博士の成長
- ほうほう、これはこう書くと…
博士
- そしてこれは横横縦横横縦…
ななめななめよこ…
博士
- 博士、なにを見てるのですか
助手
- !な、なんでもないのですよ助手
博士
- ん?なんか隠しましたか?
助手
- 隠してないのです!
博士
- なら、背中に隠してるその手を見せてほしいのです
助手
- い、いやなのです…
博士
- え?
助手
- いやなのです!!
博士
- …そうですか
じゃあ、その本は忘れることにするのです
助手
- (助手が飛び去る音)
助手
- ふぅーっ…焦ったのです…
博士
- でも、この本
絶対調べられるのです…
博士
- ……
博士
- あ、あそこなら…
博士
- 図書館の裏
- よいしょっ、よいしょっ、と
…ここなら絶対バレないのです…
博士
- (本を埋める音)
博士
- これだけはまだ助手にみせてはいけないので…
博士
- …
助手
- (シーン切り替え)
博士
- 夜
- zzz…
博士
- よし、ぐっすり寝てるのです
助手
- 図書館の裏
- えーと、たしかここだったはず
助手
- 本を埋めて隠すとは、なかなか博士もかしこいのです
助手
- よいしょっ、よいしょっ
助手
- (掘り起こす音)
助手
- お、あったのです
助手
- ほっ、さて、これはいったいなんなのでしょうか…
……………
助手
- なんだ、私が漢字勉強に使ってる辞典じゃないですか
助手
- ん、なんで熱海のページに付箋が…
助手
- …ま、いいか、汚れたら困るし、本棚に戻しておこう
助手
- 次の日
- えっ!?
博士
- 博士、どうしたのですか
助手
- な、なんでここに…?
博士
- あ、その本ですか
助手
- え…ま、まさか助手、聞いてたのですか…?
博士
- 私が博士の隠し事を見逃すとでも?
助手
- さて、なんでこの辞典を隠したりしたのですか?
助手
- 実はそれを使ってかんじのべんきょーをしてたのです…
博士
- 隠したのは助手も含めたすべてのフレンズたちに私はべんきょーしなくても賢い長だと思ってもらうために秘密裏にべんきょーしてたのですが、バレてしまって思わず…
博士
- ……
助手
- 長らしくなりましたね、博士
助手
- え?
でも私はまだかんじを…
博士
- 博士はいままでかばんがつくるカレーを食べて本を読んで寝るといった生活をしてきました
助手
- 当然それだけでは長らしくなく、むしろかばんがリーダーにふさわしくなっていたのです
助手
- でも、博士はそれに気付かずに甘えてたのです、かばんの作るカレーをむさぼって口を汚して、片付けるのもかばんで…
助手
- 『博士は』…?助手も同じなのではn
博士
- そんなかばんに甘えすぎてた自分にやっときづき、かんじを覚えようとしたということなのですよね?
助手
- …そうなのです、我々はいまだかばんにあれやれやらこれやれやらと面倒を押し付け、甘えていたのです
博士
- でもそれはもうやめにすることに決めたのです
博士
- かばん甘えを克服するために、そして長らしくなるために私はかんじを覚えることにしたのです。
博士
- 普通のフレンズにできないことができて、尚且つりーだーしっぷもある、そんな長に
博士
- その気持ちが本当なら、今の博士はいままでの博士とはもう違うのですよ
助手
- 自分の過ちに気づけるということは、自分の成長に一歩踏み出せたということなのですから
助手
- 助手…
博士
- それに、努力は隠す必要なんかないのです
助手
- なにもしなくても賢いフレンズなんていません、あなたも私も、そしてあのかばんも
助手
- だから私は漢字をマスターした博士に『フレンズはみんながみんな完璧じゃないのです、頑張って努力して、踏ん張って我慢して、振り絞って成長の壁を乗り越えたら私のようになれるのですよ』と
助手
- そう言ってほしいのです
助手
- …
博士
- 私は博士が長らしく成長していくことがなにより嬉しいので
助手
- さて、すこし博士にお話したいことがあるのです、テーブルの方に
助手
- シーン切り替え
助手
- 実は私、あの本を知ってたのです
助手
- え!?
も、もう知ってたのですか!?
博士
- はい、ある日掃除をしてたら、興味深い本を見つけたのです、それが博士が使ってる『ようちえんじからわかる!!かんじのじてん!』だったのです
助手
- そうだったのですか…
博士
- それから私はその辞典を毎日毎日読んで、紙に書いて書けるようになったり…読むことができたり…
助手
- ん…待つのです!
博士
- ん?
助手
- ということは…助手、まさか…
博士
- 私より先に漢字を覚えたのですか!?
博士
- ええ、まあ
助手
- んなっ…
博士
- まさか私の右腕である助手に負けるとは…
博士
- 長としてはずかしいのです…
博士
- ……(微笑む)
助手
- 博士、本題にはいるのです
助手
- 私は博士の事情を知ってからいっしょに勉強したらもっと賢くなれるかもと思ったのです
助手
- だから、いっしょに漢字の勉強して、いっしょに賢くなるのはどうなのでしょうか
助手
- え?
博士
- 賢いひとつに賢いひとつを重ねたら賢いが二倍になるのです
助手
- ?
博士
- まぁ、要するにいっしょに勉強したらいまよりもっとすごく賢くなれると私は踏んでるのです
助手
- なるほど…
博士
- どうですか、やるですか、やらないですか?
助手
- 私はどちらでも構わないのですよ、けど、いま逃げたらまたかばんに甘えることになるのです
助手
- ….やるです…
博士
- なんですか?
助手
- やるです!!
博士
- …その返事を待ってたのです
助手
- では、私は辞典と紙とペンをもってくるので、博士はテーブルを中に戻してください
助手
- わかったのです!
博士
- 準備完了
助手
- やれますね、博士
助手
- いつでもどんと来いなのですよ助手!
博士
- では、漢字勉強スタートなのです!
助手
- 終わり