ひとり劇場

ある夏の日

初投稿です。

あふれかえる夏が僕を襲って
どうしようもない僕は
明日なんてくそくらえと空をけとばした
ーーーーーーー
僕のからだがフェンスを離れて
宙になげだされた瞬間、瞬間、瞬間、
高嶺さん
空でも飛びたいの?
ああ 彼女はいつも僕の邪魔をする
手、離してくれないかな
高嶺さん
君に翼があるようには見えないけど
彼女が不敵にほほえんだ
自殺志願者の腕をつかむなんて、
君はどうかしてるよ
高嶺さん
自殺なんて馬鹿なことする君も
どうかしてるよ
彼女の華奢な腕が僕をひっぱりあげた
前、ラムネの瓶より重いものは持てない
って言ってなかったっけ?
高嶺さん
あれ、そうだった?
駄目だよ、今さら誤魔化したって
高嶺さん
か弱い乙女にこんなことさせる君が
悪いんでしょ
誰も自殺を止めてくれだなんて
言ってない
高嶺さん
君に死んでほしくないもの
屋上で彼女はやっと僕の手を離した
高嶺さん
どう?この世界に戻った感想は?
不思議な気分だよ
ついさっきまで生と死の丁度真ん中に
いたわけだから
高嶺さん
私のおかげね
君のせいで僕はなかなか死ねないよ
高嶺さん
私は君が生きててくれて嬉しい
そう、それはよかった
高嶺さん
次はどんな自殺をするの?
首吊り?水死?どんな自殺だって止めて
みせるわ
君はホントに僕の邪魔ばかりする
高嶺さん
どうしてか分かる?
僕がいないと君の家の猫の世話をする
人がいないからね
高嶺さん
ピンポーン!これからも生きてうちの
ナナちゃんに餌をあげてね
空に向かってからからと笑う君の横顔
見つめながら僕は問う
じゃあ、どうして僕が自殺したいか
分かる?
彼女がふりかえった
そしてまた、不敵な笑みを浮かべる
高嶺さん
あら、どうして?
彼女の白い腕が透けて見えた
きっとこれは夏のせいだよ
頼むから
君に会いに行くためだよ
2年前に交通事故で亡くなった彼女は
僕を死なせてくれない

9  

投稿日時:2018-05-10 21:33
投稿者:高嶺
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