郎
- 幻想郷の歴史は、このようになっている。特に重要なのは……
上白沢慧音
- ……ふむ。とても興味深いですね…しかし。
何故生徒はこんなにも寝ているのだろうか…?
夢野幻太郎
- 鴉天狗の新聞記者にインタビューをされる、なんてこともあった。
夢野幻太郎
- じゃあまず、年齢を教えてくれるかな?
射命丸文
- 24歳です。
夢野幻太郎
- もう働いてるの?
射命丸文
- 作家です。
夢野幻太郎
- 作家、あっ…(察し)
射命丸文
- …? なにか?
夢野幻太郎
- しかし特に驚いたのは、その文化だ。
この世界では、なにかトラブルや争い事があった時に雌雄を決めるルールがあるという。それは…
夢野幻太郎
- ━━━━━━━━━━━━
有栖川帝統
- ギャンブルか!?(ガタッ)
有栖川帝統
- 帝統、座っててください。
夢野幻太郎
- (スチャッ)
有栖川帝統
- んー、僕たちの所でいう、テリトリーバトルみたいなもの?
飴村乱数
- まあ、そういうところです。補足しておくと、遊びとしてはギャンブルはありました。花札とかはありましたかね…。
夢野幻太郎
- やっぱりあるんだなっ!?(ガタッ)
有栖川帝統
- ステイ。
夢野幻太郎
- (スチャッ)
有栖川帝統
- あそこで行われていたのは、『弾幕ごっこ』というものです。
その名の通り、弾幕を形成し、それをかわしあって戦う。そういったものでした。
夢野幻太郎
- へーぇ!面白そうだけど、思ったより平和的解決ではないね。
飴村乱数
- ヒプノシスマイクも相当物騒だけどな?
有栖川帝統
- こうでもしないと、多種多様の妖怪が共存など出来ないのでしょう。
そして小生は、そのルールを司る者の一人と出会いました。それも、思わぬ形で。
夢野幻太郎
- ━━━━━━━━━━━━
夢野幻太郎
- それは、幻想郷の文化について大体を学べたある日のことだった。
夢野幻太郎
- …あなたね?最近迷いこんで来た外の世界の人間は。
博麗霊夢
- …ふむ。確かに、小生がそうだが。君は?
夢野幻太郎
- 私は博麗霊夢。単刀直入に言うわ。あなたを外の世界に返そうと思うの。
博麗霊夢
- …どうやら幻想郷というのは、結界によって外の世界から認知されないようになっており、たまたま小生が来たときにその結界が揺らぎ、迷いこんでしまった…というらしい。
夢野幻太郎
- そして、これ以上いられるのも困るので、さっさと帰ってほしいそうだ。もっと言えば、帰してもらえるだけありがたいと思え…とも。
夢野幻太郎
- 小生にも多少の心残りはあったが、あちらにはあちらの規則があり、世界がある。小生は特に迷いもなく、出ていくことを選んだ。
こうして、幻想郷に別れを告げた小生は、シブヤへと帰っていったんだ。
夢野幻太郎
- ━━━━━━━━━━━━
夢野幻太郎
- ━━というのが、小生がこの前体験した不思議な体験さ。
夢野幻太郎
- まぁ。全部、嘘だけどね?
夢野幻太郎
- そりゃあそうだ!そんな怪談だか童話みたいな話、現実であるわけないだろ?
有栖川帝統
- でも…とっても面白かった!幻想的で、きれいな世界観で…それでいて、嘘だなんて思えないリアリティーがあったよ!流石だね、幻太郎!
飴村乱数
- それはどうも。
夢野幻太郎
- はー楽しかった!僕満足!それじゃ、お邪魔してごめんねっ!そろそろ帰らせてもらうよ!
飴村乱数
- おい、もう帰るのかよ?
有栖川帝統
- …といいつつ、結構な時間が経ってますよ?
夢野幻太郎
- …お、マジだ。んじゃあ、俺も帰るとすっかな…
有栖川帝統
- じゃあね!幻太郎!今日はありがとー!
飴村乱数
- 気を付けて。
さて、小生も執筆に取りかかるとするか…
夢野幻太郎
- おう、頑張れよ!じゃーなー!
有栖川帝統
- へへっ!じゃあいこっか帝統…あれっ?
飴村乱数
- なんだろう、この新聞…見たことないけど…
あっ!
飴村乱数
- 『文々。新聞 号外』
【外の世界のホラ吹き小説家、独占取材】
飴村乱数
- どうしたよ、乱数?
有栖川帝統
- ……なんでもないよっ!はやくいこっ!
飴村乱数
- (……よかったね、幻太郎。面白いことがあって)
飴村乱数
- ━━━━━━━━━━━━
夢野幻太郎
- 二重背反、なんて言葉もありますが。
『小生は嘘つきである』、なんて言ってしまえば、何が嘘かなんてことは、誰にも解らない。
夢野幻太郎
- さて、今回のお話…
どこまでが嘘で、どこまでが本当なんだろうね?
夢野幻太郎